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王の剣士 六【紺碧の守護者】

第四章 「剣士ザイン」


 視界から朝日に輝く王城の尖塔が揺らいで消え、その次に感じたのは肌に触れるふわりとした熱だった。
 レオアリスは瞳を開け、眩しさに少し目を眇めながら、すぐ後ろにいるファルシオンを振り返った。
「殿下、ご気分は」
「……大丈夫」
 ファルシオンもまだくらくらする頭を振って、レオアリスを見上げた。
「ちょっと目がまわる……」
「ご安心を。法術の余韻ですから、すぐに消えます」
 ファルシオンがしっかりと頷いたのを確認し、レオアリスはグランスレイ達へ顔を向けた。
「周囲の状況は。アルジマール院長がしっかり送ってくれたはずだが、街は見えるか?」
 アルジマールは先日ブレンダン達を送った移動陣を使い、一度の施術でファルシオンやレオアリス達だけでなく、王が指定した小隊五十名と彼等の乗騎の飛竜をレガージュに送り届けていた。改めて、舌を巻くほど高度な法術だと、そう思った。
 ファルシオンとスランザール、グランスレイとロットバルト、フレイザー、フレイザーが率いる左軍第一小隊、全員問題なく揃っている。
 それらを確認し、少将ベルツが数名の隊士を走らせたのを見てから、レオアリスは改めてこの場所を眺めた。
 色彩が鮮やかだ。
 緑の短い下草が覆う足元には白い石積みの残骸が点々と散らばり、時折崩れた柱や壁があった。振り仰ぐと青い空が、世界の半分を覆うように広がっている。
 陽射しが熱い。質量があるみたいに肌に落ちてくる。転移して最初に肌に感じた熱は、太陽の陽射しだったのだと判った。
 吹き付ける風が、熱い。
「ここが――レガージュか……」
 感慨に浸るような状況では無いと判っていたが、それでもレオアリスはそっと息を吐いた。
 遠い生まれ故郷とはまるで違う――。
 夏でもどこか遠い太陽は、ここでは全てを支配するように存在していた。
 だが感慨も束の間、レオアリスの瞳はもう一つのものを捉えた。
 草地が連なる先、切り取られたような岸壁の向こうに見える、青い海と――、そこに一列に並ぶ船団だ。遠目にも、旗が靡いているのが判る。マリ王国の国旗か、海軍旗か。
 レオアリスは一歩踏み出した。草地の中の小さな石の欠けらがじゃりと音を立てる。
「あれか。マリ王国海軍――」
 ロットバルトが眼を向ける。
「合計十一隻、元は十二隻の船団が一隻を沈められたと、それを眼で見て取れる状態ですね」
「火球砲を備えているのは、見る限りじゃどうやら六隻のようだ」
 この距離でそこまで見えるのかとロットバルトは感心したようにレオアリスに眼を向けた。
「なるほど――。マリ王国では戦功によって、火球砲を備えた軍船を与えられるという話です。七つの船団を持ち、船団の半数もの船が火球砲を備えているのはうち二つ」
「メネゼスという提督は武勲で知られるらしいしな」
「上将」
 グランスレイに呼ばれ振り返ると、グランスレイの傍らに濃紺の軍服を纏った士官が一人、ちょうど足を止めたところだった。膝をつくと右腕を胸に当て、正規軍式の敬礼を向ける。
 レガージュに駐屯する正規軍第七大隊の中将だと、すぐに判った。
 その姿の向こうに、レガージュ駐屯部隊だろう、正規軍兵士達が並んで膝をついていた。
 レオアリスはファルシオンの斜め横に退いた。正規軍中将はファルシオンに対し、深々と頭を下げた。
「王太子、ファルシオン殿下――ご尊顔を拝し光栄です! 正規軍西方第七大隊中将ドナートと申します! 第七大隊大将ウィンスターより殿下のお越しをお聞きし、お迎えに上がりました!」
 ファルシオンはドナートへ身体を向け、頷いた。
「ドナート中将、出迎え大儀である」
「は! 有難きお言葉――」
 ドナートは顔を上げ、スランザールとレオアリスを見た。
「スランザール公並びに近衛師団第一大隊大将殿にも、改めてご挨拶申し上げます!」
「状況の変化は無いか」
 問いかけたスランザールに対し、地面についていた左腕の肘を曲げるようにして身を屈める。
「は、昨日の報告より変わりはございません! 到着来、あの位置を保ったままであります!」
「ふむ――街の様子は」
「は! 一時期状況の説明を求めて交易組合の会館前に商人達が集まりましたが、昨夕交易組合長が状況を説明し、現在は下火になっております。我々駐屯部隊も騒ぎが拡大した際は対応するため待機しておりますが、現時点までに出動はしておりません!」
「なるほど、レガージュの住人は肝が据わっておるようじゃな。過去の経験ゆえか――」
 スランザールの言葉を聞きながら、ロットバルトは瓦礫の間を出て岸壁の傍に立った。
 足元は高い断崖になっている。軽く三十間はありそうなそれが、左右に延々と連なり、その切れ目に河口と街があるような状態だ。
 白い壁と青い瓦屋根の家々が連なる街並みは美しい。
(だが、確かに――要衝だ)
 こうして改めて目の当たりにすると、三百年前の大戦でレガージュ戦線が長く持ちこたえた理由が良く判った。
 岸壁を這うように駆け上がってくる風が、海からの独特な香りを運んでくる。内陸部の王都では全く馴染みのない――潮の香りだ。
 ふ、とある引っ掛かりを覚え、ロットバルトは眼下の海面を見つめた。
 打ち寄せられた波が岸壁に当たって砕け、白く泡立つ。その都度風が吹きつけてくる潮の
 ロットバルトもまた海を眼にしたのは初めてだが、どこかで一度嗅いだ覚えがあると、そう思った。
 あれはもっとはっきりした強い香りだったが、ごく最近だ。
 何故か、今の状況とは関係ないはずのそれに強く注意を引かれ、記憶を辿った。
 基本的に好んで香りを立てるのは女達だが、大抵は甘い花の香りばかりで、この香りは余り好まれないだろう。華やかさを引き立てる香りとしては遠い。
(――いや、あの時……)
 記憶が甦る。
 何故そんな香りを纏っているのか、意外に思った事が思い出された。
 六日前の夜会で――。
『ああ、これ? すぐに消えるわ……』
 そう言って微笑んだ時には、確かにその香りは消えていた。代わりに何事も無かったかのように甘い花の香が漂った。
『残念ね』
(西方公――?)
「どう?」
 ふいに女の声がかかり、ロットバルトはその考えから意識を引き上げた。後から来たフレイザーが首を傾げていた。
「――」
「あの船団を見た感想は」
「……そうですね――。マリ王国は三方を海に囲まれた海洋国です。文書宮にある幾つかの記録を見ましたが、海上戦だけではなく当然港を攻める戦術にも長けている――。反面我が国では海戦は大戦以降行われた記録はありません。そもそも大戦後は西海との条約もあり軍船も有していない。実際我々には非常に不利な状況ですね」
「のっけから悲観的な分析ね」
「まあ全く楽観ができない訳ではありませんよ。今の段階ではマリ王国海軍は、威嚇の姿勢を崩していない。文献では火球砲の射程は百間と記されています。文献だけで距離を測るのは危険ですが、一昨日に一度威嚇射撃をしていますから、その情報も合わせると百間と見てほぼ間違いはないでしょう。現在の港から船団までの距離が報告によるとおよそ百十間。それからすると、敢えてレガージュの街に砲撃が届かないぎりぎりの距離を保っているようです」
「ぎりぎりでしょ。でもそれはレガージュも理解しているみたいね」
「そのようですね。あの布陣でレガージュを攻撃しようとするなら、まず船を進める。対応する時間はあります」
「でも対応できるかしら。ほんの短時間しかないでしょう」
「まあ四半刻も無いでしょうね。いかにマリ海軍をあの場所から動かさないかが問われ、また火球砲を防ぐ為の事前の手筈が重要になる――ですが今回は、戦闘にならないように対処するのが第一です」
「――そうね」
 フレイザーは頷いて唇を引き結んだ。
「マリは待ってくれている――ただし、待っているのは謝罪ですが」
「――」
 王は昨日の軍議で、結論を示さなかった。場合によっては――、ファルシオンがマリ王国に対して謝罪をする事になるのだろうか。
 スランザールとレオアリス達は、昨日その件について話をしていたが、やはり結論は出ていない。
 フレイザーは再び船団へ目を向けた。強い風がフレイザーの波打つ緋色の髪を煽る。
 額にかかる髪を掻き上げ、巡らせようとしていた視線を止め、その手で斜面の下を差した。
「上将、あれを」
 フレイザーが指差した先、丘の斜面の下から、数名の男達が登ってくるのが見えた。
 先頭に立つ二人の男の、ブレンダンが身につけ付けていたのと同じような服装が、レガージュの商人なのだろうとそう思わせる。その後ろに十名ほど続くのは兵士――レガージュ船団の団員だろう。
 昨夕の内にレガージュへは伝令使が出され、ファルシオンの到着は伝えられていた。直接交易組合の会館を訪れる予定だったが、出迎えに来たようだ。
 丘の中腹の廃墟に立つ一団を見上げ、レガージュの男達は斜面を登る足を速めた。
「殿下、こちらへ」
 スランザールがファルシオンの肩を引き寄せる。レオアリスはファルシオンの傍らに立ち、商人達が登ってくるのを待った。
 グランスレイとフレイザー、ロットバルトがファルシオンの前方左右に開くように位置取り、近衛師団小隊五十名はファルシオンの後方を半円状に囲んでいる。
 小さなファルシオンの姿は、黒い軍服に身を包んだ近衛師団隊士達に戴かれるように佇み、威厳をまとって見えた。
 斜面を登ってきた商人達――カリカオテとビルゼンはその姿に息を呑み、斜面のやや下、正規軍兵士達が並ぶ辺りで慌ただしく膝をついた。
 初めて目の当たりにする王子の姿に、長年レガージュの自治を担ってきたカリカオテ達ですら、畏怖に近い感動を覚えていた。僅か五歳という幼さは、今この姿からは感じられない。
 陽の降り注ぐ廃墟の中にあっても、王城の謁見の間と何ら遜色は無かっただろう。
「王太子殿下――御自らのお出ましを頂き、誠に恐縮の至りと存じ上げます」
 顔を上げないまま、カリカオテは早口で言った。
「私は、フィオリ・アル・レガージュの交易組合長、カリカオテと申します」
 束の間言葉を飲み込んだと思うと、カリカオテはつんのめるようにしてその場に伏し、額を短い草の上に押し当てた。
 その思い詰めたような動作に、ファルシオンが金色の瞳を見開く。
「この度の件、この一命を差し出しても精算のつかぬ事と、承知しております! 王太子殿下――」
 共に来たビルゼン達は覚悟を決めた様子で身体を伏し、じっと俯いている。
「しかしどうか、この首を刎ね、マリ王国海軍に差し出して頂けますよう――!」
 カリカオテは懇願とも言える口調でそう言った。
 レオアリスは視線だけを落とし、ファルシオンを見つめた。彼の立つ位置からは、瞳は銀髪に隠され、まだ柔らかな頬だけが見える。
(――)
 いきなり大きな決断を求められ、どう答えるのか――
 フレイザーはスランザールへそっと視線を向けた。だがスランザールは泰然としたままで、レオアリスにも口を開く様子はない。グランスレイもロットバルトもファルシオンが決断するのを当然のように待っている。
 ファルシオンはじっと黙っていたが、ややあって小さく息を吐いた。
「面を上げよ」
 スランザールもレオアリスも、何も言わない。だから自分でやらなければいけないのだと、そう思った。
 それを求められ、王太子として答えなくてはいけない。
 今回の問題は全て。
 その為に、王はファルシオンを国使として送ったのだ。
「今、この場でそなたを罰しても意味のないことだと思う」
 カリカオテはまだ伏したまま、じっとしている。
「それに、まだレガージュの船がマリ王国の船を沈めたか、はっきり判っているわけではないと、聞いている。今は、それを確かめるのが、先だろう」
 カリカオテは声もなくもう一度叩頭こうとうし、恐縮しきっている。
「レオアリス」
 いつまでも顔を上げないカリカオテ達に困って、ファルシオンはレオアリスを見上げた。
 ここで頼っていいのか判らなかったが、レオアリスは微かに笑ってみせ、カリカオテの傍に歩み寄ると膝をついた。
「組合長殿、顔をお上げください。殿下の仰る通り、今はマリ王国海軍との対応をどうすべきか、一刻も早く話し合うべき段階です」
 肩に手を置き、身体を起こすように促す。
 カリカオテはしばらく躊躇い、僅かに上体を起こした。傍らに膝をついていたレオアリスと目線が合う。
 ファルシオンが「レオアリス」と呼ぶのを、カリカオテも聞いていた。
 ザインと同じ剣士――そして王を主に持つ剣士だ。
 見つめた剣士はまだとても若く、カリカオテの孫達ほどの外見だった。ただ、身に纏う空気がザインと似ている。
 ザインの事が思い出され、カリカオテはつい視線を落とした。
 ザインの事を何と説明すればいいのか――。
 もう一度、カリカオテを促したのは、ファルシオンの傍らに立っていたスランザールだ。
「カリカオテ殿。殿下は今は謝罪より対策をと、そう仰せなのじゃ。そなたらは今すぐ身を起こし、殿下を屋内にご案内した上で、事の次第をご説明申し上げるべきじゃろう」
 その老人が王の相談役である事を、カリカオテ達も事前の伝令使により承知していた。
 自分達がただ詫びれば事態が収まる訳ではないのだと、カリカオテは改めて思い出し、今度こそ本当に身を起こした。
「度重なるご無礼、申し訳ごさいません――。王太子殿下、まずは交易組合にご案内申し上げ、そこで詳しい経緯いきさつをご説明致します」
 レオアリスは先に立ち、カリカオテが立ち上がるのを待って、隊士達の後ろで待機している飛竜を示した。
「街へ移動します。カリカオテ殿、あなた方も飛竜に同乗願います」
「飛竜――、しかし、ここからでは」
 カリカオテは海を見た。飛竜が飛んでは、沖にいるマリ海軍からも見えるだろう。
 だがレオアリスは頷いただけで、隊士にカリカオテを乗せるよう指示すると、自分は中央の銀翼の飛竜へ向かった。
 飛竜の前でファルシオンを待ち、その背に乗せて自分も騎乗する。
 ぐぐ、と飛竜が翼を広げた。風が起こる。
「街へ移動する! なるべく岸壁に沿って飛べ。マリ海軍に姿が見えるようにな」
 レオアリスの指示に、カリカオテは思わず何故、と声を上げかけた。軍の姿はマリ海軍を刺激してしまうのではないかと思ったからだ。
 だがおよそ五十騎の飛竜は、ファルシオンを乗せた銀翼をやや内陸側に置く陣形を取ると、近衛師団の軍旗をなびかせて岸壁を回り込むように移動を始めた。
 息を呑むほど良く統率された動きは、さすがは王都の、そして王太子を擁する部隊だとそう思わせる。
 部隊は一旦岸壁の上を通ると、そのまま斜面と等距離を保ってレガージュの街へ向かった。



 ザインは落ち着かない街の騒めきに、交易組合の会館の一室に座って耳を傾けていた。
 だが落ち着かない中でも、まだ会館が騒がしさを増す様子は伝わって来ない。
 カリカオテ達は王都からの国使を迎えに出たと、ファルカンから聞いていた。
 国使が着き、その姿を見れば、恐らく街はたちどころに蜂の巣をつついたような騒ぎになるだろう。
 国使――王太子ファルシオンがレガージュの街に来臨すれば、住民達は当然騒ぎ、だが安堵するはずだ。
 そして王太子の護衛を務めるのは、近衛師団第一大隊――それを率いるのはレオアリスだ。
 こんな事態になった以上、会う事は無いと思っていた。
(会えと、そう言っているのか――ジン)
 今しか、機会が無いと判って――。
 そう思ってから、ふとザインはわらった。
(感傷か)
 そんなものは自分勝手な考えでしかなく、ジンの意思などではない。
 もうザインも待つつもりはない。
 マリ海軍が示した期日ぎりぎりまで待ったが、あのゼ・アマーリア号の船員が目覚める気配はいまだなかった。
 王太子はまだ幼い――ユージュよりもずっと幼いが、王の相談役であるスランザールが従っているのであれば、まずは両国間の話し合いが行われるのだろう。
 話し合いは上手くまとまるかもしれない。
 だが、レガージュの街を傷つける事無く事態を収めるのなら、西海を見つけて突き出す方が確実だ。
 いや――
 それもまた、欺瞞ぎまんだと判っていた。
 今を逃せば、西海のヴェパールの喉元に手が届く機会は、恐らくやって来ない。
 ただそれだけの事だ。
 ザインは扉に近づくと、向こうに立っている船団員に声をかけた。
「悪いが、オスロを呼んでくれないか」
「オスロ殿ですか」
「そうだ。王太子殿下がおいでになる前に少し話したい」
 船団員は訝しそうな様子の声を返したものの、すぐ別の船団員を呼んでザインの要望を伝えた。
 ほどなくして、扉を叩く音がした。
「ザイン――オスロだ」
 恐る恐るというように、オスロが扉越しにザインを呼ぶ。
「入ってくれ」
 オスロは扉に付いている船団員と、一人だけで話をするという事を二言三言話した後、扉を開けた。
「ザイン――」
 入ってきたオスロの顔は血の気が引いて蒼白く強ばっている。
 ザインは小さく笑い、何を言われるのか既に予期している様子のオスロを手招いた。
「時間がない。簡潔に聞かせてもらおう。お前が何を知っているのか――いや、今回の件にどう関わったのか」
「わ、私は、」
 マリ海軍の船団が現われた時のオスロの青ざめた様子にザインは気が付いていた。
「西海に手を貸したのか」
「ち、違う! 手を貸したつもりじゃ」
 慌てて声を上げたオスロの口を、ザインは素早く押えた。
「余り大きな声を出すな。ファルカンに知られたら、お前は半刻後には魚の餌だぞ」
 口を塞がれたままオスロは更に青くなった。
「王太子殿下に知られても、結果は大差ないだろうな。あと半刻もすれば、王太子殿下がここにお着きになるんだろう」
 オスロがごくりと唾を飲み込んだのを見て、ザインは手を離した。一歩後ろに退る。それが逆に、オスロに圧迫感を与えた。
「わ、私はどうすれば」
 弱々しく呟き、ザインを見る。
「俺をこの部屋から出せ。お前はただ知らない顔をしていればいいんだ」
「い、今か」
「いや、今はまずい。王太子殿下がおいでになる前に騒ぎを起こしたくない。王太子殿下はマリ海軍との話し合いの為に船で向かうはずだ。その後がいい」
「わ――判った」
 オスロは何度も頷いて、これで終わりと後退ろうとしたが、ザインはその手を掴んだ。
「待て。それで終わりじゃない」
「――」
「後はお前の知っている事を、全て話してもらおう」





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