両神山

(1723M)

秩父山行その1

日程

今年の連休は3連休。どこか雪のない所で軽く縦走したいなと考えていたら秩父に気が付いた。秩父から奥武蔵にかけての山域は登山道が縦横に巡り縦走にはもってこいだ。最初はもっと雄大な縦走計画もあったのだが結局は秩父を拠点に日帰り登山を繰り返す楽チン計画に落ち着いてしまった。秩父の山に来るのもこれで4度目、すっかりお馴染みの地域になった感さえある。百名山の一つ両神山は一度登ってみたいと思っていた。両神山と言えば鎖場、登るとしたら日向大谷からの表参道をからませた縦走コースが一番だろう。バス時刻の都合上、坂本から日向大谷へ歩く事にする。一週間前、近所の牛岳で山開きのイベントに行ったりはしたが体力的には非常に心配だった。

5月2日 富山(22:58)
5月3日 秩父駅(6:34-10)小鹿野車庫(7:42-45)坂本(8:10)=登山口(8:30)=八丁峠(10:50-20)=西岳(12:10)=東岳(13:00)=剣ヶ峰(13:40-10)=清滝小屋(14:50)=日向大谷口(16:15-40)小鹿野町役場西武秩父駅(17:55)=秩父駅

山行記録

急行能登を熊谷で乗り換え、秩父鉄道を秩父駅へ。秩父へ向かうお決まりコース、熊谷の駅前で写真を撮ったり乗り換えも慣れたものだ。しかし前夜から風邪気味なのか体調が良くない。熊谷駅でも秩父駅でもトイレが近い。今までは三峰口駅まで乗っていたので今回秩父駅に降りるのは初めて、駅前でバスを待ち、まずは西武バスで小鹿野車庫へ行く。小鹿野車庫での乗り換え時間はないはずなのですぐに連絡すると思いきや、そうではなく乗り場も車庫から道路を挟んだ向かいのバス停だった。乗客は私を含め二人。勝手が分からずモタモタしていると運転手に怒られた。言われた通りバス停で待つと3分程で次のバスが来た。もう一人の乗客はすぐに降りてしまい坂本へ向かう西武バスはそこで完全に貸し切り。運転手さんと話しながら和やかに終点へと向かった。

  
左:小鹿野車庫(ちょうどバスが来た瞬間)
右:坂本バス停

坂本のバス停から国道を歩く。本当はバス停からすぐの所に近道があったのだが気付かなかったのだった。橋を見てもしやと思ったときにはもう遅い。大回りに回って登山口に到着。国道から少し入ると浄水場があり、登山道が始まる。浄水場の入口に車2台ぐらいは停まれそうだが邪魔になるかもしれない。すぐに河原沢川の谷沿いの道となるが樹林帯の道はとても歩きやすかった。やがて沢が近付いて来ると道がガレていたり、渡渉させられたりするようになる。作業道なのか枝道があったりするが目印の道標やテープが多いので迷う事なく歩いてゆく。対岸に林道が見えて来るようになると一旦沢を渡って林道の側まで行き、再び渡り直して右岸に戻る。すぐに大岩。祠とベンチがあり、中年の夫婦が休んでいた。軽装なので林道からちょっと来たのだろう。祠はかつて八丁峠を越える旧道があった名残なのだろうか。そんな思いも登山道が支沢に入りガタガタの細道が多くなるにつれ吹き飛んでしまった。沢の最奥部の斜面には土砂に隠れてまだ雪が残っている。沢を離れるといよいよ九十九折れの急登が始まる。八丁峠だけに胸突き八丁の言葉が似合いそうな休みなしのきつい登り。八丁隧道からの登山道と合流してもまだまだ気を緩めることは出来ないがジグザグが大きくなり斜度は緩くなったようだ。もう少しもう少しと歩き続けてようやく八丁峠に到着。とりあえずベンチで休憩、昼食とする。何とか予定通り到着。近くの鉄塔の場所からの景色が良い。

  
左:坂本登山口
右:八丁峠

ここまで登山者には会わなかったが昼食のうちに何人か山を下りてくる。車で早朝、日向大谷もしくは清滝小屋から来たのだろう。私もバスの時間が心配だし、うかうかもしていられない。なんといっても核心部はここからなのだから。予定より早目に出発する。少し歩くといよいよ最初の鎖場。しかし問題なく越えてゆく。痩せ尾根の岩場だが木立や草付きがあるとつかまる場所に不自由しない。なるほど高山と低山の違いはこんな所にあるのかもしれないと安心。思ったより簡単で拍子抜けした。しかし、体力だけはかなり必要と実感。アップダウンの連続。何と言っても両神山のギザギザを歩いているのだ。たまにすれ違う人はあったが渋滞などなくスムーズに行くことが出来た。

       
左:西岳
右:行蔵峠、西岳

西岳を過ぎるとキレットとも呼ぶべき登下降が東岳まで続く。今まで西側だけ崖だったのが今度は両側が崖。鎖場が連続し、アップダウンの大きさも半端じゃなく大きい。しかしやはり全然怖くない。それぞれのピークには人が溜まっていたが鎖場での渋滞はほとんど無かった。体力に任せてどんどん進むが、最後はやっぱり足に来た。頑張り過ぎるのも良くない。ちょっとフラフラに歩いた末、ようやく到着した東岳ではさすがに10分ほど腰を下ろして休む。ちょうど八丁峠から日帰りする人がたくさんいて、すれ違わずに済んだと思うとホッとした。

       
左:東岳からの眺め
右:東岳、下には龍頭神社のピークが見える

山頂までもうひと頑張りと気合を入れて歩き始めるが、もう核心部は過ぎてしまったのかアップダウンも鎖場も大した事なくおまけのような感じ。だらだらと越えてゆくと両神山の山頂に到着した。狭い山頂は10人以上の人がいて写真を撮ってもらうのに少々時間を要する。荷物を置く場所にも注意して、それからゆっくり展望を楽しんだ。360度の展望が望めるが、八丁尾根は東岳からこっちが手前の山の影で見えず何とも惜しかった。八ヶ岳や奥秩父の山々も見る事が出来た。八丁峠を越え、八丁尾根をよく歩いてきた。達成感に満足。しかしまだこの先にも鎖場があるし山は最後まで油断できない。まだ人が登ってくるし、早目の行動で下山にかかる。

  
左:両神山山頂
右:八丁峠(中央)

岩場の山頂からすぐ鎖場。人工的に削られた岩場は迫力あるが足場はしっかりしている。これでほぼ最後の岩場。樹林帯に入ると道はまだまだ細いがもう普通に登山道。歩いているうちに何だかだんだん消化試合の様相を呈してきた。逆コースならば終盤まで緊張感があっただろうかと余計な事を考えたりする。

  
左:両神神社の鳥居
右:清滝小屋

ちょっと開けた場所に出ると両神神社の本社がある。やけにスマートな狛犬は狼なのだとか。管理も大変なのだろう、有名な山の割りに古びれた感じの神社だ。下山の無事を祈り先へ進む。清滝小屋を見てみたかったので分岐から尾根を外れ、小屋の裏に出る。小屋の前には10人以上の人がくつろいでいて、テント場にはテントもたくさん出ていてかなり賑わっているようだった。連休をここで過ごす人達だろうか。休む場所も取れず、そのまま歩き続ける。

         
左:快適な登山道
右:渡渉点

しばらく快適な道が続く。気持ちに余裕が出来ると花や緑が映える。ひとつ早いバスに乗ろうかと快調に足を飛ばした。表参道らしいよく歩かれた整った道筋。途中何体か石像もあって歴史を感じさせられる。沢まで下りてしまえば後は沢に沿った道でもう大きなアップダウンは無い。渡渉もあるが橋があったり水も少なく靴を濡らすことも無く渡ってゆける。七滝沢と出合う会所を過ぎれば下山口の日向大谷まで一息だった。

       
左:日向大谷登山口
右:両神神社里宮

最後に鳥居をくぐると日向大谷に到着した。バス停はすぐ下の駐車場の中にあった。駐車場は三ヶ所ぐらいあって路駐している車も多く50台以上停まっていた。バスの時間まで少し間があったので両神神社の里宮を見に行く。民宿ふたかみ荘の横にある古びれた神社にはやはり狼の狛犬があった。既にバス停には十人以上の人が並んでいたので座れなくなっては大変と列に付く。

  
左:日向大谷口バス停
右:西武秩父駅

時間より少し早く村営バスがやって来た。次々と人が乗り込む。何とか全員座れたようだ。しかし誰か来てないとかで出発が何分か遅れた。さすが村営バス、対応が大らかだ。小鹿野町役場での乗換えがあるのでちょっとあせった。しかしバスの接続は問題なく、五分待ちで再び両神村営バスに乗り換える。しかし今度は完全に満車、中には乗車を諦める人もいた。バスの終点は西武秩父駅、電車を待つ人が溢れていて秩父駅よりも賑わっている感じだった。時間も十分にあるので宿のある秩父駅前まで歩く。今回の登山は天候に恵まれ、十分以上に予定をこなす事が出来た。八丁尾根も難なく歩いてちょっと体力に自信が付いた。夕食は宿の居酒屋で食べ、翌日に備えて早めに休んだ。

余談 バス時間の都合から坂本から日向大谷へのコースを選んだが、逆コースのほうが雰囲気が良かったかもしれない。後半ちょっと慌てすぎた。
両神山の神社や石像など宗教的、文化的遺構が良かった。登山道も表参道は歩きやすく歴史を感じることが出来た。
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