山のエッセイ3110  up-date 2011.10.2 山のエッセイ目次へ

日本百名山考(1)

この夏、日本百名山の五竜岳、浅間山、四阿山へ登りました。昨年は白馬、焼岳、苗場、北岳、赤岳、雨飾、本白根など7座、一昨年は高妻、常念、奥穂、槍ケ岳の4座でした。

私が日本百名山全山を登り終ったのは21年前のこと、思えばずいぶん古い話です。そのころから日本百名山ブームが兆し始め、全座登頂達成者も増えていきました。

日本百名山に関するガイドブックさえなかった当時を思いますと、今は日本百名山ツアーのようものまで生まれているご時世、隔世の感があります。

当時、私は深田久弥の“日本百名山”を読んで一座一座登っていました。

昨今日本百名山を志向している登山者は、果たしてそれを読んだことがあるでしょうか。100座のリストを消し込むだけの人もかなりいるように思われます。ブランド指向などと揶揄する向きもありますが、それも致し方ない実情がありそうです。

先日から“日本百名山”を久しぶりに読みかえしています。日本百名山に挑戦していたころのこと、それぞれの山の歴史や存在感、臨場感をもって記憶が呼び覚まされます。何より『なぜ深田久弥が100座として選んだのか』という核心にふれることで、いっそうそれらの山への愛着が強くなります。

100座登頂後に再訪した山、あるいは数回以上登った山もありますが、今あらためてもう一度登りたくなった山もいくつもあります。再読はそんな気持ちを引き起こさせています。