岩木山

(1624.7M)

津軽の象徴

日程

最初に岩木山に登る計画を作ったのは97年の夏のことだった。お盆休みを利用しての岩木山、岩手山、鳥海山登山。複数の山をハシゴする計画を作ったのはこれが初めてだった。それなりに労力をかけた事を覚えているが、電車の予約が取れずに断念。やむなく翌年を期待していたが、岩手山の噴火によって計画そのものを見直さざるを得なくなってしまった。計画をやや修正し、今回は岩木山と鳥海山に登る。日本海1号の寝台を取れるかが今回も焦点となったが、心配するまでもなく無事切符を手に入れる事が出来た。これで登山も成功したような気分になっていたのは言うまでもない。

8月13日 富山駅(22:22)
8月14日 弘前駅(07:52)岩木山神社前(08:45)=桜林公園(09:15)=姥石(10:15)=焼止りヒュッテ(11:15)=鳳鳴ヒュッテ(12:25)=岩木山(12:50−10)=8合目駐車場(14:10)=嶽温泉(15:40−35)弘前駅(17:40−18:47)秋田駅(21:39)

山行記録

富山駅で予定通り日本海一号に乗り込む。この列車の切符を取るまでどれほど気を揉んだことか。しばらく感慨に耽り、それから眠りにつく。眠る時間は十分にあった。一時間前には準備を済ませ、余裕を持って弘前駅に降り立つ。バスターミナルまでは歩いて五分。事前の調査も完璧だ。既に停まっていたバスへまっすぐ乗り込む。乗客は多かったがほとんどが帰省客の様子、市内を抜ける頃にはほとんど居なくなってしまった。それでも岩木山神社前では4,5人が降りた。歩き始めるとすぐに神社の鳥居が見えてくる。

  
左:岩木山神社
右:神社から続く道

百沢温泉の前を通り、岩木山神社の参道を歩いてゆく。早朝にも関わらず訪れている人は多かった。さすがに津軽一宮、北門鎮護の名社だけはある。お守りを買い、拝殿、本殿へと向かう。登山の無事を祈ったあと看板に従い拝殿の脇から登山道へと踏み出した。まずは気持ちの良い杉林から始まる。

  
左:スキー場脇を通る
右:ようやく登山道らしくなる

杉林を抜けると道路を渡って桜林公園へと入ってゆく。中にテントがいくつか見える。キャンプ場として利用されている様だ。桜は花見に都合が良いようにだろう、散らばって植えられていた。いかにも公園らしい階段状の遊歩道を歩いてゆく。公園を抜けると再び道路があり、開けた場所に出た。岩木山百沢スキー場だ。その向こうには雲を被った岩木山が見えている。標識に従ってスキー場の脇を通って行くとやがて樹林帯に入り、すぐに金ピカの大黒さんと恵比寿さんのいる広場に出た。ここからは道も細くなり、ようやく登山道らしくなって来る。

  
左:姥石の道標
右:焼止りヒュッテ

しばらくは見通しの悪い樹林帯の登りが続く。九十九折りになっている七曲の急坂を登ったあとはひたすらダラダラとした尾根歩き。七曲、鼻コグリ、姥石などと書かれた標識のあるポイントだけが登拝道としての歴史を感じさせてくれる。やがてひょっこりと焼止りヒュッテに到着。ブロック造りのヒュッテはあまり綺麗な感じではなかったが、内部は広くて十分使えそうだった。ヒュッテの表からは麓の景色が見渡せた。不案内なみちのくの景色だけに、何も特定出来ないが気分は晴れる。思ったよりもガスが上がってきている様だ。

  
左:坊主ころがし
右:大沢から麓を見る

登山道はヒュッテの前を通り、ほぼ水平にトラバースしながら大沢へと続いている。そしてこれまでの尾根歩きから一転、沢沿いの道となった。足元にはしだいに岩が目立つようになってくる。少し登ると背後に再び麓の景色が見える様になった。沢沿いの道は多少歩きにくい所もあったが変化に富み、楽しく登ることが出来た。

  
左:二の御坂?
右:岩木山山頂

錫杖の清水で一休みしたあと、さらに大沢を詰めてゆく。登るにつれてガスが濃くなり、種蒔苗代まで来たときには5M先ぐらいまでしか見えない状態になった。池の周りは踏み跡が乱れていて少し混乱したが、すぐに階段が始まったのでそのまま登る。すぐに鳳鳴ヒュッテへ到着、休憩がてらここの鐘を鳴らした。ヒュッテからは岩場の急坂が始まる。山頂がいよいよ近付いてきたように思えて嬉しいが、やはり体の疲労が堪えてなかなか苦しい登りだ。8合目から来たと思われる集団に次々と抜かされる。中には走っている人もいた。そんなに急いで何処へ行くのだろうか。気にせず歩き続ける。やがて売店のある平坦地を通過し、再び前と同じような岩場の急坂を登りきると岩木山の山頂だった。岩木山神社の奥宮と社務所がある山頂は思ったよりも広く、適当な場所で昼食を食べる。ガスがひどく展望が得られないのですぐに山を下りることにした。

  
左:鰺ヶ沢湾?
右:岳温泉

鳳鳴ヒュッテまでは往路をたどり、道標に従ってさらに8合目のスカイライン駐車場へと向かった。ヒュッテを過ぎてからも暫くは岩場の急坂が続く。樹林帯に入るとかなり歩きやすくなったがそれでも足元は意外に悪い。さすがに観光道路とはいかないようだ。駐車場の近くまで下りるとようやくガスの下に出て景色が眺められるようになった。麓の景色が一望できて素晴らしい。また、駐車場周辺でも周囲の景色を見る事ができた。知らず知らずのうちに歩き回ってしまい余計に疲れてしまった。

  
左:岳登山口へ
右:津軽山唄全国大会(嶽温泉)

嶽温泉への登山道はリフト乗り場の前から始まっていた。ここも非常に眺めがいい。麓を眺めながら急な坂道をジグザグに下ってゆくとすぐに樹林帯へ入った。やがて道が広くなって来るとほぼ一直線の単調な下りを行くようになる。かなりのバカ尾根だ。そんな道がほとんど登山口まで続いた。最後は林道を道路まで歩いたが、そこに嶽温泉はなかった。分岐を間違えて羽黒登山口に出てしまったのだ。嶽温泉までの1kmは完全にアルバイトとなった。途中の露店で嶽きみ(とうもろこし)を買ったので食べ歩く。これがかなり美味しかった。嶽温泉に着くと特設ステージで「津軽山唄全国大会」が行われている最中だった。なかなかいい雰囲気。駆け足で温泉に浸かってから見物客に混じる。時間もあったので結局最後まで見てしまった。それからバス停に並んだが時既に遅し、帰りのバスは超満員で弘前まで立席となってしまった。弘前駅前でお土産を買い、それから奥羽本線を秋田駅へ向かった。かなり疲れた一日となってしまったが歴史、文化、特産品に触れることの出来た岩木山登山はとても有意義な登山だった。

余談 エアリアマップに岩木山が入ったのは98年でした。今回の山行では岩木山の地図を持たず、図書館で借りた東北の山(ヤマケイ)を持って登りました。出すのが面倒でほとんど見なかった気がします。
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