クィーンシャーロット諸島Day2(7/24)

ロストバックとラクーンの襲撃


いよいよアンソニー島への旅の始まりだ。 本日も天候はすこぶるよく海上はフラット。 まるで湖のようだ。 スプルースの上に白頭ワシがやってくる。

今日は距離を稼ぐには絶好の日和だ。 いつまでもこの好転が続くかわからない。 できるだけ貯金が欲しい僕らは、早々に Ramsay島を出立した。

カヤックで浮かんで船出しようとしたら 巨大なレッドロック蟹と目があった。 蟹漁師の異名をもつオイラは、網で素早くすくってゲット。

ウニを背負って海峡横断!

さらに、ウニウニポイントでウニを数匹ゲットしてから、 モレスビー島へ南下しつつ、Juan Perez海峡の横断開始。 2時間位漕いで、モレスビー島の Werner Ptへ到着した。 サンサン輝く日差しに、Ryuがウニを捕まえにダイブを 繰り返している。 クリークが流れ込むWerner Bayでランチタイム。 本日はウニウニ・スパゲティ。うめぇ!!!

順調なように見えるこの旅だが、実はいろいろ問題があった。 まずひとつめは、バンクバー空港での荷物を取り間違えたのだ。

僕と同じザックを、カルガリーにキャンプ旅にいく家族も 使用していたのだ。 Chiggyとの待ち合わせに遅れそうになっていた僕は 慌てて間違ったザックをピックアップし、税関を通過してしまったのだ!

「アレ、たいちょおの荷物、カルガリー行きになってるよ。  よくでてきたねー」

Chiggyが気づいてくれなければ、、、あわや。。。 間違った荷物のTさんご一家は、飛行機が遅れてカルガリーへの乗継ぎが 一本遅くなったことが幸いして荷物をお返しすることができた。 あやまったが、全然、怒られなかった。

「大丈夫。荷物はおいてありましたよ」

とこちらを気遣ってくれる優しいおとうさんの言葉。 5歳くらいのお嬢さんが裸足で空港を走りまわていた。 小柄なお母さんが、ザックをひょいと背負って颯爽と去っていた

カナディアン・ロッキーで素敵なキャンプを楽しまれてください。 本当にごめいわくおかけしました。

もし、荷物をもっていかれてたら、この旅は、、、 釣りも獲物もとれない旅になっていたことだろう。

「でも、たいちょお、ぜんぜんちがうよ。大きさと重さが」

とRyuの冷静なコメント。よくみたらそうだね。釣り道具や スコップがはいっているのだもの。 バタバタ騒ぎのうちに、関空からのRyuも合流していたのだ。 コレがトラブルその1。

その2は、クィーンシャーロットの玄関空港、Sandspitへ 僕の手荷物が届かなかったこと。 クィーンシャーロット諸島を自力で旅するのに必須の マリンVHF無線機だが、カナダ国内では機内持ち込みが禁止されている。 そのことを知らなかった僕は、手荷物に入れたまま乗ろうとして 没収されそうになり、搭乗時間ギリギリに機内荷物として預けなおしたのだ。

登場した便に間にあわなくても、午後にSandspitに到着する便がまだある。 それにはキット間にあうだろうと、午後に到着便をお出迎えに行った。 しかし、ささやかな期待は見事に裏切られ、僕の手には、お詫びの品、 Air Canada特製の洗面キットが渡されただけだった。 手荷物はセントジョンズ(どこや、そこ?)に飛んでいったらしい。

他の大勢の旅行者も荷物をロストされていた。おーい。こらこら!

昨日は早朝に出発したため、空港でロストした荷物をピックすることができな かったので、今日、アウトフィッターのダグに、僕らを探して荷物を届けて もらうようにお願いしていたのだ。 追加料金はAir Canadaが支払ってくれるので、問題なし。

迷子になった荷物に入っているマリンVHFは西伊豆コースタルカヤックス(NCK)のバズーガこと村田番長から 借りた「クィーンシャーロット諸島を1周時に携帯した」由緒正しいものだし、 大切な友人セニョールの写真もロストしたカバンの中だ。

しかし、まてどもまてども、ボートのエンジン音は聞こえないし、 予定の午後になっても音沙汰がない。 16時頃、バーナビーナローズの入り口のWanderer島で、 ChiggyにマリンVHFからモレスビー・エクスプローラーズのダグへ コールしてもらった。

「何、今ごろ連絡とってんだ。2艇もボートを出して探してたんだよ。  もうボートは、かえってしまった。朝になんで連絡しないんだ?  マリンVHFは貸したやつがあるのだから、 もう荷物は届けなくてもいいだろ?」

とダグの連れない返事。どうやらHotSprings島周辺で僕らを見つける ハラだったらしい。距離を稼ぐため早く出たかった僕らと入れ違ったようだ。

確かに無線があるのだから、もっと早く連絡をとればよかった。 昼前に上陸した浜は岬を回りこんだところにあって、見つけにくかったのも事実だ。

「ダグが探すっていってたし、夕方に聞いてみたらいいんじゃない?」

というChiggyに、「無線で連絡とろう」という言葉を何度か飲み込んでしまった。 Chiggyが悪いわけじゃなく、きちんと受け渡し方法を話して いなかったのが良くなかったのだけど、自分の意見を引っ込めたことを反省した。

気をつかって、言いたいことを飲み込んだり、判断をおもねることは、 止めよう。それはかえってこの旅をつまらなくさせることだ。 意見を言って、話し合って決めよう。考えを改めた。

しかし、セニョールの写真だけは、どうしても回収したい。 無理をいって、この先のRose Harbourに、3日後の水曜に届けてもらうように 主張した。ダグは水曜にRose Harbourでピックアップかドロップオフを絶対にやるはずだ。

面識がないRose Harbourに住むスーザンに荷物を預かってもらうことに、 常識人のChiggyは躊躇していた。 NCKの村田番長と冒険家の九里徳泰彦さんから聞いた話から、スーザンなら快く引き受けてくれると確信していた僕は、 折れずにChiggyを説得した。

実はこのハプニングのおかげで僕らはRose Harbourで素敵な出来事に 出会うことになる。トラベルの語源はトラブル。 トラブルを楽しめてこそ、思い出深いストーリーとなるのだネ。

少し落ち込んでしまったchiggyを、ミスターダイジョーブコンビが慰めた。

「探したってゆうけどさ、どうせ、ついでだぜ。そんなにやってないよ」

「そうそう」

「燃料代もかさむしさ、他の届け物もあったし、ちょろっとみただけだよ」

「そうそう」

こういうときは自己チューでいくに限る。 予定の距離を漕ぎきってバーナビー海峡のKat島に上陸した。

島と島をつなぐ中州でキャンプ。しかしこそは、、、!

強まる風を倒木でさけながらのキャンプ。 こういう時は美味しいご飯だ。

サーモンを狙い単独航海にでたが、あたりが皆無なため、 底釣りに切り替えて、3匹の巨大なカサゴをゲットして漕ぎ戻る。

本日のメニューは、カサゴとウニの刺身。 蟹の酒蒸し。そしてカサゴの煮付け。 おいしい匂いに食欲をそそられたChiggyのご飯を食べること食べること。 素敵な笑顔が戻ってきた。豊饒の海に乾杯。 焚き火で暖をとってから、テントに引き上げようとした時、 海から何か生き物が上陸してきた。

ユーモラスなうごきだが、なんだろう。 シルエットはカワウソに見える。 まあ、小さいしクマじゃないだろうとねむりについたが、

「うわー、いっぱいあがってきた。だいじょぶ〜ぅ?」

とChiggyの声がテントの外から聞こえてくる。

「よくわかんないけど、ダイジョーブじゃない?」

ときちんとミスター・ダイジョーブのRyuがフォローを入れている。 笑いながら眠りについた。 いい仲間たちだなあ。

PS。実は夜半に襲撃をうけたのはラクーン(アライグマ)たちで、 彼らは彼らの餌場にテントを張ってしまったのだ。 小さいけどクマはクマだね〜。