祖母山

(1756.4M)

頭の柔軟体操

日程

今回の九州登山は大分、宮崎、熊本県の最高峰を登るのが目的だった。九重から竹田市を経由して祖母山に登るルートはアプローチがたやすく、また見どころも多い。どちらも百名山だけあって両方の山をハシゴする人も多いようだ。下山口はレンタカーを借りる都合から高千穂に決めた。日帰りで終わってしまうには惜しい山であったが休みの都合なので仕方がない。2ヶ月前から作った計画を握りしめ、小降りの雨の中、豊後竹田駅へと向かった。

5月4日 豊後竹田駅(07:10)健男霜凝日子社(07:40)林道終点神原登山口(07:50)=五合目小屋(08:30)=国見峠(10:50)=祖母山(11:20−30)=国観峠(12:10)=千間平(13:05)=北谷登山口(14:20−40)河内(15:05−35)高千穂駅(16:05)町営高千穂温泉

山行記録

疲れていたがよく眠れた夜だった。準備を整えてホテルを出る。今朝は久々に余裕で行けそうだ。足取りも緩やかに豊後竹田駅前へ行きバスを待つ。しかし、時間になってもバスが来ない。おかしい。何度も時刻表を見直した。そして血の気が引いた。もしや、今日は祝日!。一体何の祝日なんだ?。てっきり平日かと。うっかりしていた。次のバスまでは待てない。いきなり計画変更だ。すぐにタクシーを拾って神原に向かった。

  
左:健男霜凝日子社下宮
右:神原登山口(林道終点)

竹田市内を抜け、山深くなってくるとやがて神原川が姿を現してくる。雨に濡れた渓谷は幻想的でしばらく心を奪われた。最初の目的地は健男霜凝日子社。運転手さんにそれを告げると神原集落にある遙拝所に到着。さらに下宮にも寄らせてもらい、山行の無事を祈った。苔むしてはいるが、思った以上に立派な神社だった。そこから渓谷を眺めつつ歩く予定もあったが、そのままタクシーで登山口へと向かう。何も言わなくても林道終点に到着。ここが登山口らしい。一合目の滝を見逃したか。駐車場でUターンしていくタクシーを見送り、雨具を着けて山に登り始めた。

  
左:御社の滝
右:五合目小屋

まずは階段の登りから始まる。九州自然歩道として整備されているおかげで歩きやすい。やはり百名山、今日は大した問題もなさそうだ。すぐに道は緩い登り坂の登山道になり、やがて沢を見下ろしながら歩くようになる。その先には御社の滝が雨模様の景色の中に水しぶきを上げていた。登山道はそこから御社の滝を巻くように沢を離れて登ってゆく。だいたい滝を巻いたかと思う頃、五合目小屋に到着、雨を避けて中に入った。20人は入れそうな小屋には先客が一人いて、昨日の晩から泊まっているとのこと。火を貸してくれと頼まれたのだがあいにく持ち合わせてはいなかった。五分ほど休み、そのまま小屋を後にした。しばらくは階段の登り坂が続く。


泥濘の登山道

小さな沢を飛び石伝いに越えると様子が変わってきた。泥濘でドロドロの登山道。始めのうちは傾斜も緩くちょっと歩きにくい程度だったが傾斜がきつくなるにつれてそうも言っていられなくなった。手がかりを探し、足を踏ん張りながらやっと登る。一カ所だけ足がかりの全くない急斜面があって登山道脇からそこに生えている笹を足がかりにして何とか登った。これが九州自然歩道か。思った以上にハードだ。安易に整備されていると思ったのは勘違いだった。黙々と我慢の山登りを続ける。

  
左:国見峠
右:祖母山山頂

樹林帯の登山道をひたすら登ってゆくと突然開けた場所に出た。国観峠だ。広場の中央には赤い衣装を付けたお地蔵さんが立っている。ベンチとか岩とか座るのに適当な物はなかったので立ったままで休憩した。国観峠から先は登山道がかなりえぐれてしまっているが傾斜が緩くなった分だけまだ歩きやすい。最後に少し急登をこなすと祖母山の山頂だった。山頂には健男霜凝日子社の上宮になっている祠が立っていた。この天候では展望など望めないので適当に石の上に腰掛けて昼食にする。思ったほど風はないが、やはり雨の中、動かないでいると寒かった。早々に山頂を立ち去ることにする。

  
左:三県境
右:北谷登山口

山頂を離れて5分ほどで30人くらいのグループとすれ違った。町内旅行なのか、子供から大人までの団体だ。登山道はすれ違い不可能なので自分が脇に避けて彼らを見送る。それでかなり時間を取られてしまった。国観峠を過ぎてからは道幅も広くなり緩やかで歩きやすい登山道が続く。三県境や千間平などの休憩ポイントには草の絨毯が生えていて天候と季節さえ良ければ腰を下ろしたくなりそうな場所だ。千間平を過ぎて、一の鳥居からの道を分けると稜線を離れ、九十九折りの下りが始まる。歩きやすい登山道に見えたが泥の道は所々急な場所があって滑りやすい。あっと思う間もなく転んでしまった。もう体中ドロドロだ。油断せず、慎重に歩くようにする。やがて林道に出合うと北谷登山口に到着。早速、泥で汚れた靴や雨具を脱ぎ水道の水で洗う。そして行動食を食べ、一息ついた。


高千穂駅

ここまで思ったよりももたついた登山になってしまったがほぼ時間通りに行動することが出来た。だが、まだ気は抜けない。ここから三秀台まで歩き、五カ所からバスに乗る予定なのだ。しかし長崎の親切な人が途中まで乗せてあげると言ってくれたのでそれに便乗することにした。三秀台を通り過ぎてしまうが仕方あるまい。結局、河内まで乗せてもらった。そこからバスで高千穂駅に向かう。おかげで予定よりも2時間も早く到着出来てしまった。既に雨は止んでいた。ちょうど駅前では焼酎の試飲販売をやっていてとりあえず飲み比べをする。もちろん買った。飲酒運転は不味いので一時間ほど休んでから駅レンタカーの手続きに行き、その足で町営高千穂温泉に向かった。中は今風の日帰り入浴施設という感じ。夕食もそこで済ませ、閉店時間までそこにいた。時間があるのでゆっくりと次の目的地、内大臣林道を目指すのだった。

余談 九重と同じく計画が杜撰だったのでタクシー利用による時間短縮の効果は大きかった。
九州自然歩道とはいえ油断は出来ない。
前日のことを考えれば、便乗によって5キロ歩行距離を短縮出来たのでかなり助かった。
芋焼酎が好きになった。
1999年 HOME 国見岳