山のエッセイ3075  up-date 2003.10.17  山のエッセイ目次へ

山の足ごしらえ(1)
登山用具店をのぞくとさまざまな登山靴が並んでいます。山岳誌の広告にもとりどりの靴が溢れています。値段の方もいろいろですが、結構な値段のものが多いようです。

山小屋へ泊ると、宿泊者の靴がずらっと並んでいます。どれもこれも高そうな立派な靴ばかりです。その中で私の履き古したジョギングシューズは、いかにもみすぼらしく見えます。
私の夏山は、低山であろうと3000メートルの山であろうと、たいていジョギングシューズを愛用しています。何しろ軽くて歩くのに楽です。足へのフィット感が登山靴とは比較になりません。7月の南アルプス幕営登山もジョギングシューズでしたが、大変快適でした。

片足800グラムの登山靴と、200グラムのジョギングシューズ、2万歩3万歩と歩くことを考えればその違いは想像できますね。特に登りについては明らかです。

ジョギングシューズは濡れてもすぐに乾きます。沢の渡渉も靴のままジャブジャブと渡ってしまいます。
最近は素材も研究されて登山靴も軽くなっているようですが、ジョギングシューズの軽さには遠く及びません。ジョギングシューズは華奢(きゃしゃ)ですぐに壊れそうですが、そんなことはありません。私はジョギング、マラソンで履きつぶしたものを登山に転用していますが、そうしたことは一度もありません。

よく“くるぶしを覆う深さがないと捻挫する”なんて言われますが、そんなことはないように思います。何かそんな統計でもあるのでしょうか。単なる伝説、思いこみのように思われます。
登山靴メーカーの邪魔をする気はありませんが、ジョギングシューズの快適さをぜひ試してみて欲しいと思います。

それと雨のときはよくゴム長靴を履きます。さすがに3000メートル峰へ長靴は履きませんが、雨の低山ハイキングなら長靴が最高です。田舎の人が、山仕事に長靴を履いている姿をよく目にすると思います。長靴の効用をよく知っているからです。

(蛇足ですが、履きつぶしたジョギングシューズとは言え、買ったときは1万円ほどのものですから、決して安物ではありません)