第四話「出会い」
放送日:84年4月26日
脚本:塚本裕美子
絵コンテ:安彦良和
演出:小鹿英吉
作画監督:安彦良和
砂浜で、アルゴスに頬をなめられて目覚める悠宇。
「・・・アルゴス?」
まぶしく静かで美しい砂浜。背中には荒涼とした岸壁が広がる。悠宇はオウストラル新島へたどり着いたのだ。
「・・・ハッ!み、みんなは!ド・・ドリス!ウェイブさーん!・・・・誰もいない・・・ボクだけになっちゃったんだ・・・どうしよう・・・」
船長・Drウェイブ・ドリスの3人は、悠宇と離れた旧島のジャングルにいた。
「ああ・・・ユウもアルゴスも見つからないなんて・・・どうしたらいいのよ兄さん!」
「だ・・・だいじょうぶだよ、あの子は泳ぎが上手いから、な、船長」
「そういうこともあるだろうな。」
「そうじゃなかったら何なのよ〜やめてよそんな言い方〜っ!」
ポコポコと船長の背中をたたくドリス。
「どうしようもないさ。食え、腹を空かしていると、よけい心配になるものだ。」
一方、GAILの哨戒艇で空中からオウストラルを視察するロッド。昨日近海に現れたという謎の怪物の話をロッドは信じない。
「Mrゴトー、君は夢を見ていたんだよ」
「・・・いつもそうなんです。ヤツらはシッポをつかませんのです。」
地上の説明をひとしきりされた後、ロッドは聞く。
「そろそろ話の核心をしたまえ。この島には一体、何がいるんだ?」
ジャングルを進む3人は、突然藪の中から拳銃をつきつけられる。
「手をあげろ!・・・武器を捨てろ、仲間が死んでいいのか!?」
藪から出てきたのは現地人の少年と少女であった。こうして新島の岸壁の洞窟に作られた、現地の反GAIL武装組織のアジトへと連行される。一行は、彼らにGAILのスパイだと思われているのだ。だが、この時ロッドの乗った哨戒艇が岸壁に攻撃をしかけて来る。固定機銃でもって必死で反撃を行う組織の男。
「報告どおり、てんでへタな射撃だ!」
彼らにとって機銃は慣れない武器なのだ。
「まるで当たらんな。」
「まっ・・まて!」
「弾のムダだろうが。」
機銃の砲手をかわる船長は一撃のものでロッドの哨戒艇に被弾させる。たまらず離脱するロッド。組織では歓声が上がっていた。
「は・・・はじめて見た・・・当たったところ・・・」
こうしてもてなしを受ける船長たち一行。彼らの前に、現地人の宗教的リーダーである「偉大な」ホツマツアという老人が姿をあらわす。
一方、悠宇は新島と旧島をつなぐ岸壁を必死で渡っていた。さっきの銃声を聞きつけ、人がいると確信したからである。突然、アルゴスが吠え出す。「?」と見ると、船を沈めたあの金属製の触手が、岩肌にまとわりついている!岩陰に隠れ、浮上してくる巨大な影。藤壺のビッシリ繁茂した甲羅を持つ、機械のような、生物のような謎の怪物が、悠宇の眼前にあらわれた。
「だ・・・誰かーっ!」
触手は確実に悠宇を狙い、攻撃を行う。いつのまにかどんずまりまで追い詰められている悠宇。触手は逃げ場の無くなった悠宇にゆっくりと近づいてくる。
「・・・い・・・いやだ・・・っ」
・・・・GOOORG・・・・!!
咆哮。
地をゆるがすような咆哮が聞こえ、振り向く悠宇。岸壁の向こうに、太陽を背にした巨大な影が立っている。青い巨人が立っている!
「・・・・っっ!?」
青い巨人は、強烈な一撃で触手の怪物を海へ押しやる。タックル。張り手。アッパー。とどめにハンマースルーで怪物を遠くの海まで放り投げる。呆然とする悠宇。怪物を倒した青い巨人は、振り向くと悠宇に向かって地響きをたてながら歩き出す。
「う・・・うわああーーっ!」
逃げる悠宇。しかし歩幅が違い、やはりすぐに追い詰められてしまう。巨人はだが、悠宇を攻撃しようとはせず、ただ手を差し伸べるのであった。しかも、悠宇がおびえているのを見ると、手を引き、静かにひざまずく様に待機する。
「な・・・何故・・・?」
巨人の瞳は、何故か悠宇に懐かしいものを感じさせるのであった。
基地に帰ってきたロッドとゴトー。ゴトーによって、建造中の大シェルターを見学する。
「丈夫に作らせています。」
「誰の核兵器の話だ、Mrゴトー。モスクワか、NATOか。それとも母なる合衆国か?」
「いいえ・・・異星人です」
ゴトーのセリフを冗談と受けとって一笑に付するロッド。
悠宇は再び巨人に手を差し伸べられていた。「・・・うん。」と今度は手のひらに乗る悠宇。巨人は悠宇をそのまま持ち上げ、頭部の物見台のような場所に乗せる。
「うわああ・・・」
10m以上ある巨人の頭部からは、島の景色がよく見える。
巨人は歩き出す。悠宇を乗せて。いつしか太陽は太平洋に落ちかかっていた。
TUNE IN TO THE NEXT
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THE SAME GORG CHANNEL
感想
ついに巨神ゴーグが登場!
そのインパクトたるや凄まじいの一言。CMをはさんでまでの悠宇の絶体絶命のピンチに、突如岩陰から例の「ぐぉおおおおおぉぐ・・・・」という咆哮をあげて登場する青い巨体!
怪物を力任せにどつきまわして撃退する様は、いわゆるスーパーロボット的な演出ではなく、むしろ静寂や神秘性を感じさせるものだった。視聴者は、悠宇と同様、「はへ?・・・・な、なんじゃありゃあああ・・・?」といった気持ちになってしまう。
しかしゴーグのでかいことででかいこと。13mとは思えないほどの重量感。10倍近くあるダイターン3ですら、これほどの「でかさ」を感じさせなかった。まさしくこれは、その演出技術によって与えられた圧倒的な存在感のたまものであろう!