第十九話「脱出、そして


放送日:84年8月9日
脚本: 辻 真先
絵コンテ: 菊池一仁
演出: 菊池一仁
作画監督: 安彦良和


「ゴーグ!なんとかしてここを抜け出すんだ!かなわなかったら、逃げたっていいんだよ!向こうは武器をもってるんだからね!」

ゴーグとマノンタイプの格闘戦。力ではマノンタイプの方が上のようで、投げ飛ばされ、組み付かれ、ひざで打撃を受けるゴーグ、

『ふっふっふっ・・・』
「ゴーグ!」

なんとかそれを返したものの、さばおりをうける。装甲がミシミシと悲鳴をあげる。

『フッ!』

勝ちを意識したマノン。しかしゴーグは底力を出し、マノンタイプを切り離すと渾身のパンチを連続で叩き込み、ダウンを奪う。

『うっ!』
「やった!」

GOOORG・・・

倒れたマノンタイプを睥睨し、立ち去るゴーグ。後ろからパルスランチャーの砲撃をくらいながらも迷宮の奥へ入っていく。

「ゴーグ!どこへ行くんだ!?」
「出口は逆よ!」
「・・・・。ゴーグは知っているんだ、出口がどこか・・・。」


たどり着いたのは格納庫。ゴーグ並みの巨体を持つさまざまな戦闘メカが並び、ゴーグの侵入にあわせて起動する。

GOOORG!!

次々と襲いかかるメカを、ことごとく打ち倒していくゴーグ。

「す・・・すごい・・・ゴーグ!」
「ああ!」

ゴーグの前に立ちふさがる、ゴーグの10倍(100m以上!?)はあろうかという戦闘メカ。だが、これもあっという間に破壊するゴーグ。

「す、すごいや、ゴーグ!」

追って来たマノンの見たのは、累々と積み重なるスクラップの山。

『くそう!やつめ・・・!む・・・?噴火が近い?・・・あの爆発がひきがねになったのか!?』

出口に向かうゴーグ、しかし通路は落盤でふさがれてしまっている。

「なんとかならないの?」
「ゴーグ!岩をどけて外へ出るんだ!」

この作業が致命的になり、ついにマノンタイプに追い詰められるゴーグ。

「おいつかれちゃった・・・」
「どうしよう」
「つかまっちゃう!」

だが、突如始まった火山の噴火で、マグマに流されてしまうゴーグだった。

「わあああ〜!!」


「あれは第二火口の方だな!?」

湿地帯付近の駐屯地で、双眼鏡を覗くロッド。
ベームがそれに答える。

「はっ・・・。かなりのものですな?」
「やれやれ、第一も第二も、西側の火山はすっかり休止しているなんて言ったのはどこのどいつだ!?」
「すぐに観察させましょう。」
「ほうっておいてもするだろうよ、学者先生やMrがな。それより出動だ!」
「し、しかし!あ、あれでは馬の鞍付近には近づけないでしょう!?」
「意地でも近づく、といって欲しいな!大尉、これは君の部下のとむらい合戦なんだぞ!いったい何人の部下を殺されたと思ってるんだ!?」
「しかし・・・見てくださいよ。」
「チッ!・・・ええい!」

荒れに荒れているロッドに、リンクスからの通信が入ったのはこの時だった・・・。


煮え立った川を歩くゴーグ。その中で目を覚ました悠宇は、眼前のモニターに広がるジャングルに気がつく。

「外だ!ドリス、ドリス!」

そばで気を失っているドリスを起こす悠宇。

「ごらんよ、ドリス、出られたんだ!地上だよ!」
「地上・・・?」
「そうだよ、外に出られたんだよ!」
「ほんとう・・・?ほんとうに出られたの・・・?・・・本当だわ!助かったのね!?」
「そうだよドリス!」
「ゴーグ!ありがとう!」

脱出した彼らの眼下には、雄大なグリーンマットが広がっていた。


ゴーグの胸の中で、悠宇とドリスはビーグルとの再会を心待ちにしていた。

「兄さんたち・・・心配してるでしょうね。きっとびっくりするわ。アタシたちを見たら。・・・ウフッ・・・どんな顔するかしら?」
「ふふん?」
「それに、すごいおみやげがあるんですものね。あの地下の建物や宇宙人のこと、ウフフ・・・兄さん、信じきれなくて気がへんになっちゃうかもしれない。うふふ・・・ね?」
「ふふ・・・」
「ウフフ・・・アハハハハハっ」
「ハ、ハハハハハハ!」
「でも、兄さんのこと、ちょっぴり見直したわ。尊敬してあげようかな?」
「ウェイブさんの言ってたとおりだったんだもんね。マノンさんのことは知らなかったけど・・・。」
「ああ・・・早く逢いたいわぁ。船長や、アルゴスにもね。悠宇、ビーグルに出会ったら、はやく帰りましょうね?」
「え?」
「もう、いやよぉ。こんな怖い島。ビーグルでサモアまで行って飛行機で帰るのよ。ね!」
「で・・・でもさ・・・」
「でも何よぉ」
「・・・ゴーグはどうするのさ。」
「え・・・」

「それに、やっぱり帰れないよ。ぼくたちが地下で見てきたことを、早く誰かに知らせなきゃ。マノンさんのことや、眠っている仲間のこと、たくさんの人型のこと。ほうっておいたら、大変なことになるよ!」
「いったい誰に知らせるの?GAILに?冗談じゃないわ!」
「だけど、このままじゃ・・・・」
「だから帰るのよ!帰って、TVや新聞に、大きく載せてもらえばいいのよ。」
「・・・・!?」
「そうすれば世界中の人が・・・」
「待って!・・・ビーグルだ!」

ビーグルをついに発見する2人は、ゴーグの胸の中で 喜びはしゃぐ。

だが、ゴーグは一定距離まで近づくと、goooorg・・・・と唸りをあげて立ち止まる。そう、ビーグルの面々は隠れていたGAILによって捕虜にされていたのである。レイディ=リンクスがロッドに通信したのだ。

拡声器でゴーグに語りかけるロッド。
「聞こえるかね、ぼうや、田神悠宇くんといったかな?ごらんの通りだ。」
「あ・・・あの人は・・・。」
悠宇の脳裏に、ニューヨークでの一件が回想される。
「悠宇くん、その胸の中にいるんだろう。聞こえていれば出てきたまえ!」

しかたなく投降する悠宇とドリス。

「ふっふっふっ・・・・覚えているかな?ぼくのことを。え?忍者の子孫くん。お互いつもる話もあるだろう・・・ゆっくりお茶でも飲もうじゃないか。それとも、アイスクリームの方がお気に入りかな?・・・連れて行け!」

悠宇とドリスを引き離したあと、GAILの戦車・戦闘ヘリ・戦闘機によってゴーグは集中砲火に会う。

「!?ゴーグ!ゴーグーっっ!卑怯だぞ!降伏したんじゃないか!やめろ!ゴーグにひどいことするなーーっ!」
「ふふ・・・君のロボットの強度を確かめているんだよ。地下であれの仲間にひどい目にあったからな。まあ、その仕返しも兼ねてね。」
「ち・・・ちがう!ちがうんだあれは!」

こうして爆炎にかすみ行くゴーグを後ろに、一行はGAILに連行されていく。

「ゴーグ!ゴーグ!ゴーグ!ゴーーグーーっ!!」

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感想

ひさしぶりにゴーグの大暴れが見れる回。
マノンタイプとの本編唯一のガチンコが繰り広げられる他、異星人のさまざまな巨大戦闘メカを相手取った暴風のような暴れっぷりが描写される。

ともかく、前回、前々回と、視聴者は「ああ、なんて悠宇たちは無力なんだ・・・」とヘコミ入っている。しかもマノンタイプとかはゴーグよりもぱっとみ偉そうで強そうだし・・・。早い話不安で一杯なわけだ。

で、この無敵っぷりはどうよ?
もったいつけて登場し、武器を持ったマノンタイプも圧倒し、しかも格納庫では自分の体格の10倍近くある敵を、わずか2・3カットで破壊するゴーグの威容たるや、悠宇でなくとも「す、すごいやゴーグ!」と感動する。
アイキャッチをはさんだ後は、悠宇とドリスの長い会話の後に、ゴーグの捕獲というショッキングな出来事が描かれるが、それすらも前半の盛り上がりの前では印象が薄くならざるを得まい。

ともかく、 この回ほどゴーグを頼もしく感じられる回は無い。


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