早池峰山

(1917M)

悪天候、岩手山再び断念

日程

岩手山が噴火してしばらくは入山禁止で計画を立てる事も叶わなかった。しかし解禁されて年数も経ちようやく登山に向かう事にした。お盆の四連休を利用して同じ岩手県の早池峰山もついでに登る計画とする。早池峰山では環境保護の為に携帯トイレ推奨で携帯トイレ用のトイレもあるという。そんな事もあって今回初めて携帯トイレを購入、持参する事にした。早池峰山は避難小屋で一泊、岩手山はテントで二泊の計画。しかし実際には天候が悪く登山靴も浸水、そして足を痛めてしまい早池峰山の主稜歩きを断念、岩手山の登山は中止せざるを得なかった。岩手山の中止は二度目。またの機会を待つ事とする。

 8月12日 富山(17:27)盛岡(23:28) 
 8月13日  盛岡(6:30)門馬(7:25)=門馬早池峰神社(8:00)=林道入口(8:15)=登山口(9:30)=5合目(10:30-10:55)=7合目(11:40)=8合目(12:25)=9合目(13:20)=山頂避難小屋(14:10)
 8月14日 山頂避難小屋(4:15)=中岳(5:30)=山頂避難小屋(6:55-7:25)=小田越(8:40-9:30)=薬師岳(10:25)=小田越(11:10)=河原坊(11:55)=早池峰神社(13:15)=岳(13:25-13:30)盛岡(16:15)
 8月15日 富山 

山行記録

仕事を終え、会社で着替えて直接駅へと向かう。昨年の蔵王登山で最終新幹線では十分に睡眠が取れなかった経験から一本早い電車で行く計画だ。急いで富山駅へと向かうが着いてみると新潟県内の豪雨で電車が20分遅れていた。さすがに乗り換えが心配になる。越後湯沢には30分遅れで到着。一本遅れの上越新幹線で車掌に聞くと最終列車を1分遅らせるとの事だった。やれやれ、結局最終列車で予定より一時間遅れで盛岡に到着した。早めに出て正解だったと胸をなでおろす。翌日の朝食をコンビニで調達し盛岡駅前のホテルで宿泊。ずっと気が張っていたせいかすぐに眠った。翌朝、盛岡駅前から宮古行きのバスで出発。乗客は10人ほど。ゆったり乗る事が出来た。ほぼ予定通り登山口のある集落の門馬に到着。降りたのは私一人。運転手さんにお願いしてバスの写真を撮らせてもらう事も出来た。

  
左:門馬バス停
右:門馬早池峰神社

登山口へ向かう前に門馬の集落にある門馬早池峰神社へと向かう。しかしエアリアの地図に神社の場所が出ておらず、記憶を頼りに行くしかなかった。鳥居の横に遊漁場があるが神社はその奥ではなかった。迷ったあげく遊漁場の人に場所を聞いた。おかげで何とか神社に辿り着く。ここで登山の無事をお願いし、国道へ引き返す。途中で会った人に熊に注意するよう言われる。国道を400Mほど行くと林道入口。橋を渡って林道を行く。林道は樹林の中を行くが時々周囲が開けた場所があったりして気持ち良い。舗装道路はやがて砂利道に変わりなお続く。途中で雨になり雨具に着替える。やがて分岐点にゲートがあり登山口に到着。神社で迷ったせいで予定より一時間遅れている。監視員の人がいて行先を訊ねられた。そして熊出没の話も出た。山頂避難小屋泊まりで小田越に下りるコースと答えてゲートをくぐる。

       
左:門馬登山口
右:五合目

ゲートの先も林道になっているが五分も行かないうちに登山道へと入る。しばらくは握沢沿いの道。鉄の橋などがあり整備はされているように思えるが草付きが多くあまり歩かれていない印象。しかしここは遅れを取り戻すため先を急ぐ。やがて登山道は沢沿いを行くようになり、握沢の渡渉点である五合目に出た。ここで昼食。急いで来たせいもありもう体はバテ気味。しかもどうやら登山靴が浸水しているようだ。ラーメンを食べながら考える。まだ撤退する程ではない。天候も小雨が時々降る程度になって来たのでとりあえず山頂の避難小屋まで行ってから考えることにした。

  
左:七合目
右:早池峰山頂避難小屋

五合目からが本格的な登り。登山道も土の道から石の目立つ道に変わって来た。雨具を着け、風もないのでとにかく暑い。そして石に苔が着いているのか登山道がよく滑る。重装備なので何度か転ぶと精神的にダメージが大きい。もう登山靴は買い替えだ。そう決心しつつ我慢の登山が続く。七合目を過ぎたところで単独の人とすれ違う。たぶん日帰りの人だろう。八合目あたりからは完全にバテてしまい、休んでは少し歩きで全くペースが落ちてしまった。ゼリーや行動食を取りながら気力で前に進む。ガスの為に景色がほとんど得られず、目の前に山頂避難小屋が現れた時は本当に助かったと思った。とりあえず濡れた登山靴を脱ぎ、横になる。30人は泊まれるであろう避難小屋は無人だった。宿泊禁止と大きく書いてあるのにびっくりしたが登山口で何も言われなかったし、そもそも動ける体力は残っていなかった。予定では鶏頭山を往復するつもりだったが諦めて体力回復に努めることにする。結局誰も来なかった避難小屋で暗くなる前に炊事をして早めに休む。

       
左:ハヤチネウスユキソウはとっくに終わってる
右:中岳

朝、明るくなる前に目が覚めた。しかし体力回復を優先して明るくなるまで行動を控える。この日の元々の予定は剣ヶ峰と薬師岳を往復して下山であったが様子を見ながら中岳と薬師岳を往復する事に変更した。天候はガスで何も見えないような状況だったが仕方がない。雨具を着てサブザックだけ持って中岳へと向かう。岩場のアップダウンのあるハイマツ帯を歩く。高山植物はほとんど終わっていたがそれでも雰囲気だけは感じる事が出来た。しかしさすがに朝飯前の二時間半は長かった。空腹に耐え、早池峰山の山頂もそこそこに避難小屋へと戻る。食事とトイレを済ませていよいよ下山にかかる。

       
左:早池峰山山頂
右:御田植場

避難小屋には通常のトイレと携帯用トイレ用のトイレがあり、携帯トイレ用を利用する。さすがに勝手が違うので戸惑う。携帯トイレは前日の分を含めて小二回分と大一回分を使用。しかし重さはともかく量はかなり嵩張る事が分かった。下手をすると1.5Lの水筒二つ分はありそうだ。あまりザックの下の方に置いて破裂させるのも怖いのでそっと上の方に入れる事にする。恐らく三日も携帯トイレで過ごすと大変な事になるに違いない。登山靴は相変わらず濡れたままであるが小田越コースは門馬コースよりも歩かれているせいもあってとても歩きやすい。御田植場の木道など楽々通り過ぎる。

         
左:ハシゴ場から稜線を見る
右:ハシゴ場

主稜線から下り始めるとガスが晴れてようやく少し景色が得られるようになって来た。これから歩く登山道が眺められるだけでもかなり違う。正面に薄く薬師岳が見える。早めにハシゴ場をクリアしないと降りるのに手間取ると考えガレ気味の登山道をどんどん下る。しかし心配するまでもなくハシゴ場まで一組しか登山者に会わなかった。ハシゴ場も無人。鎖でも十分なほど斜度は緩いが登山者の数が多いならハシゴもありだろう。景色を眺めながらゆっくり降りた。五合目を過ぎたあたりからようやく多くの登山者とすれ違う様になった。相変わらずガレ場が続くが斜度が緩くなって歩きやすい。しかし洪水状態の登山靴で頑張ったせいか、案の定足の裏に水膨れが出来てしまった。

  
左:小田越登山口
右:小田越山荘

樹林帯に入るとガレ場も少なくなり最後に登山道は木道になって小田越登山口へ出た。ここで休憩。雨も降らなそうだし登山靴を脱いで足の確認。何人も登山者が通り過ぎるが、早池峰山ごときで足を痛めて座り込んでいるのは恥ずかしい。まともに歩ける状態ではないが、とりあえず足を乾燥させ、包帯で患部をカバーする。帰りのバスの時間は予定していた便しか分からなかったが薬師岳なら何とか間に合うだろうとの判断で朝の予定通り最短コースで往復する事にした。足の調子を確認するため、小田越山荘の避難小屋を往復。山頂の小屋に比べて古いが水場が近くにあり良い感じだ。足の調子もまず良い感じ、これなら大丈夫そうだ。

  
左:ヒカリゴケ??
右:薬師岳山頂

早池峰山から降りて来た登山口とほぼ向かい側に薬師岳への登山口がある。まずは木道からスタート。樹林帯の中を登る。昨日の雨で登山道は濡れているが早池峰山ほどガレガレでもなく岩も何となく滑りにくくて歩きやすい。大岩にかかる鎖場を越える。歩きながらヒカリゴケがないか岩場の影を何度も覗くが見た事がないものなので断定できずに過ぎる。森林限界を越えるとガスの中で景色は全く得られなかった。霧雨が降っていたので再び雨具を着ける。途中、何組かの登山者とすれ違う。最後、岩場の中を歩いてゆくと薬師岳の山頂に到着した。山頂は無人だったので写真だけ撮ってすぐに往路を引き返す。思ったよりも早く歩く事が出来た。

  
左:自然保護センター(河原坊)
右:早池峰神社

小田越へ戻ってみるとまだ河原坊へ行くシャトルバスが来ていなかった。予定ではこのバスを利用するつもりだったが並んでいる人もいなかったのでバス停が分からず歩いて行くことにする。予定時間をオーバーしてちょっと時間が苦しくなって来た。小田越から河原坊は2km、河原坊から岳まで距離にして6km強といったところか。さすがに河原坊までは十数人歩いている人がいたが岳まですれ違った人は一人だけだった。下りなので時々小走りを入れる。両足ともマメが出来て痛みが大きくなって来たが出来る限りの速度で歩いた。早池峰神社に寄り、岳のバス停に着いたのはバスの来る三分前だった。

  
左:大迫バスターミナル
右:盛岡駅

何とかバスに間に合い一安心。大迫バスターミナルでの一時間の待ち合わせも足のケアをしているとあっという間だった。盛岡駅に着き、遅い昼食をとる。未練はあるが岩手山は諦めざるを得ないだろう。とても長時間歩ける状態ではなかった。切符をキャンセルして買い直す。東北新幹線は全車指定席なので心配したが、何とかやまびこに空きがあった。時間まで一時間以上あったので植え込みに腰かけて足を乾かす。盛岡からはやまびこ、大宮で能登に乗り換えて翌朝富山へ帰った。残念な結果に終わった岩手登山ではあったが帰宅予定日だった16日、宮城県沖で地震があり東北新幹線が全面ストップしてしまった。世の中何がどうなるか分からない、予定通り行動していたら会社に間に合わなかったと思うと残念な中に少しほっとした気持ちが生じたのも確かだった。

 余談 林道の距離を計りかねる場面が多く、急いで歩いた結果、体調を崩してしまった。
携帯トイレは量的にかなり嵩張る事が分かった。連泊で使うことはかなり難しいだろう。
高山植物はほとんど終わっていたが静かな登山を楽しめた。
これを機に登山靴を買い替えた。
HOME  2005年  富士山