イリオモテ島旅日記8

8日目(5月6日。曇り時々雨) 月ケ浜〜赤離島対岸

朝、東部にでかけるという篠田さんが、カヌーを置いた場所までジープで送ってくれた。 握手をしてわかれる。また西表に帰ってきた時は、篠田さんにお世話になってシーカヤックで旅しよう。

昨日のようにならないように、気を引き締めて出航したが、 フラットで単調な海の旅にすっかり緊張の糸が緩んでしまった。 高那に海からすぐにドライブインがあったので、上陸してランチタイム。 贅沢な昼食だけど、クーラーの効いたレストランで一人食するのは 不思議な感じだ。 そのうち、観光バスが横づけして大勢の観光客で店内はニギヤカになった。

ツアーガイドさんや、お店の方がはりきって料理の説明を してくれるので、ふんふん聞いた。

お金を払って店をでる。

出発してからほとんど現金をつかっていない。昨晩も、キャンパーの 方々にすっかりご馳走になってしまった。

自給したり、捕獲したり、はてまた人の恩義にすがって ここまで旅してきた。

お金の介在が入るととたんに、 人と人との結びつきが薄弱になる。

お金がたくさんあれば、それなりにモノや人のサービスに あふれた裕福な暮らしができる。

でも、それは、人と人のつながりの面からみると、ひじょうに 危うい関係なのではないか。

「金の切れ目が縁の切れ目」

昔の人はよくいったもんだ。

でも、金で結びついたわけじゃない友達や仲間は 本当にありがたいものだ。

「人生で一番大切なのは友達だよ」

ある人の言葉が染みた。

カヌーで出発しようとしたら、観光客のお兄ちゃんに、 どこからきたのか聞かれたので一周中だとコタエタラ、 非常におどろかれた。

「人が行かない時期に、人がいかない場所へ、  人がやらないスタイルで、旅をすること」

それが、面白い旅の極意だ。 さあ、本日は何がまっているのだろう。 東を目指していたのがどんどん、南に向いてきて ヨナラ水道へ突入した。

西に西表島。東に小浜島。

ふたつの島に挟まれた場所は潮の流れが速く、 マンタがやってくるポイントとしてダイバーにも有名だ。 潮が流れている時間帯だたので、水道は川のようになっていた。 ネバッテ漕いで場所をキープしたが、マンタには出会えず。

小浜の近く、西表の近くのリーフの落ち込みでシュノーケリングを した。西表では一番の素晴らしいポイントだった。

人に会いすぎたからか、今日は孤独モード。 由布島の南岸にテントを張って、就寝。