白山

(2702.1M)

日本の名峰その一

日程

登山をしていると言うと一番良かった山はどこかとよく聞かれる。そんな時は白山と答える事にしている。山容、自然、歴史文化全てにおいて白山は日本トップクラスであると思う。白山に登るのは二回目であるはずだが前回いつ登ったのか記録がないので定かではない。お決まりの別当出合から砂防新道登り、観光新道下山だったと記憶している。特に高山植物の素晴らしさが記憶に残った。さて、本来であれば弟との登山は北岳になるはずであった。しかし前回の富士山で体力不足を露呈した弟に北岳はまだ早いと判断。体を鍛えてもらう意味でも一服置くことにした。そこで今度は富山起点で計画を作ろうという事になり、白山に登る事になった次第である。マイカー利用で一泊二日という事でチブリ尾根から登り、釈迦新道から下りる事にした。当初7月の予定だったが大雨で二度延期。三度目の正直で何とか登る事が出来た。

8月26日 富山市ノ瀬(07:40)=岩屋俣谷探勝路=別山市ノ瀬道登山口(08:25)=チブリ尾根避難小屋(11:30-12:30)=主稜出合(14:10)=天池(15:05)=南竜山荘(16:05)
8月27日 南竜山荘(05:55)=室堂(07:20)=御前峰(08:10-08:25)=七倉の辻(10:00)=白山釈迦岳(11:45-12:15)=林道出合(14:30)=市ノ瀬(15:55)富山

山行記録

初日のコースタイムは八時間弱、早出早着を狙いたいところだったが起きられずにやや遅れ気味で自宅を出発。途中、コンビニで食糧調達をし、朝食を取りつつ登山口の市ノ瀬へと向かう。時間が押して来ていたが北陸自動車道はともかく一般道は追い越しが難しいのでほとんど時間を縮める事が出来なかった。7時30分頃に登山口の市ノ瀬に到着。駐車場はやや混んでいたが問題なく入る事が出来た。時間がないので準備をしてすぐに出発する。道路に出るとすぐに「岩屋俣谷探勝路」の入口が目に入った。それでそのまままっすぐ探勝路を登ってしまった。地形図では川沿いに登って行くはずなのにおかしいなと思っていたら分岐点があり、小さいが案内の看板もあってこの登山道が目的の登山道ではない事が判明した。このまま行っても展望台に出るだけらしいので慌てて引き返す。

       
左:一ノ瀬駐車場
右:別山・一ノ瀬道登山口

再び市ノ瀬の駐車場。想定外の寄り道でさすがに急がないとまずい時間になって来た。とりあえずはチブリ尾根の登山口に着かなければ始まらない。道路を進むとすぐに林道の分岐があり道標があった。今度こそ間違いないようだ。さらに林道を15分ほど進むと道標があり、ようやく登山口に到着した。遅れを取り戻すため、早めのペースで歩いて行く事にする。弟は日頃の運動の成果が出たのか先に行く、自分はついて行くのがやっとだ。六月に六甲へ行ってから山に行ってなかったのだから仕方がない。樹林帯の登山道は初め斜度も緩く、視界も効かないので快調に歩く。

       
左:樹林帯の登山道
右:別当出合方向

登山道はやがて尾根に取り付く為斜度を増してゆく。天気も良いので暑い。今日は長丁場、先の事を考えて行動しなければ、と無理に弟に付いて行くのはやめてマイペースで歩く。ようやく別当出合方向の景色が見られる所に出た。白山の山頂辺りはガスに隠れて見えない。予報は晴れだが天候は大丈夫だろうか。しかし今はまだ考えるのには早い。尾根には乗ったもののまだまだ樹林帯の苦しい登りが続く。もっと見通しの良い稜線を期待していたのだが期待外れだった。ここは我慢の登山である。緑一色の中に時々花が咲いていて良いアクセントになっている。

    
左:稜線をゆく
中:木道を渡る
右:チブリ尾根避難小屋

登山口から二時間半、ようやく樹林帯を抜けて視界が開けて来た。笹原が広がり麓の景色も良く見える。しかし主稜線の山並みはガスに覆われてほとんど見えない状態だ。風はややあるものの日差しはきつい。そしてようやく弟に追い付く。尾根の登りが一服し、木道が出て来るとチブリ尾根避難小屋はすぐだった。ここで昼食。急いだおかげで何とか予定の時間に追い付く事が出来た。しかし日射とハイペースの為に弟がダウン。とりあえず小屋で昼寝を決め込む。しかしようやくここで本日の中間地点だ。久々に弟のパワーに圧倒されそうになったがやはりいつものパターンを繰り返すのか。先が思いやられる。

  
左:まだまだチブリ尾根は続く
右:主稜線から別山方向

避難小屋を過ぎるとやや下って池を通り過ぎ、すぐに登り返す。しかしここでも背丈ほどの木が茂り、景色はほとんどない。やはり標高2000Mでは森林限界とはいかないのか。時々木々の隙間からうっすらとガスに覆われた主稜線が見える。やがて登山道は九十九折りの登りとなる。急な登りで弟のペースは一気にダウン。自分も疲れて来たが弟のペースでは何ら問題はない。主稜線の直下まで来るとようやく森林限界となり、ハイマツが広がって来る。そして何とか主稜線との分岐点に到着した。やはりスローペースがたたってコースタイムを若干オーバーしてしまった。周囲はガスに覆われてただ立ち尽くすのみである。

  
稜線を歩く

予定では別山まで足を延ばすつもりだったが、視界不良や疲労から今後もコースタイムより遅れる事が予想されたので断念した。わずか10分の距離だったのだが仕方がない。小屋に着くのが遅くなるのは避けたい。大屏風と呼ばれる崖は稜線でざっくり切れていて白馬岳のよう。ガスの流れる中、アップダウンを繰り返して稜線付近を歩いて行く。地図に通行注意とあり視界も効かないので心配していたが別段危険な感じはしなかった。所々に高山植物の花が咲いていて疲れた体と心を和ませてくれる。

    
左:お花畑
中:赤谷の渡渉点
右:南龍ケ馬場山荘

天池を過ぎ、油坂の頭あたりへ出ると登山道の周囲がお花畑になっていた。周囲がガスで見えない為、幻想的ですらある。そこからは赤谷の渡渉点まで下り。下りは体力を使う事がないので弟もなかなかハイペース。谷を渡って登り切ると平坦な木道となり、ガスの中から南竜山荘が見えて来た。気が付けばほぼ予定時刻での到着だった。これなら十分別山に行く時間があったと思ったがもう遅い。小屋に着いてから周囲を散策、ここはお花畑で有名なはずなのだが、ポイントが分からず疲れもあってあっさり引き上げた。翌日も長丁場なので夕食後は早めに休む事にする。

    
左:南竜ヶ馬場
中:弥陀ヶ原から御前峰
右:白山神社と御前峰

朝食の弁当を食べていたりして、予定よりも30分弱遅れで出発。そこで白山御前峰へは最短コースのエコーラインで行く事にする。南竜道との分岐点あたりから斜面にお花畑が広がっていた。登って行くとやがて南竜ヶ馬場を見渡せる場所に出る。ガスに覆われて別山方面は見えない。しかし、御前峰方面は快晴で高山植物を見ながら気持良く尾根道を登って行く。弥陀ヶ原に出ると木道になり、快適な登山道をひたすら進む。別当出合からの登山道に合流すると、石だらけの斜面になるがやがて白山神社の奥宮がある室堂に到着した。

    
左:別山方向
中:御前峰山頂
右:大汝峰方向

室堂でトイレ休憩。ここから下山までトイレはない。準備を整えて山頂の御前峰へと向かう。室堂や弥陀ヶ原の景色を眺めながら順調に登った。山頂で写真を撮ってもらい暫し景色を楽しむ。しかしまだ先は長いのでゆっくりもしておれない。早々に切り上げて大汝峰へと向かう。カメラのフィルムが残り少なくなったので、撮影は弟に任せて紺屋ヶ池の雪渓に寄ってみたりいくつか池巡りを楽しむ。計画時にエアリアマップの大汝峰周辺のコースタイムを読み間違えていたのだが全く気付いてなかった。もっと分かりやすいポイントで書いてあったら良かったのだが。

    
左:剣ヶ峰、御前峰方向
中:大汝峰
右:七倉山方向

大汝峰まで来るとさすがに人がめっきりいなくなってしまった。ここから御前峰と剣ヶ峰が並ぶ景色が何とも言えず素晴らしい。ここを過ぎるとあとはほぼ下りになるので名残惜しいが、まだまだ先は長い。大汝峰をあとにしてハイマツ帯を下ってゆく。

  
左:御手水鉢
右:七倉ノ辻から四塚山方向

大汝峰と七倉山の鞍部にあるのが御手水鉢。その名の通り水の溜まっている岩がある。そこから少し登った七倉山の肩にある十字路が七倉の辻。ハイマツ帯がまばらになるとお花畑が姿を現す。この辺りを北龍ケ馬場と言うらしい。景色が良いのでゆっくりしたかったが、ここで予定より30分遅れている事が判明。帰りは白山スーパー林道を通りたかったので遅れる訳にはいかない。七倉山も四塚山もすぐ目の前だが急いで下りる事にする。

    
左・中:釈迦新道のお花畑
右:白山釈迦岳

尾根に沿って下りてゆく。8月も下旬ながらお花畑が登山道の周辺からずっと先まで続いている。さすがに感動。来て良かった。この尾根に名前がないのが惜しい。時間が押していてゆっくりしていられないのも残念だ。お花畑を過ぎると笹原の道になる。急いで山を下りた結果、三角点のある白山釈迦岳へは予定より30分早く到着、と言ってまさか一時間も縮められるはずはなく、またしてもエアリアマップの読み間違い。ここで昼食、ガスが出て展望がないので30分で出発する。

    
左:白山釈迦岳周辺の登山道
中:樹林帯
右:林道出合

釈迦岳前峰は展望ポイントなのだがガスで主稜は全く見えない。麓に見える湯ノ谷の景色を眺めつつ先を急ぐ。ここから登山道は九十九折りの下りになり、やがて樹林帯に突入となる。展望のない登山道をひたすら下ってゆくと林道に出た。もうあと一息である。

  
左:白山禅定道
右:登山口

下りの林道ということでどうしても足が速くなる。しかし、思ったよりコースタイムは稼げなかった。40分ほど砂利道を歩くと道標があり、白山禅定道に出合う。市ノ瀬から観光新道方面へ向かう登山道だ。林道を通るよりこちらの方が短縮になるので登山道へと向かう。杉林の中を15分程で再び林道に出る。ここが釈迦新道、白山旧越前禅定道の登山口になっている。しかし、市ノ瀬へは舗装された道をもう少し歩かねばならない。堰堤そばの橋を渡り、チブリ尾根への分岐を過ぎてようやく市ノ瀬の駐車場に到着。結局、七倉の辻から林道まで他の登山者に会う事はなく、静かな山行だった。帰路は予定通り白山スーパー林道を利用して景色を楽しみつつ、富山に帰った。

 余談 やはり白山は最高の山だった。ガスが出て景色が一時的にしか得られなかったのが惜しかった。
エアリアマップのコースタイムの起点が分かり難い部分があった。
最初に道を間違え、取り戻そうとして急いでバテたりいろいろ反省点のある登山だった。これがなければ別山へ行けた。
HOME