伊豆登山

天城山と展望の山へ

日程

今年の弟との登山は12月になってしまった。お盆過ぎに引越しをした事で秋口からバタバタしていたからだった。計画を立てた頃には10月も半ばを過ぎ、中越地震で関東方面への交通が麻痺したり互いの予定が合わなかったりで12月までずれ込む結果となった。関東近辺で12月に登るとすれば房総か伊豆が考えられたがまずは伊豆へ行くことで一致した。問題はコースだったが、車でも公共交通機関でも難があってなかなか判断が着かなかった。伊豆最高峰の天城山と展望の山を軽く登るテーマでアプローチは車の計画でいく。私は伊豆が初めてなのでもっと観光したかったのだが計画にさほど余裕も無く却下となったのだった。

12月11日 川崎(6:40)大観山(7:40)十国峠(8:10−50)=岩戸山(9:30)=十国峠(10:45−10)天城山天城高原ゴルフ場側登山口(12:15)=万三郎岳(14:00−30)=天城山天城高原ゴルフ場側登山口(15:50)湯ヶ島温泉(17:10)
12月12日 湯ヶ島温泉(6:45)戸田峠(7:30)=金冠山(7:50−20)=戸田峠(8:40)かつらぎ山パノラマパーク(9:20)山頂駅=発端丈山(11:00)=葛城山(12:40)=山頂駅かつらぎ山パノラマパーク(13:10)三島大社(15:30)=三島駅富山

山行記録

例によって前夜弟の家に泊まり、早朝出発。今回は車での移動となるので飲酒はほどほどにして早めに寝る事にする。と言っても1時は過ぎていたのだが。6時起床、準備をして6時半に出発する。最初は弟の運転。10分ほどで東名川崎インターから高速道路に乗る。土曜日の早朝と言うのにそこそこ混んでいた。海老名あたりから車も少なくなって走りやすくなる。東名高速から小田原厚木道路、ターンパイクを通り、大観山で休憩。予報どおりの好天、富士山と芦ノ湖の展望台を満喫する。ここで運転を交代。ターンパイクを抜け、十国峠の登り口へと車を走らせた。

       
左:十国峠のケーブルカー
右:頂上駅からの富士山

十国峠レストハウスの広い駐車場に車を停める。ケーブルカーは8時35分からなので外のベンチで朝食とする。実家から持ってきた弁当は量が多く食べきれそうに無い。ちょっと寒かったので売店で味噌汁を買って飲んだ。やはり伊豆でも冬は寒いのか。やおら動き始めたケーブルカーを目に荷物を車に片付け乗り場のあるレストハウスの中へ向かう。今回の伊豆登山は軽装、私はナップザック、弟はウエストポーチだけ持ってすべて回る予定だ。ケーブルカーの乗客は5人ほど、朝早いのかガラガラだった。文字通り一直線に登ってゆくので景色も単調。しかし頂上駅の上に立つと景色が違った。富士山、箱根、伊豆の山々に大島と360度の展望。これは料金を払う価値があるな。暫く景色を眺める。

       
左:岩戸山山頂(734.4M)
右:岩戸観音

午後からは天城山へ行く予定があり、あまりゆっくりも出来ないので岩戸山に向けて歩き出す。車なので山頂ピストン登山だ。標高は岩戸山が734.4Mで十国峠が771M。アップダウンも緩やかでお気楽登山にはちょうど良い。山頂駅から芝生広場を通り過ぎると道路に出る。なんだ道路があるのかとちょっとがっかり。日金山東光寺の参拝者用なのか、巨大な墓地に駐車場もある。観光地に墓地は似合わないだろと道路を歩いていくと東光寺の横から正面へ出た。ここからようやく登山道、というか旧参道なのだろう軽トラぐらい通れそうな道だ。分岐点には案内標識だけでなくお地蔵さんも立ち、雰囲気も十分だ。湯河原温泉や熱海温泉へ向かう分岐を分け、ようやく登山道を岩戸山に向かう。ほぼ尾根沿いの登山道は斜度も少なく歩きやすいが潅木や笹が高く周囲を覆っておりどこを歩いているのか分からなくなる。緑のトンネルは十分に刈り払ってありそれはそれでいい雰囲気。登り返し始めてようやく背後に景色が期待できそうだと思ったのもつかの間、何となく山頂に到着。熱海だろうか海岸線が見える、その先には伊豆大島。十国峠の山頂駅も良く見える。暫く景色を楽しみ、続いて岩戸観音へと向かう。山頂からほんの少し先へ行くとちょっと景色の良い場所があり、標識がある。ここから尾根を外れ、北側の斜面を下る。ロープもあるちょとした急斜面。その中腹に岩戸観音があった。祠は閉まっていて中は良く見えない。岩戸観音は岩戸山と何か関係ありそうだったが結局良く分からなかった。帰りは往路を引き返す。気温も上がってポカポカ陽気でゆったり登山と最高の気分、もったいないと景色の良いところで寄り道したりしながら山頂駅に向かった。駅ではわさびソフトを食べる。ちょっと意外な組み合わせだ。

       
左:登山口
右:万二郎岳山頂(1299M)

十国峠を出るとすぐに伊豆スカイラインに乗った。山道にしては高低差が少なく走りやすい道路だ。急カーブは少ないがカーブはかなり多く一度追い越し中に対向車がやって来てかなり危なかった。あの時は死ぬかと思ったな。天城高原インターを通り、天城高原ゴルフ場横の登山者用駐車場に入る。思ったより駐車場は広い。百台は停まれそうだ。道路を挟んだ向かいがもう登山口となっている。もう昼も過ぎていたが時間もないのですぐ山に入った。さすが百名山と言うか登山道は整備が行き届いているが何気に荒れている様子が感じられる。冬枯れのせいばかりではない。昨年の集中豪雨の爪痕が残っているのだろう。植生保護とかでシャクナゲコースが通行止になっていて万三郎岳を経由しての周回コースが歩けなくなっていたのもその影響でとても残念だ。コースはほとんど樹林帯。登山口から小さな沢を渡りながら小さなアップダウンをこなし、通行止めになっているシャクナゲコースとの分岐点を折れる。登山道の左側はずっとゴルフ場のはずだが樹林に囲まれて全くそのような感じはしない。土砂の流れた崩壊地を横切る事もあったが少し登ると豪雨の影響もほとんどなく、樹林帯を右へ左へ快調に歩いてゆく。万二郎岳直下の急坂も勢いに任せて登ったがこれはさすがにきつかった。途中、豪雨で流れたのか道の付け替えられた所があった。暑くなって来たので万二郎岳に着く前に上着を脱ぐ。この日の静岡の最高気温は18℃、12月とは思えない暑さだった。

  
左:万二郎岳
右:万三郎岳山頂(1406M)

万二郎岳の山頂は樹林帯の中の目立たない場所だった。ちょうど下山のピーク時で休んでいる人も多く、休憩もそこそこに息を整えて出発する。万二郎まで登ればあとは楽チンかと思いきや万三郎岳との間にはもう一つピークを越えて行かねばならず、行程から言っても道半ばといった感じ。一度下って登り返す。馬の背と言うからには景色もいいだろうと期待したが相変わらずの樹林帯で見通しは悪い。アセビ(馬酔木)のトンネルとあるけど洒落のつもりか。わざとなのかオーバーユースなのかかなり登山道がえぐれている。おかげでトンネルも歩きやすい。時々岩がゴロゴロしている場所もあるが単調な道にはよいアクセントだ。馬の背を越えた鞍部は石楠立(はなたて)と言うらしい。今度は石楠花のつもりか。どっちにしても今は花の時期ではないので考える必要はない。ひたすら樹林帯を行く。そして今度はぶなの木の看板。こっちは季節外れには違いないが見応えがある。最後の急登を登り、万三郎岳の山頂に着く。この時間もう男の人が二人残っているだけだった。写真を撮ってもらい、遅めの昼食とする。ほぼ朝食の残りだったが量は十分にあった。山頂も樹林に覆われて景色は得られない。何とか木々の間から覗こうとしだが朝は快晴だった空は既に霞んで富士山も辛うじて分かる程度しか見えない。宿の時間もあるので適当に切り上げて山頂を後にした。帰りは往路をそのまま下る。行きと違いすれ違う人もほとんどおらず、長居出来なかった万二郎岳でゆっくり過ごしたりしながら快調に歩いた。


民宿「しきや」

車に戻るともう16時になっていた。今晩の宿は湯ヶ島温泉の民宿、食事の関係か17時までに来て下さいとの話だったのにあまり時間がない。カーナビに従って走るが修善寺経由になるので地図で見るよりも相当遠かった。冬だけに暗くなるのも早い。着いた時にはもう辺りは真っ暗だった。ここの名物は猪鍋(要確認だが)と言うことで山海の伊豆の幸をいろいろ満喫出来たが肉の量がちょっと少なかったな。次の日朝早いので弁当を作ってもらう事にし、温泉に入って早めに寝た。

  
左:金冠山山頂(816M)
右:淡島、沼津アルプス、右端は発端丈山

早く眠りについただけに朝も早く起きることが出来た。眠気覚ましに前日は暗くて見えなかった温泉街を5分ほど軽く歩いてみる。天気は曇っていて前日との落差か少し寒い。時間を見てカーナビをセットして出発する。朝飯前の登山は金冠山。戸田峠からの往復だ。片道15分の楽々登山。交差点の角に駐車場があり、道路を渡った反対側の角のトンネル脇に登山口がある。最初、分からずにトンネルの中を歩いて行ってしまい時間を無駄にしてしまった。コースはとても整備されていて車一台通れそうな舗装道路で始まる。入口には鎖があり車は入れない。まずはトンネルの上に出てほぼ下の道路と平行に歩いてゆく。緩やかな登り。もう山頂のアンテナが見えている。だるま山高原レストハウスからの道に合流すると最後の一登り、で山頂に到着。空が曇っているせいで富士山は全く見えなかったが、沼津アルプスや達磨山など付近の山々は見る事が出来た。早速朝食にする。民宿の弁当はおにぎり弁当、少し風が出ていて座って食べていると寒かった。食事をしているうち5、6人の人が登って来たが山頂は広いので皆思い思いの場所で寛いでいた。天候が回復しそうにないので下山する。

  
左:かつらぎ山パノラマパーク
右:葛城山山頂(452M)

戸田峠から伊豆長岡へと車を走らせる。またまた修善寺を通過。朝も通ったからこれで三度目だ。葛城山、発端丈山を目指すが、最初の計画では内浦の海岸から登る予定が民宿でコースがきついと聞かされてロープウェイからの往復にした。登山口を探す手間はともかく、どうと言うことはないと思ったのだが分からないので仕方がない。かつらぎ山パノラマパークの巨大な駐車場に車を停めて早速ロープウェイに乗り込む。眼下にはみかん畑、産地なのだろう。旬のみかんが美味しそうだ。雲が多く富士山の景色は期待出来ない。葛城山の山頂はロープウェイの山頂駅から1分ほど歩けば到着する。さすが簡単に来る事が出来るせいか結構人が多い。どうせまた戻って来るのでさっさと発端丈山へと向かう。板張りのボードウォークを過ぎ、自然観察路へと入る。確か葛城山背面登山口という近道があるはずだったが分からず観察路を一周して戻ってしまった。仕方がないのでボードウォークまで戻り発端丈山ハイキングコースの道標に従う。

  
左:発端丈山山頂(410M)
右:淡島、沼津市街

九十九折の急坂をどんどん下りてゆく。本当にまた葛城山へ戻って来なければならないのだろうか。人の話は程々に聞くものだと思う。150M以上は下ったかと思う頃舗装道路に出る。麓から歩いて登ってくる道だ。道標はしっかりしているので今度は道路を登り返す。やがて終点、登山道となるが倒木があったり道がえぐれていたり荒れている。天城山と同じで集中豪雨の影響か。しかし城山と発端丈山の縦走路まで出るとよく歩かれたとても歩きやすい道となる。益山寺への参道なのか。益山寺への分岐を見送るといよいよ登山らしくなる。アップダウンもきついが倒木が多く道を塞いでいて歩くのに結構難儀した。これで前日並みに暑かったらもっと大変だったろう。何とか発端丈山の山頂に到着。しかし景色は樹林もあり、あまり満足出来るものではなかった。ここは富士山が見えないと何もない。しばらく山頂で休息。山頂には四、五人の学生風の人達が既にいて写真を撮ってもらう。すると子供連れの15人ぐらいの団体が内浦側から登って来るではないか、嗚呼。何とか良い景色の写真を撮りたかったので少し内浦側に降りてみる。九十九折れの登山道を下りると淡島が見えてきた。ここで写真を撮って引き返す。

       
左:倒木の間を歩く
右:三島駅

帰りは往路を戻る。普通に往復するより縦走したほうが楽だったろう。とは言え来た道なので特に問題なく葛城山まで戻って来た。山頂では葛城神社や土産物店、百体地蔵など見どころがあるので少々ゆっくり過ごす。展望は変わらず。ロープウェイで山麓に下りてここでも土産物を物色。弟は外の露店でみかんを買っていた。昼食は近くでトンカツを食べ、量が多くて腹いっぱい。ちょっと昼寝。そして帰路に着く。週末のこと、車だと何時になるか分からないので三島大社で分かれる事にした。神社の前で下ろしてもらう。境内は結構広くて見回っているうちに辺りが暗くなってきた。三島駅まで歩き、「こだま」で東京へ。新幹線、特急を乗り継ぎ家路に着いた。

余談 富士山展望の山行のはずが思ったほど見えなかったのでとても残念だった
伊豆の12月は日中に関して暖かく、冬と言う感じはしなかった
人の話はどこまで参考にすべきか、どの程度自分に合っているか判断が難しい
伊豆の名物をそれなりに食することが出来、とても良かった
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