山のエッセイ3081  up-date 2004.06.028  山のエッセイ目次へ

山にもこんなオヤジが
登山に限らず自分と同じ趣味の人は一人残らず良い人ばかり、そう思いたいですね。

ところがそうばかりではありません。これは私の山友だちが体験したという話です。
息子さんとの山行のときのこと、息子さんが山頂間近で出あった夫婦に「こんにちは。頂上までどのくらいですか」と声をかけたところ、オヤジの方が「1時間も歩けば着くよ」と怒鳴り、そのあと「いちいちそんなこと聞くもんじゃねーよ」と言っていたということです。
軽い知的障害のあるその息子さんはひどく傷ついて涙を流していたといいます。
何とも心無い人がいるものです。山で出会った人はみんな仲間、挨拶をしたり、気軽に情報交換をしたり、ついそんな気持ちで声をかけてしまうことが多いのです。

私はマラソン大会でこんな場面を見ました。
35キロを過ぎ、アマチュアランナーには疲労困憊との戦いがつづきます。歩く人がめっきり目立つようになってきたそのとき、後方から追いついた50歳代のおっさんが「ドケドケ、邪魔。道の真中を歩くバカがいるか。歩くなら端っこを歩け」と雑言を吐いていました。端も真中も思考が及ばないほど疲れきっているのです。これもまた心無い出来ごとでした。
でも「あと5キロガンバロー」など声を掛け合う人の方が圧倒的に多いのも事実です。

こうしたケースは例外、たいていは気持ちよく接して山行の思い出をいっそう濃いものにしてくれることの方が多いのです。