山のエッセイ3049  up-date 2002.05.30 山エッセイ目次へ

山とアルコール
滝のような汗を流して、ようやく山頂へ登りつく。
ほっとしたひととき。展望に見入って至福の時間が過ぎて行く。

居合わせたグループはご馳走を広げ、缶ビールを傾けながらこれも至福のときを過ごしている。
う〜んうまそうだなあ・・・俺も飲みたいなあ。見ているだけで喉のあたりがゴクリと鳴る。
アルコールが決して嫌いな私ではない。いやいや、むしろ大好きな私である。
少しアルコールが回って賑やかに語らう様子は、実に和やかで羨ましい。
重い思いをして担いできても、その代償の何倍もの見かえりが得られる。私だってそうしたい。

しかし私は日帰り山行では決してアルコールは持たない。50歳で山を始めてからずっとそう決めている。
街中を歩いていたって事故に遭うし、山でだって事故は起こる。単独行の山は助けてくれる人がいない。絶対に事故を起こしてはならない。
飲酒運転は厳禁。山の場合も行動中は飲酒歩きをしない。それが私の論理である。
特に登りは緊張感があるが、下山は一仕事終えたあとの気の緩みが出がちである。千鳥足とはいかないまでも、飲酒で注意力が多少減衰した状態は、やはりリスクが大きくなる。

だから飲むなら登り始める前の方がまだいいかもしれない。でもそれでは山頂での至福が満たされないだろう。やっぱり飲むなら山頂ということになりそうだ。
でも私は、これからも日帰り山行の行動中は飲まない。