山のエッセイ3091  up-date 2005.06.19 山のエッセイ目次へ

年寄だけの山は淋しい
ある山小屋での光景です。
まだ結婚前と見える一組の若いカップル。近ごろは中高年に占領され、すっかり若者の人気が低下してしまったという山に、このような若いカップルを目にすると特異な存在に映ってしまいます。つくづく時代の変化だなぁと感じます。
都会には刺激に満ちた楽しみが山ほどある中、こうしていても何もすることのない殺風景な山小屋の中で、別に退屈した風もなく落ちついた様子がただよう二人。着衣、装備もきちんとしており、このカップルはきっと山の常連なのでしょう。山そのものに同化している雰囲気を楽しんでいるように見えます。

若いカップルが特異な存在に見えるのではなく、そして元気な若者の歓声が山々にこだます。ごくあたり前にどこにでもそれが目につくようになったら、そう考えただけでも登山という世界が生き生きと感じられます。
今や圧倒的に目につくのは私のような年寄り連中、これからは青少年も、若者も、中年も、そして老人も、多様な人たちそれぞれが、自分の体力に見合った山を目指し、楽しめるようななってくれればと願っています。