妙高山・火打山

(2454M-2461.7M)

10分差での選択

昨年ぜんちさん達と計画していた白馬岳登山の計画は天候不良の為、木曽駒ケ岳、美ヶ原に変更となってしまった。今年に入り7月にも白馬岳の予定が上がったが都合が合わずに流れ、忙しい日々の中、あっという間に9月になってしまった。ここで再びお声がかかる。しかし連日の残業が10時、11時という状況では体力的にかなり厳しいと判断。ぜんちさんにそう伝えたところ妙高・火打山か金峰・瑞牆山と少しハードルが低い計画を提案された。同行のテラさんが日帰りという事でより近い妙高・火打山登山に決定。幸い9月に入ると仕事の方は少し落ち着いて来たが不安が尽きる事はない。ただほとんど気にはしていなかったのだが日帰りのテラさんが火打山へ行かれるのか妙高山へ行かれるのかまだ決まっていなかった。テラさんとの登山は初めてなので初日がどう展開するか全く分からなかったが一泊の私達にはコースタイムに余裕がありどっちにしても何とかなるだろうと高をくくっていたのだった。

9月20日 富山(05:05)燕温泉(07:30-50 )四合目(09:35)=天狗堂(10:40-11:35)=妙高山(13:15-14:35)=大倉乗越(15:50)=黒沢池ヒュッテ(16:10)
9月21日  黒沢池ヒュッテ(05:45)=高谷池分岐(06:30)=火打山(07:45-08:05)=高谷池ヒュッテ(09:00)=黒沢池ヒュッテ(09:40-10:10)=三峰分岐(11:05)=大倉谷渡渉点(12:15-12:50)=燕温泉(14:05-14:20) 富山(17:20)

山行記録

幸い前日の仕事は夜9時過ぎに終わり、帰宅途中にコンビニでお菓子を買いに行く余裕もあった。しかし登山の準備をしたりして寝たのは夜11時過ぎだった。そして起きたのがほぼ予定通りの4時過ぎ。朝食などを済ませて家を出たのが5時過ぎ。途中のコンビニでぜんちさんと合流、昼食も確保する。コンビニから戻るとぜんちさんが運転席で待っていた。運転していくと言っておられたのはマジだったのか。お言葉に甘えて助手席で寝てゆくことにする。朝日インターでテラさんと合流。ここでコースの相談。妙高山の方が火打山よりもコースタイムが10分短く登山口までのアプローチも近いということで妙高山に決定。テラさんは妙高山に行った事があるそうなので不確定要素を避ける狙いもあったのだろうか。全員どちらでも良かった割に決断は速かった。2台で北陸道、上信越道を通り燕温泉へ。30台ぐらい停められそうな駐車場はあらかた埋まっていた。駐車場横にあるトイレで用を済ませて出発する。ぜんちさんの準備がやけに早いと思ったら登山靴で運転して来られたとか。登山靴の運転は疲れるし重いので反応が遅くなって危ないのですが。

  
左:燕温泉登山口
右:コンクリートの林道

小さな温泉街を抜けると分岐点があり、登山口になっている。ここで妙仙橋が通行止という張り紙を発見。帰路に通るので大変気になるが道そのものは通行止めになっていないようだ。という事は渡渉か。いきなり不確定要素が出来てしまった。とりあえず往路は北地獄谷ルートからという事で薬師堂の階段を登りコンクリートの登山道に入る。スキー場跡地の様な草原の中を登ってゆく。すぐに露天風呂の黄金の湯が現れる。いい雰囲気の温泉だが帰路は違う道なので入れない、残念だ。スキー場は後で調べたら2007年春で廃止になっていた。朝早かったせいもあり体が重い。しかし車の中で寝てきた分、、頑張らなくてはならない。「十分眠れましたか?」との問いにぜんちさん「4時間」、テラさん「2時間半」。自分が甘え過ぎだったのか、皆忙しいんですね。信じられん。しかし行き先に一抹の不安を感じざるを得なかった。この時期にも関わらず案外花が咲いていてぜんちさんは写真に収めるのに余念がない。しかし何人かに抜かされてコースタイムより遅れているのは確実だ。日帰りのテラさんの事を考えるとあまり余裕はない。

         
左:コンクリートの登山道
右:上が「称明滝」、下が「光明滝」

林道の途中に倒れた木の看板があり、登山道への入口となっている。登山道はまだまだコンクリートで舗装されており、とても歩きやすい。草も最近刈り払った様子でかなり整備されているのが分かる。それでも傾斜は普通にあってしかも登りっぱなしである。途中で学生らしき集団が二十人ぐらいランニングで追い越していった。さすがに真似は出来ない。行動食のビスケットと水分を補給しつつマイペースで登る。赤倉温泉の源湯を過ぎると登山道は光明滝の上に出る。温泉の影響か川底の岩がやけに赤い。ここでようやく9時になったので高谷池ヒュッテ(完全予約制)に宿泊予約を試みるがどうした訳かアンテナが立っているのに携帯電話が通じなかった。当日予約の駄目元だったので諦めて先へ進む。予約不要の黒沢池ヒュッテを検討するほかないだろう。ここから登山道は称明滝の上に向けて巻いてゆく。ようやく本格的な登りが始まる。

    
左:何度か渡渉する
中:胸突き八丁
右:天狗堂

九十九折の登山道を登りきると称明滝上流の沢に出合い、二度ほど渡渉しつつ沢沿いを歩く。低木ではあるが樹林に囲まれ谷底から空だけが見える。徐々にガスが上がって青空が見えて来た。ここへ来てぜんちさんの足が時々止まるようになって来た。とりあえず沢に出たところで休憩。「ぜんちさん何か食べた方が」「トイレが近くなるので」少しは食べられたようだけどどうだろう。一方テラさんの方は元気である。二時間半しか寝ていないのに横になる素振りすらない。ぜんちさんが心配ではあったが先に行ってくれと言われたのでとりあえず先へ進む。胸突き八丁、名前から身構えてしまうが天狗堂まで360mと看板にある。標高差は150mぐらい。谷から尾根に出る道なだけに急な登山道ではあったが一気に登った。尾根に出ると周囲が明るい。程なく天狗堂に到着。ここで昼食。おにぎりをほぼ食べ終わった頃テラさん到着。ここで温泉街の売店で買っておられたトマトと温かいコーヒーを頂く。天狗堂は分岐点になっていてもう一方の赤倉観光リゾートスキー場から妙高高原スカイケーブル利用で登って来る登山者も意外に多い様子。妙高山ピストンであればそちらの方がコースタイムも短い。しかしぜんちさんはなかなかやって来ない。そろそろコースタイムの1.5倍の時間だ。このままのペースでは高谷池ヒュッテどころか黒沢池ヒュッテにも届かない恐れが出て来た。ここでテラさんに撤退を相談する。山頂まで行ってしまえば小屋の方が近いので撤退はここで判断しなければならない。

    
左:光善寺池
中:鎖場
右:鎖場途中のトラバース

ようやくぜんちさん到着。すかさず撤退を進言する。しかし「行く」との答え。えーっと思ったがこれで撤退は消えた。ぜんちさんも厳しいがテラさんも時間的余裕がない。テラさんが歩き出したので自分も歩き出す。すぐに光善寺池。尾根筋の登山道は階段が組んであったり再び良く整備されている。風穴あたりまで来ると妙高山上部の山塊が目前に迫り登山道の傾斜も徐々に増してくる。時々覗く下界の景色に足を止めながらマイペースで登る。登山道に岩がゴロゴロするようになるとロープの付いた岩場があり、すぐに鎖場に出た。見上げるほどの急斜面に鎖が取り付けられている。これは天候次第では大変だなと思いながら足場はしっかりしているので割と余裕でよじ登る。間にトラバースを挟んで二段の鎖場を登る。急斜面だけに景色も良い。この鎖場あっての妙高山と言ってもいいくらい印象に残った。そこからはそろそろ山頂も近いだろうと一気に登る。登るにつれて樹高は低くなり、周囲も岩場になる。ペンキ印を追いながら登ってゆくとやがて妙高山南峰に到着した。山頂部はガスに覆われ景色は全く得られなかった。南峰は三角点のある北峰よりも標高が高い。10分程でテラさんもやって来た。二人で北峰へと向かう。少し下って日本岩を過ぎ登り返し5分ほどで到着。

       
左:妙高山南峰(妙高大神)2454m
右:妙高山北峰(三角点峰)2446m

  
左:火打山
右:野尻湖と斑尾山

妙高山の北峰には15人ぐらいの人が休んでいた。とりあえずテラさんに写真を撮ってもらう。休んでいるうちにガスで100mぐらいしかなかった視界が徐々に広がって来た。テラさんは30分ほどの滞在で「またどこか一緒に登りましょう」と下山された。コースタイムで行けば日没まで間に合うのでテラさんなら多少余裕をもって下山出来るだろう。さて、問題はぜんちさんだ。コースタイムの1.5倍であればあと50分ぐらいか。山小屋で暇つぶしする為に持ってきた本を広げて読み始める。天気が良くて良かった。しかし動かずにいるとさすがに寒い。とにかく着れるものは着てホッカイロも出す。体を温めるために山頂を一周するといつの間にか大展望が広がっていた。さすがに長居はするものである。西には明日登る予定の火打山、東には野尻湖と斑尾山、北には日本海も見える。突然大声で呼ぶ声が聞こえた。南峰にいるのはぜんちさんである。予想より10分早い。しかし南峰から北峰まで5分のはずが10分経っても来られない。さすがに変だと様子を見に行くと足がつって動けなくなっているぜんちさんがいた。少し間を置いて動けるようになったぜんちさんと北峰へ移動。とりあえず写真タイム。さてこのままコースタイムの1.5倍で行くともう日没ぎりぎりで山小屋もご飯を炊いてしまっている。予約もしてないし確実に小屋番の機嫌を悪くするだろう。まずは宿の確保が優先だ。ぜんちさんのヘッドランプを確認し、先に出発する。

    
左:岩混りの登山道
中:妙高山(大倉乗越より)
右:黒沢池ヒュッテ

とりあえず急がなければならない。休養は十分だ。しかし距離もあるので程々にしておかなければならない。下り始めるとすぐに樹林帯に入る。登山道は土がえぐられ岩がゴロゴロした急斜面でバランスを崩さないよう慎重に歩く。これは雨でも降っていたら滑って大変そうだ。登りの時と違いこちら側は今一つ整備されていないような感じだ。長助池分岐を過ぎてしばらく行くと視界が開けて長助池を含む一帯が望めるようになる。 地図では平坦なトラバースに見えるが案外細かいアップダウンが多く速度が出ない。そして今日最後の登り、大倉乗越へ登った。さすがに汗が出た。ここで一息入れて景色を眺める。妙高山の景色がいい感じだ。遠く谷間を挟んで見えるのは米山だろうか。火打山は逆光だ。大倉乗越を過ぎると歩きやすい登山道になった。土の道を滑らないよう気を付けて歩く。結局、目標にしていた16時には間に合わず10分遅れの到着。早速、小屋に宿泊を申し込んだ。当然、前金である。しかしこの事態は想定外、持ち合わせはなかった。予約とか出来ないのですか、と聞いても連れの方を待ってくださいの一点張り。まあこれも当然と言えば当然。とりあえず、宿泊アピールは出来たと考えて缶ビールを購入して再び読書で時間を潰す。夕食は18時、慌てる事はない。そう思っていたのも束の間、ぜんちさんはコースタイムの2時間の1.5倍を過ぎても現れない。さすがに缶ビール一本では限界が来た。ここは様子を見に行き、ついでに宿泊代を確保しなければならないと思い、小屋に荷物を置いてぜんちさんの様子を見に行く。10分も歩かないうちにぜんちさんに出会う事が出来た。ほとんど休みなしで歩いて来られたそうで疲労困憊して夕食にもほとんど手を付けることが出来ない状態だった。黒沢池ヒュッテの食事は今時にしては珍しくレトルト品そのままが多く、男の料理と言うか自分の学生時代を思わせる内容だった。読書も飽きたので夕食後すぐに寝る。幸い小屋は若干余裕があり、ゆったり休むことが出来た。

    
左:黒沢池と妙高山
中:歩きやすい登山道
右:高谷池と高谷池ヒュッテ

寝るのが早かったので起きるのも早かった。予定では高谷池ヒュッテに泊まる予定だったのでまずは計画を練り直す。しかしコースタイムの1.5倍で計算すると火打山往復下山はなかなかハードな行程だ。相談の結果、私だけで火打山をピストンする事になった。朝食は5時。クレープは珍しいが腹持ちが若干心配だ。余るほど出たので5枚ぐらい食べる。トイレを済ませてすぐに出発。後の事を考えるとなるべく急いだ方がいい。まずは茶臼山を経由して高谷池へ向かう。全体的に景色はあまり得られないものの登山道は歩きやすく、木道などもあって整備されている感じだった。高谷池からの登山者とすれ違う事が多く、あちら側からの妙高山ピストンが主流なのかもしれない。分岐を過ぎていよいよ火打山登山道に入る。やはり木道の多い整備された登山道が続く。歩いている人も少しずつ増えて来た。

    
左:火打山と木道
中:逆さ火打(天狗の庭)
右:天狗の庭

高谷池沿いに木道を少し進み、一段上に上がると再び木道、そして視界が開けて火打山が姿を現す。かなりいい雰囲気。火打山は百名山とは言えマイナーな山だと高をくくっていたが、自分の無知を恥じるばかりである。ぜんちさんもテラさんも勿体なかった、もし一択であれば体力も考慮して火打山だったと後悔した。木道にはまだ霜が残っていて慎重に足を運ぶ。御来光の人なのか下りてくる人もいて時々道を譲る。やがて若干下りになると天狗の庭という湿原に出た。湿原を挟んで正面に火打山が見える。天狗の名はたぶん奥の岩が散らばっている斜面から来ているのだろう。とりあえずお約束の池越しの写真を狙う。 ゆっくりしている暇はないはずが写真を撮りつつ歩いていると足が止まる。さすがに何人かに抜かされてしまった。

       
左:火打山山頂
右:外輪山(三田原山)の向こうに妙高山

    
左:焼山、雨飾山、金山、朝日岳方向
中:槍ヶ岳、穂高岳方向
右:富士山

天狗の庭を抜け、登りにかかる。笹原を歩くようになるがやや笹が高く、時々しか景色は得られない。広い尾根で歩きやすく確実に高度を稼いでゆく。北側に見える鬼ヶ城の崖は存在感があってとても気になる。ライチョウ平を過ぎてもまだまだ登りは続く。基本は土の道だが木道あり階段ありでよく整備されとても歩きやすい。気温が上がり、暑くなって来たので途中で一枚脱ぐ。背後には妙高山へと広がる素晴らしい景色が広がっているがここは山頂まであと少しの我慢と言い聞かせ、歩き続ける。そしてようやく山頂に到着。着くなり「富士山が見えます」と山頂にいた人から教えて頂く。とりあえずその方向を探し、写真を撮るのに夢中になった。しかし薄すぎてデジカメの液晶では確認できない。倍率を変えて5枚ほど撮って諦める。それから360度の展望を楽しんだ。麓には日本海に上越や能生や糸魚川の街並み、そして焼山、雨飾山、金山、その奥に北アルプスの山々、御嶽山、木曽駒、八ヶ岳、富士山、その先は秩父の山々だろうか。そして昨日登った妙高山。何と言う大展望だろう。お盆の八ヶ岳が悪天候に終始したのと対照的だ。しばし時を忘れ、気が付けば20分が過ぎていた。残念ではあるが長居は出来ない。意を決して山頂を後にした。

            
左:逆さ鬼ヶ城(天狗の庭)
中:高谷池ヒュッテ
右:黒沢池ヒュッテの弁当

もと来た道を戻る。山頂直下は妙高山方向の景色が楽しみながら下山。背後を気にせず登って来ただけに帰り道でも景色に気を配りながら歩く。天狗の庭も火打山が景色に入らないと広々と感じる。高谷池ヒュッテまで寄り道し写真を撮り、もと来た道を黒沢池ヒュッテまで戻った。往復4時間、写真を撮り過ぎた割にはまずまずの時間だ。これならコースタイムの1.5倍でも下山できそうな感じである。休憩がてら小屋前のベンチで朝ヒュッテに頼んだ弁当を食べ、昼食を済ませる。トイレを済ませていよいよ下山開始だ。

        
左:大倉山をトラバース
中:背後に三田原山
右:若干、歩きにくいところも

妙高山に向かうように小屋を出てすぐに三峰、神奈山、燕温泉への分岐がある。ここから大倉山を巻く登山道を歩く。登山道はきちんと刈り払ってあり歩きやすい。笹や樹木があって一部日本海側が見える場所がある以外に景色がほとんど得られないのが残念だ。ほぼ水平道がしばらく続く。大倉山を巻き終わると尾根に出て神奈山が姿を現す。やがて斑尾山や野尻湖も見えて来るが妙高山はガスに覆われて見えなかった。登山道は尾根に沿って下りになり、一度登り返す。この小ピークが三峰らしいがよく分からず通過。程なく三峰分岐に到着した。ここから大倉分岐まではロープもあり地図に書いてある通りの急な下り。尾根道と沢道を繋ぐバイパスとして後から作られたのだろう、続くトラバース道も若干歩きにくい所があった。とりあえず燕新道との合流点の大倉分岐で10分休憩する。

           
左:滑りやすい斜面
中:大倉谷の渡渉
右:沢沿いの道

やっと難所を一つ越えた。しかしまだまだ先は長い。ぜんちさんはそろそろいっぱいいっぱいの様子。まずは涸沢の様な岩交じりの登山道を歩くがぜんちさんの足が止まるようになって来た。ここで再び先に歩く事になる。黄金清水を過ぎるとしばらくは歩きやすい道が続く。左手に神奈山が良く見える。登山道は神奈山を巻くように見えるが途中で大倉谷へと下りてゆく。ここで再びロープ登場。若干滑りやすそうなつづら折りの登山道を下る。さすがにここは10人ほどのちょっとした渋滞になっていた。急ぐことはないのでそのまま後ろに繋がって大倉谷の渡渉点に出た。水量は少なく岩伝いに難なく沢を渡渉。ここでぜんちさんを待つ事にする。ザックを開けると昨日テラさんから頂いたブドウが出てきた。これをビニール袋に入れて沢水で冷やしておく。15分程でぜんちさん到着。二人で冷えたブドウを楽しんだ。ここから登山道は5分ほど沢沿いに進む。距離は短いが岩がゴロゴロしていて疲れた体には結構堪える。

        
左:妙仙橋の下に仮設橋
中:林道
右:燕温泉

沢から離れるとようやく登山道は歩きやすくなる。快適な登山道を進むと麻平分岐に到着。ここから天狗堂へ登る道もあるが歩く人が少ないのか苔が生えて見るからに大変そうだった。麻平分岐を過ぎるとつづら折りの下りが始まる。やがて木の階段が現れるようになるとすぐに惣滝との分岐点に到着した。登山道はブルドーザーが通れるくらい広くなった。惣滝まで180mとあるが妙仙橋の状況が分からないので寄り道は諦めてさらに下る。やがて今回の登山での最大の不安材料だった妙仙橋が現れる。どうなるかと思ったが通行止めの吊り橋の代わりに仮設橋が作られていて問題なく渡ることが出来た。この時は本当にホッとした。登山の格好じゃない人が結構歩いていたがこの沢沿いにある川原の湯に向かう人達だった。かなり人気のある温泉のようで人が途切れる事がない。橋を渡った後はダートの林道になり、登山口の燕温泉に到着した。思ったよりも早く到着出来たので温泉に入る気持ちは満々だったのだが、ぜんちさんの早く帰ってラーメンを食べようという意見もあってそのまま帰る事にした。帰りも往路と同じく上信越道、北陸道を通り富山へ。ぜんちさんの近所のラーメン屋でラーメンを食べて解散した。今回の登山はコースも天候もほぼ満点と言ってよい素晴らしい登山だった。もし撤退していたら得るものはほとんどなかったに違いない。その点、ぜんちさんには感謝ですが実際問題ギリギリの登山だった事も間違いない。ぜんちさんは入院されてから体力の回復を図っておられたのに無念だったと思います。「毎日歩いていたのは無駄だったのか」とのつぶやきが心に深く突き刺さりました。

余談 病み上がりのぜんちさんに運転して頂いたのは我儘でした。しかし体調管理は基本的に自己中心的にならざるを得ない部分もあると思う。
妙仙橋通行止めの情報が掴めなかった。また登山口の張り紙も分かりにくいものだった。
火打山がこんなに素晴らしい山だとは知らなかった。しかし火打山を優先すれば妙高山の鎖場を通らなかっただろうし難しいところだ。
初めて同行させて頂きましたがテラさんは超人でした。睡眠2時間半は普通じゃない。

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