山のエッセイ3079  up-date 2004.03.09  山のエッセイ目次へ

秀麗な山
姿かたちの整った山を形容する言葉はいろいろあります。
ありきたりですが私も山行記録をしたためるときに「端整」とか「端麗」「秀麗」などという言葉をよく使います。富士山に「秀麗」と冠するのは枕詞のようなものですね。

50歳から登山を始めて17年、全国各地の山をたくさん登ってきました。姿の美しい山はたくさんありました。女性にたとえれば容姿端麗、つまり美女にあたる山ですね。
麓からたおやかに峰を立ち上げるプロポーションの美しい全身像、あるいは胸から上しか望めないが目を引きつける魅惑的な容姿などいろいろあります。

プロポーションの美しい山と言えば富士山、羊蹄山、岩手山、利尻山、大山など、どちらかというと平地からすっくと立ち上がった山々が思い浮かびます。間違いなく端麗ですがあまりにも整い過ぎています。
由利平野に大きく裾を広げる鳥海山もプロポーションでは劣りません。とりわけJR羽越本線の遊佐町あたりから眺める残雪期の鳥海山は、凡庸な整い方ではなく変化にも満ち、その美しさは抜群だと思います。端麗という形容詞を一番に冠したい山です。

先日長野市街地の南部から北へ向かって車を走らせているとき、尖峰を天に突き刺すような白銀の高妻山が見えました。斜光線を受けて鋭さがひときわ強調されていました。ただし見えるのは肩から上の顔だけです。真冬に戸隠スキー場から見る高妻山の姿もまた秀麗の形容詞を掛け値なしで与えられるものと思います。顔だけで見ればこの山もはばかりなく秀麗と言える山です。