武甲山・伊豆ヶ岳

(1304M-850.9M)

秩父山行その2

日程

秩父日帰り縦走第二段は浦山口駅から正丸駅まで、武甲山から武川岳、伊豆ヶ岳を巡るコース。大都市近郊は電車を利用した日帰り縦走を出来るところがたくさんあっていい。前日の両神山とは打って変わって安心なハイキングコースだが距離はこちらの方が長い。電車なので時間に余裕はあるが日没までに下山出来るか難しいところ。前日、体力的には自信を持ったのでその勢いで早め早めに行動してゆく事にする。

5月4日 秩父駅(6:34)浦山口駅(6:43)=武甲山(9:35-00)=子持山(10:55-05)=武川岳(12:55)=伊豆ヶ岳(14:40)=正丸駅(16:00-10)西武秩父駅(16:25)=秩父駅

山行記録

前夜、早く寝た割りに起きるのは遅く、秩父駅前の宿から駆け込みで電車に乗り込む。今日は長丁場なのでこの始発電車でも遅いぐらいなのだ。危ないところだった。恐らく後半は日没との競争になるだろうと覚悟しつつ電車の中で朝食のおにぎりを食べる。休む間もなく浦山口駅に到着。とにかく線路を渡って駅裏に出なければと思ったが、地図に道はないし駅には誰もいないので道なりに歩く。駅前の道を歩くとすぐに線路をくぐる道路に出た。やれやれ、エアリアの地図に頼り切っている弱みが出てしまった。

  
左:秩父駅から武甲山(前日撮ったもの)
右:浦山口駅

駅裏へ出ると鍾乳洞(橋立堂)への看板があり、その方向へ歩いてゆく。橋立堂を過ぎたあたりからダートの林道になる。思ったよりも長いなと思ったらこの日の行程表から林道の時間が抜けていた。ただでさえ時間が無いのにひどいミスだ。急がなければと言う気持ちとあせってもろくな事は無いとの気持ちが交錯する。幸いこのコースはエスケープルートも多いので状況に応じて考えてゆくしかないだろう。林道終点から少し歩くと橋を渡って沢道と長者屋敷尾根道との分岐点がありここが登山口となっている。沢道は整備がされていないのか通行注意の看板が立っている。渓流釣りの人達が沢道に入っていく。

         
左:長者屋敷登山口
右:登山道

長者屋敷登山口から取り付き杉林の中をどんどん登る。道もよく、日陰になるので涼しくて歩きやすい。いきなり九十九折れの急坂なので気持ちとは正反対にあせらずゆっくり登るよう心掛ける。登りっぱなしは結構疲れるがついには腹が減って体が動かなくなってきた。朝食の時間が無く量も少なかったからだろう。途中で食事がてら一休み。しかしさすがに時間が気になる。やはりちょっと頑張ろう。

       
左:長者屋敷尾根
右:待避所の一つ

尾根道は緩やかな感じでとても歩きやすい。ここぞとばかり速度を上げて歩き出す。道を挟んで植林地と広葉樹の林が好対照をなしている。やがてやや登りが急になって来た所で分岐点に出た。石灰石を発破する際の為の待避所があり、ここが長者屋敷の頭とは気付かないまま休憩した。ほどなく登山道は尾根を外れて山頂の南側へ巻くように方向を変える。石灰石採取の為に登山道も付け替えられたらしい。植林地が尾根の南側に固まっているのも採石場の影響か。道中何度か待避所を見る。見晴らしの良い場所が何ヶ所かあったが、風もなく登りもそれなりにあってとても暑かった。

  
左:山頂の御嶽神社
右:石灰採掘場

武甲山南側の尾根に出る。武甲山と子持山をつなぐ尾根で向いの表参道からの道と十字路になっている。とりあえず武甲山へ。少し幅広の尾根を登ると立派な御嶽神社があって裏側が山頂だ。すぐ直下が石灰石の採石場で約200Mが人工の崖になっている。こんなあからさまな鉱山というのも珍しい。おかげで秩父市内が一望でき景色は最高だ。ここまでとても暑かったので風の通る場所で涼みつつ休憩する。

       
左:秩父市内を一望
右:武甲山山頂

十分に景色を堪能したが、考えてみれば時間が無い。武甲山をあとにして子持山へと向かう。武甲山が今日の最高地点、しかもあとは尾根道の縦走となれば楽に行けそうな気もしたがそう甘くは無い。子持山まで約200Mのアップダウンだが、滑り易そうな急斜面をジグザグに下りて登り返す。子持山では腹が減って来たので行動食をとる。朝から食べてばかりのような気もする。食料もちょっと心配になってきた。

       
左:子持山から武甲山
右:武甲山(肩)から子持山、大持山

子持山からは武甲山がすっきりと三角に見える。こんな端正な山が裏に回れば鉱山になってしまっている。いや、鉱山のあるほうが武甲山の表の顔か。山頂が元々より低くなってしまったとかで端正な中にも鉱山の影響は相当現れているだろう。景色もそこそこに先へ進む。武甲山方面からは並んで見えた子持山と大持山の間も歩いてみればアップダウンあり岩場ありでなかなか楽にさせてくれない道だった。しかし頑張った甲斐があってようやく予定のコースタイムに乗る事が出来た。これで少しは気持ちに余裕が出来た。

  
左:大持山南の分岐点
右:妻坂峠

大持山を過ぎると登山道が広くなり、かなり歩きやすくなる。途中、崖になってるところでも大きく展望が開けるが、大持山南の鳥首峠と妻坂峠を分ける分岐点で展望は一気に広がった。絶好の展望ポイントとあって休んでいる人も多い。妻坂峠までは急な坂を尾根に沿ってほぼ一直線に下る単調な道。まだまだ登って来る人もいるので足元に気をつけながら早足気味に下りてゆく。土の道は雨でも降れば滑りそうだ。下の方では人が歩き過ぎるのか登山道がえぐれて溝になっている。

  
左:妻坂峠から武甲山
右:武川岳山頂

生川から登ってくる人が多いのか妻坂峠、武川岳ぐらいまでは割と人が歩いていた。武甲山を含めて周遊している人が多いのだろう。妻坂峠でも食事、風が強くて涼しい。寒いぐらいだ。ようやく暑さから開放される。急な坂を登って行くとやがて緩やかな山頂部に至る。本来の峠越えとは違うが縦走でも峠越えと言うのだろうか、下って登り返すのもなかなかしんどい。武川岳ではまだ昼時なのか10人ぐらいの人がそこかしこに腰を下ろしている。ベンチに座って休憩。わずかな残りの食料は全部食べてしまう。

  
左:前武川岳山頂
右:伐採地から伊豆ヶ岳

武川岳を過ぎると急に人気が無くなった。ただ道は尾根通しの一本道で時々急な場所もあるがとても歩きやすい。特徴の無い前武川岳の山頂は看板が無いと分からないような平らな山頂。ここは名郷方面との分岐点になっている。前武川岳を過ぎるとあとは山伏峠までほぼ下りの登山道。途中の伐採地から伊豆ヶ岳がよく見える。植林地の中を下ってゆくと舗装道路が見え、そこが山伏峠。道路を渡って次の伊豆ヶ岳へと取り付く。

       
左:伊豆ヶ岳から武川岳方面
右:伊豆ヶ岳山頂

登り始めるとすぐに木の鳥居が現れる。伊豆ヶ岳の名前からしても歴史のある山なのだろう。植林地を抜けてもほぼ尾根伝いに続く道はなかなか楽にならず、ひたすら樹林帯の登りが続く。特に山頂直下はかなりの急登だった。今日最後の登りと水分補給しつつ一歩一歩歩く。道なりに歩いてゆくと山頂への道を過ごして女坂の方に向かってしまったが、男坂から登るのも良しと遠まわりする。しかし、男坂は落石危険でロープが張られて通行止めになっていた。鎖場では子供が遊んでいる。ちょっと危険そうなのでUターンしてやはり女坂から山頂に向かう事にした。まあ鎖場は前日十分に登ったから。伊豆ヶ岳の山頂には20人以上の人がいて大変賑わっていた。歴史だけでなく人気も武甲山に並ぶ山のようだ。

  
左:登山口(馬頭さま)
右:正丸駅

もう後は正丸駅へと下るのみ。朝はいったいどうなるのかと思った事もあったがとりあえず日没まで余裕を持って帰れそうな感じだ。再び女坂から下りてゆく。関東ふれあいの道に入るが思ったより道が悪い。名栗げんきプラザの看板もあり、結構整備されているイメージなのだがきっと登山者が多過ぎるのだろう。大蔵山の分岐で正丸駅方面に道をとると階段の多い下りの道。しかし前よりは歩きやすくなった気がする。後半は傾斜も緩くなりもっと歩きやすい。突然樹林帯から舗装道路へ出た。馬頭さまの登山口からは川沿いの細い道路を下ってゆく。線路下をくぐると正丸駅の階段だ。電車の待ち時間は10分でゆっくりする間もなかったが予定より一時間早い電車だった。前日と同じく西武秩父駅で下りる。行列の付いてた蕎麦屋があったと思い出し「武蔵屋」へ行った。これが一時間待ち。さすがに足がガクガクになった。翌日の予定も決まってなかったが宿へ帰るともうぐったりですぐに休んだ。

余談 ぎりぎりの計画だった。しかも計画から間違っていた。それでも何とかなったのは大変有難い。しかしもうこりごりだ。
天候に恵まれ、道標も多く整備は行き届いていた。ただ人が多いのだろう、登山道は多少荒れ気味だった。
別にロープで通行止めになっていても通るのは有りだと思うが子供を遊ばせるのはどうかと思う(だから通行止めになるのか)
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