山のエッセイ3101  up-date 2006.06.01 山のエッセイ目次へ

静かな森のカッコー
♪静かな湖畔の森の陰から もう起きちゃいかがとカッコーが啼く・・・・♪

輪唱で誰しも唄ったことのある懐かしい歌です。アメリカ民謡だそうです。

先日東北の山を歩いていたときにも、カッコーの啼く声をずいぶん耳にしました。東北に限らずどこにでもいて、その耳ざわりの良い声を聞くのは実にのどかでいいものです。岩手県北部の遠島山(1263m)という山へ登っているときにも、どこからともなく聞こえてくるカッコーのボリューム感のある声に耳を傾けながら汗を流していました。
そのときふと思いました。カッコーの声を耳にしたとたん、何て静かなんだろう。梢を揺らす風もなく静寂そのもの、カッコーの声を耳にしたとたんその静けさに気がついたのです。カッコーの声が静寂を破るというならわかりますが逆です。その声がいっそう静けさを強調するように思えたのです。そしてあの歌の歌詞を思い出したのです。
しばらく音痴な節回しで♪静かな湖畔の・・・を口ずさみながら足を運んでいました。

カッコーは『託卵』と言って、卵を他の鳥(ウグイスなど)の巣に産みつけて自分では育てないという習性が知られています。カッコーの雛はウグイスの雛より必ず先にかえり、孵化していないウグイスの卵を巣から外へ放り出してしまいます。それとも知らずにウグイスの親はせっせとカッコーだけを育てるのだそうです。
自然の妙というのか、なんだか切なさのようなものも感じます。人間社会にもわが子を育てられない親が多くなっているようです。しつけは学校がやってくれるものなんていう親がいたりして。カッコーの習性が人間に移ってきたのでしょうかね。