べさはや第4話
「巨匠のビデオカメラ」

2002/07/29

べさはや海の部(第4話)航海2日目前半。

4日目(29日)前半。有明町菅漁港〜島原外港

清川さん、小野ちゃまの帰った後は、男5人の殺伐 とした空気が、流れていた。

本日は、有明海横断のロングルートなので、せめて ゴール予定の三角には、水着のおねえちゃんが待って いてほしいと、昨晩、ちゃわんやさんが、知り合い全員 に電話工作をほどこしたようだ。

さーて、何人の美女が、ビキニでお出迎えしてくださる ことやら、、、昨日の反省からビールは、ひかえめに しよう作戦に切り替えた「べさはや男やもめ隊」は、 ビキニのお出迎えだけを、楽しみに航海に船出する のであった。

ところで、、サポートの清川さんがいなくなったので、 誰かが車を回送しなくてはならない。 ゴール地点にデポして人だけは、人力で繋ぐことも 考えたが、潮汐を利用しての航海には時間的余裕が ない。 残った隊員からサポートを一人選抜することにした。

この「べさはや」の旅を考えた時、全部の行程を一人で、 繋いでみたいという漠然とした考えがあった。

でも、一旦出発してみてそんな思いはどこかへ飛んで いってしまった。 ああ、これはリレーなんだ。実際に人力で繋ぐ人も、 まわりでサポートする人も、一心同体なんだという気持ち に変わっていった。 清川さんを始め、いろんな方々のサポートを受けるて いる内に、サポートをやってみたいと、思い始めるように さえなっていた。 海の部のみの参加となる野元さんや、ウエムラさんには、 できるかぎりの行程を漕いでもらい。 もちろん、ちゃわんやさんや、親分にもだ。

横断前の島原外港までの約10kmを、ちゃわんやさん に漕いでもらって、その間は、僕が車でサポートすること にした。

 一昨日の九十九島トレーニングと、昨日の堤防越えの 筋肉痛と、二日酔いで体調がよくない、ちゃわんや隊員に変 わって、有明海横断の部分を、僕が漕げばいい。

朝靄で霞む菅漁港から出航する一行を見送り、車で島原 外港へと向う。 フェリー乗り場手前の漁港で、シーカヤック隊を待ち受ける。 一行が近づいてきたので、ビデオを撮ろうとした瞬間、

!?!???

やばい!ビデオカメラが無いことに、気づいた!

アレは、巨匠にお借りした大切なビデオカメラなのに。。。。 海水からの保護や、直射日光からの保護をあれほど、 レクチャーされていたというのに、出発した菅漁港 に置いてきてしまったのだ。

なんというミス! 上陸した隊員たちに挨拶もよろしく、トンボ帰りで、菅漁港 に車を飛ばす。祈るような気持ちで、堤防に戻ると、 なんと、置き忘れた場所には、何もなかった!!!

カメラもさることながら、白浜桟橋での出発の光景を移した テープが、カメラには入ったままだったのだ。 それはお金では買えない貴重なものだ。 自分のアホさかげんに、がっくりくる。

いやいや、あきらめないで、やれるだけのことは、やっておこう。 漁港周辺の民家のおばさまたちに、聞き込みをし、もし拾った 人がいたら、大切なものだから、警察へ届けてくださいと、 お願いしてまわる。 そして、有明町の交番に、紛失届けを出し、届け出があったら、 連絡をもらうように手配した。 時間をみるともう横断に出発予定の10時を廻っていた。 上げ潮が終わって、下げ潮になる頃だ。そろそろ出航しないとヤバイ。

それでも、、、あきらめきれずにまた、管漁港に戻って、堤防を くまなく探した。

その時、携帯電話の音がなった!

業を煮やした隊員たちからかな? 電話にでると、警察からで、それらしきビデオカメラが島原外港 の派出所に届けれたという知らせ!!! わほーい。おもわず、飛び上がって、島原外港にとって返した。

駐在所には、麗しのカメラちゃんが、いた!

「君のだという証拠は!?」

厳つく聞かれたので、「そのテープに映っちょります!」といって、 上映会。そのとたん、お巡りさんの顔がにこやかになった。

「ほんまじゃ、映っとる!」

とすぐに引き渡してくれた。 それにしてもなんて親切で、優しい方がおるのじゃろう。 やはり有明町の方々は素晴らしい!お礼をしようと、拾得され た方の連絡先を聞く。 深江町の鈴木さんという方だった。

首を長くして炎天下の漁港に待っている、べさはや待ちぼうけ隊に ようやく、合流。ことの顛末をみんなに説明、話していると、

「あー、このフネを積んだエスティマ、ひょとして、今朝、管漁港に・・・」

と、ちょっと肉付きの良い男性が笑いながら、近寄ってくる。 ピンときて、

「あー、ひょっとして、あなたが、コレ、拾ってくださった、鈴木さん!!」

と歩みよると、返ってきたのは、にこにこ笑顔。 たまらない笑顔だったので、思わず熱く抱擁してしまう。

「かなり、退いちょったよ。あん人」

と後、ちゃわんやさんに言われてしまったが、 それくらい嬉しかった。

(佐藤巨匠、実は話せなんだけど、そんな顛末がありましたあ。 すんましぇん。)

気を取り直して出航。心も体もパドルも軽いぞー! (つづきます)