「この花を。わたくしにはこれ以外、差し上げるものがありません」 女が細い指先で指し示したのは、薄青い花弁の小さな花。地上にちりばめた星のような。 目の前の女のような、密やかな花だ。 「何という花か」 女は遠くで瞬く星のように、微かな笑みを浮かべた。 「ミオスティリヤ――。――わたくしを、忘れないでくださいませ」