山のエッセイ3065  up-date 2003.02.28 山エッセイ目次へ

敗退登山
先日小諸市北部にある烏帽子岳(2066m)へ登りに行って来ました。
残念ながらピークまで登ることが出来ずに引き返してきました。2、3日ぐずついた天候がつづき、山は新たな新雪がかなり積ってルートが不明、それにワカンも用をなさないふわふわの深い雪。
無雪期ならあと15分もかからずに山頂という地点だと思いますが、あっさりと撤退を決めてしまいました。

危険性ゼロという登山はありませんし、汗もかかない楽な登山もこれまたありません。それを克服して登るからこそ山登りは楽しいと言えます。
山登りをはじめて10数年、滅多なことでは途中敗退と言うことはありませんが、それでも記憶をたどると
▲山小屋の管理人が台風以上と言っていた水晶岳の敗退
▲台風接近の強風雨で身体が押し戻される悪条件に引き返したトムラウシ山
▲大雪直後に挑戦した丹沢主脈縦走での敗退
▲深い新雪に阻まれた笹子近くのお坊山
▲アイゼン不携帯のために雪渓を登れなかった頚城の焼山
▲砂つぶてが顔面を襲ってくる強風に恐れをなして引きさがった日光の奥白根山
▲猛烈な笹薮に闇くもに挑んで失敗した佐武流山
などが思い浮かびます。

これまでに敗退した山は、それなりに敗退の理由になっとくできるものがありますが、今回の烏帽子岳敗退は、登りつづけるリスク、体力面などを考慮しても、あの地点で撤退を決めたのは早過ぎました。これは気力、意欲の問題でした。
これまでに、もっと困難な、もっと辛い場面を何回も乗り切って山頂を踏んできました。
言いたくないのですが、“歳”というのはいかんともしがたいもののようです。さらにこうした場面が増えていくのを覚悟しておいたほうがいいのかもしれません。