峰床山

(970.0M)

京都の奥庭

日程

京都府第二の標高をもつ峰床山は皆子山のすぐ北に位置し、ともに京都北山の最高所を形成している。峰床山には北山としては珍しい八丁平という高層湿原があると言う事でどのような景色が得られるのか楽しみだ。そこで今回は往路復路ともに八丁平を通る事にした。坊村を始点に鎌倉山を経由して峰床山に登り、葛川小中学校に下りてくれば尾根あり谷あり草原ありで変化のある登山が出来るに違いない。皆子山に続いてマイカー利用の周回コースで少々味気ない気持ちもあったが結果的に国道を歩かずに済んだので最後まで充実した山歩きとなった。

11月24日 葛川支所(06:35)=ぶな平(07:20)=鎌倉山(07:50)=オグロ坂峠(08:45)=峰床山(09:25)=中村乗越(10:20)=二股(11:00)=葛川小中学校(11:25)=葛川支所(11:50)くつき温泉てんくう富山

山行記録

皆子山では全身ずぶ濡れになってしまったものの、その後の天候の回復と着替えで体も温まって来た。予定通り車中泊が出来そうでなによりだ。とりあえず登山口に予定している坊村へと向かう。ここには葛川森林キャンプ場や葛川少年自然の家等があって駐車スペースも十分あると踏んでいたのだった。しかし実際行ってみると、キャンプ場は関係者以外禁止となっていて、少年自然の家の方は全く車が停まっていない状態だった。葛川支所の駐車場や周りの空きスペースにはそこそこ車があったので空きスペースの一つに紛れて車中泊を決め込む事にする。まだ明るかったが何もする事がないのでさっさと寝てしまった。

         
左:鎌倉山登山口
右:ぶな平

空が少し明るくなって来たところで朝食をとり、出発した。霧がひどく、この先の天候が心配だ。登山口には古いが看板があってそれに従いまずは鎌倉山へと向かう。少し歩くとカマクラ谷の左岸に出て堰堤を横目に見ながら登りが始まる。谷道と尾根道の分岐はエアリア地図に出ている尾根道をとることにした。下手な道では鎌倉山を失う可能性が怖い。樹林帯の急登をしばらく登ってゆく。朝は割と寒かったはずなのだがさすがに汗が出た。林道に出たところで着替えをする。ここがモミジ平、名前の通り周辺には紅葉がちらほらあるがあまり平らな印象はない。林道のおかげで樹木が切れて武奈ヶ岳の一部が見えた。登山道は林道を横断し、さらに樹林帯を進む。やがて傾斜が緩くなって来るとぶな平に到着した。落ち葉をサクサク踏みながら幅の広い尾根を歩いてゆくのもまた楽しい。

         
右:鎌倉山
左:千年杉

尾根沿いの登山道がひたすら続く。植林地に入るといよいよ山頂が近づいて来たのか傾斜も徐々に増してくる。植林地を抜け再び雑木林となると尾根もだんだん細くなり、やがて木々の間から景色が見えるようになったが曇り空ですぐ目の前の山ぐらいしか見えなかった。登りきった鎌倉山の山頂も樹林に囲まれており、同様に景色はほとんど得られなかった。これから向かう峰床山も雲に覆われていて全く様子が分からない。この先あまり良い天候でないのは確かだ。鎌倉山の山頂で少し多めに休憩し、天候が回復するか様子を見てみたがその兆しは無さそうだった。鎌倉山を過ぎると急に登山道が細く歩きにくくなった。ハイキングコースはここまでという事だろう、ようやく低山歩きらしい雰囲気になった感じだ。アップダウンを繰り返し、方向もくねくね変わって現在位置をつかみにくい。途中、千年杉の傍を通るが周りの落葉樹と比べるとかなり大きく見えた。オグロ坂峠への後半は徐々に笹が濃くなってくるが、落ち葉が登山道から無くなってかなり歩きやすくなった。現在位置が分からないながらも時々ある道標を頼りに歩いてゆくとオグロ坂峠のある分岐点に到着した。

       
左オグロ坂峠の分岐
右:八丁平(北側)

オグロ坂峠から八丁平を抜けている旧六尺道はかつて小浜と京都を結んだいわゆる鯖街道の一つ。その名の通りの広くて歩きやすい道が残っている。峠はお地蔵さんがあって旧道らしい良い雰囲気、歩いていると時代劇に登場した気分にさえなって来る。とりあえず八丁平に向かって下ってゆく。周囲が少し開けてきたところで分岐点。予定通りここを折れて八丁平を反時計回りに周回するコースをとった。峰床山一帯が京都市山村都市交流の森として整備されているせいか登山道もかなり歩きやすく、道標もしっかりしている印象だ。しかし歩きやすさとは裏腹に期待した八丁平の景色は背の高い笹や草が生い茂るまさに笹薮と言ってよい様なものだった。笹原を抜けると登山道は一旦湿原を離れて樹林帯に入る。湿原はすぐそこにあるはずなのにもどかしい。

         
左:クラガリ谷
右:峰床山山頂

分岐点に出合い八丁平の周回路を外れて峰床山へと向かう。雨が降ってきたのでここで雨具を着けた。クラガリ谷の登山道はさほど整備の手が入っていないのか草がついて足場も良くなかった。しかしそう思うのも八丁平の遊歩道に感覚が慣れてしまったせいだろう。特に問題なく稜線に出た。そのまま歩きやすい登山道を山頂へと向かう。山頂には誰もいなかった。周囲はガスで景色も無く小雨も降り続いていた。ベンチに腰掛けて携帯電話で天気予報を聞く。曇りのち晴れらしいがガスの中にいるのならしょうがない。じっとしていても寒いのですぐに退散。再び周回路へ折り返した。

       
左:八丁平周遊路の木道
右:八丁平

八丁平の周回路の続きを歩いてゆく。今度は木道だ。道の泥濘を避ける為のものだろう。いよいよ湿原らしくなってきた。開けた景色を期待するが相変わらず背の高い笹と樹林帯が続きそれは得られない。今日ここまで誰とも出会わなかったのにこの辺りから急に人と出会うようになった。やはり登山口から近い南側の周回路の方が主要ルートらしい。しばらく行くと湿原の中へ入ってゆく道が分かれていた。地図にはないが現地の看板にある湿原を縦断する道に違いない。行きたいと思ったがちょうど大きな団体が入っていった所だったので渋滞するのも嫌だし諦める事にした。周回路をそのまま進む。多少アップダウンを繰り返しながらやがて八丁平の南端にある小さな橋を渡る。そして二ノ谷への道と分かれて北に方向を変えるとベンチのある中村への分岐点はすぐに現れた。橋の周辺だけがようやくここが湿原だった事を思い出させてくれたが、昨日訪れた足利庭園の如く跡形しか残ってない様なもので再びわびしさを感じずにはいられなかった。

         
左:江賀谷(右股)
右:林道出合の木橋

ちょっと湿原に期待しすぎたせいか何かやり残したような気持ちになりながら八丁平を後にする。樹林帯を一気に登りつめると中村乗越。ここから再び滋賀県に戻る。やっぱり道が少し悪い。まあ低山の癖に京都側が整備されすぎなのだ。植林帯の中をどんどん下ってゆく。結構急なところもあって慎重に足を運んだ。やがて沢に出合うと後は沢沿いの緩やかな道を歩いてゆく。苔に覆われた沢と紅葉の組み合わせがなかなかいい雰囲気。林道に出てからも沢から目を離さずに歩いた。葛川小中学校が見えてくると安曇川はすぐそこだ。

         
左:安曇川左岸の遊歩道
右:少年自然の家の紅葉

小中学校に出る手前に少年の家に向かう道標を見つけた。安曇川を渡り国道を歩いた方が速いし確実だとも考えたが車道歩きもつまらないのでその遊歩道に入ってみる事にする。江賀谷にかかる木橋を渡り、安曇川の左岸を歩く。道はよく整備されて歩きやすかったが、何ヶ所かは道が崩れていて巻き道になっていた。途中、植林帯を抜けて少し行くと少年自然の家に出た。周囲にある紅葉がちょうど最盛期で見ごたえがあり、写真を撮りながら少し眺めてゆく。そして車の停めてある葛川支所に戻った。帰りは昨日道の駅で見つけた「くつき温泉てんくう」に寄って体を温め、富山へと帰った。

余談 展望こそなかったが、思ったとおりわずか半日でいろいろ変化を楽しめる里山を超えた里山だった。
天候は良くなかったが、道が良かったせいか露もつかず前日の皆子山と比べてほとんど濡れずに済んで快適な登山だった。
2003年 HOME