高尾山・陣馬山

(599.2M−857M)

東京近郊の名ハイキングコース

日程

先の別山、大辻山登山は快調にいったもののまだ体調への不安は払拭できず、いつのまにか月日は昨年と同じ11月、今年も弟と行く登山は低山になってしまった。昨年の箱根ですでに紅葉時期を過ぎていた事もあり、より標高の低い山に登る計画とする。そして是非とも一度押さえておきたい山として高尾山がある事に気がついた。都内から交通至便、超有名ハイキングコースとして観光地化されているとは言え展望に優れ、歩行距離も十分、自然もそれなりに残されている。下山後温泉があるのも魅力だ。病み上がりの今こそ登っておきたい。例になく今回の山行はもう初めから楽勝、心配なのは渋滞だけと軽く見ていたのだった。

11月8日 高尾山口駅(08:05)=琵琶滝(08:25)=展望台(08:45−05)=高尾山(09:45−55)=城山(10:35−50)=景信山(11:30−12:35)=堂所山(13:05)=陣馬山(14:10−40)=陣谷温泉(15:35−15)=藤野駅(17:10)

山行記録

いつものごとく週末の最終特急で富山から弟の家に向かい一泊、翌朝出発で行く事にする。しかし気の緩みか30分の寝坊。高尾山口駅に到着する時間もその分だけ遅れた。今回の計画の標準コースタイムは約八時間、下山予定時刻は十八時とあまり余裕がないはずだったが全く焦りはなかった。薬王院や温泉の時間も十分見てあるし、どうせハイキングコース、十分取り戻せる。そしてトイレと売店でさらに時間を空費する。最初から根拠のない自信が溢れていた。

   
左:高尾山口駅
右:6号路登山口

高尾山口駅からロープウェイ清滝駅の脇を通り、舗装道路を歩いてゆく。時間的に遅いのか人の姿は思ったより少ない。東京高尾病院を過ぎるといよいよ6号路の登山口だ。川沿いにある緩やかな坂の遊歩道を歩いてゆく。やがてお堂が見えてきて琵琶滝に到着。ちょうど女の人が掃除をしていた。お堂の前には柵もあり怖くて滝には近づけそうもない。看板によると完全に行場として利用されているようだ。写真を撮って遠巻きに最初の休憩をとる事にする。

       
左:琵琶滝と岩屋大師
右:展望台からケーブルカー、高尾山口駅

6号路は直接高尾山頂へ向かうルートとなるのだが薬王院に立ちよりたい都合からここでロープウェイ高尾山駅方向へ直登する登山道に取り付く。この標高差200mが今回の山行の核心部だ。琵琶滝で休憩している間にも多くの人がここを登っていったので実は楽な道なのではと思ったが登ってみるとやっぱり急な登山道だった。休憩で間合いを取ったのでうまく渋滞を回避、マイペースで登る。樹林帯と言う事もあってさすがに汗が出た。登りきったベンチでとりあえず休憩、そして予定通り展望台を中心に付近を散策する事にする。展望台からの景色は絶景。空気は霞んでいたがそれでも麓の景色から新宿の高層ビル群ぐらいは何とか見え、夜ならば百万ドル以上の夜景だろうと想像出来る。

           
左:薬王院(参道)
右:薬王院(奥の院)

展望台から折り返して今度は1号路を薬王院へと向かう。舗装された広い遊歩道はさすがかなりの人で賑わっていた。猿園などを過ぎ、浄心門から道の両脇に燈篭が立ち並んでくるといよいよ参道らしい雰囲気になって来る。やがて男坂と女坂の分岐。当然男坂の方へと向かう。108段あるという石段は一見したところ大したことなさそうで一気に駆け上がった。そこから参道は稜線から外れて左にカーブしてゆく。やがて右手に山門が現れ、そこから中が境内となっていた。参道もかなり長かったが境内もかなり広かった。おみくじ、お守りを買いつつ再び散策。人が多くてまともな写真が撮れない。あちこち寄り道し人をかき分けつつ奥へ階段を進み、本堂、本社、奥の院と順に登って行った。時間もかけ余裕のつもりが、もう最後の方になると最初の元気は見る影もなく疲れて足がつっていた。やっぱり急に駆け出したりは足に良くない。とぼとぼと高尾山の山頂へ向かう。

  
左:高尾山山頂
右:高尾山を過ぎれば奥高尾

薬王院を過ぎるとさすがに人が減ったような気がする。マイペースで高尾山の山頂へ移動。広い山頂にはやはりたくさんの人がいたが写真を撮るのに順番待ちをするでもなく、ベンチも確保出来ない訳でもなく心配したほどではなかった。景色は霞んでいてあまり楽しめなかったのでベンチで少し休む。意外と疲れた。ちょっと観光気分で調子に乗りすぎたかもしれない。ここまで遅刻したり寄り道したりかなりもたついた登山になってしまっていた。それでも十分時間を見てあったおかげで何とか高尾山を出発する時間を当初の予定の10時より早くする事が出来た。山頂から少し下ると「これより奥高尾」の道標、この辺りからようやく山歩きらしくなって来る。


城山茶屋

登山道には思った通り人が多かったが渋滞するほどではなく流されるまま歩いてゆく。オーバーユースで荒れている可能性も考えていたが思ったより整備されていて歩きやすい。そして、さすが東京の人は歩き慣れているのか平均的にペースが速いような気がした。トレーニングコースなのか中には走っている人もいた。期待したモミジ台の紅葉は少し早過ぎたのかあまり綺麗ではなかった。予報では今頃が最盛期のはずなのだが残念だ。モミジ台を過ぎると次のピーク、アンテナの立つ城山を望みながら登山道を一旦下り、そして再び登り返す事になる。鞍部を過ぎてからもアップダウンがだらだらと続き、ひたすら人の背中を見ながら歩いていると時間の割にコースが長く感じられた。城山の山頂は展望に優れ、相模湖(の一部)や高尾山、道志の山々等が見渡せた。とは言え今日は遠景が全く駄目なので人波をかき分けて展望ポイントへ押しかけた割に大した景色は得られなかった。予定より早く到着した分だけ多めに休憩し、再び歩き始める。

         
右:小仏峠の茶屋
左:景信山の盛況

城山を過ぎると急に人が少なくなった。東海自然歩道沿いに相模湖へと降りる人もかなりいるのだろう。そのせいか登山道もこれまでより細くなりあまり整備もされていない様な気がする。泥濘で滑りやすそうな所もあったり油断は出来ないが、あくまで今日のコースの中ではと言う意味である。難なく小仏峠に到着した。峠には古びれた茶屋が建ち本当に営業しているのか分かりにくい状態だったが、ちょうど上半身裸の爺さんが掃除をしていてこれまた怖くて近付けそうもない。分岐点の広場で少し休憩し、先へ進む。登りのほうは泥濘などなくて歩きやすかった。単調な樹林帯の登山道だ。地図によれば中央自動車道やJR中央線の小仏トンネルがちょうどこの下あたりを通っている。良く見ると城山からの縦走路はずっと東京と神奈川の県境稜線だった。やがて登山道は九十九折の急な登りとなるがそれもわずかであっさり景信山に到着した。山頂に到着してみると茶屋の周りにはかなりの数のベンチが並んでいて、しかもそのほとんどが埋まっているという盛況ぶりだった。やはり昼の時間をここで過ごそうと考える人は多いようだ。ここまでの静寂ぶりも実は時間帯が遅かっただけで、むしろ寝坊して正解だったらしい。ここで予定通り昼食、昼寝にする。名物と言うなめこ汁を茶屋で買って食す。なかなか美味だ。

       
左:平坦な登山道
右:堂所山

ここでようやく行程の半分。今のところまず予定通りに進んでいるし、この先も大したことはないので楽な気持ちで歩く。景信山の山頂を出るとまずは緩い下り、そして小さなアップダウンが続く。鞍部からの登りは少し力が入るがそれもわずか、すぐにほぼ平坦なトラバース道を歩くようになり堂所山に向かう分岐点に到着した。とりあえず自分だけ堂所山へと向かう。いきなり急坂、しかし一気に登る。縦走路ではそれなりに人も歩いていたのだが、さすがにアルバイト同然のこのルートに登ろうとする人の気配はなかった。山頂も静かなものだ。写真だけ撮って先へ進む。合流点に弟が移動していなかったので携帯電話で連絡を取らなければならなかった。

         
左:平坦な登山道
右:陣馬山の山頂

弟が来るのを待って再び歩き始めた。良く出来た平坦な登山道が続き自然と足が速くなる。明王峠を過ぎてしばらくすると道が登りになって来るのが分かるがペースを落とす必要もない程度のもの。樹林帯が切れるともう陣馬山の山頂直下だった。白馬の像が立つ山頂で写真を撮り、適当に休憩とする。陣馬山の山頂もかなり広くて30人ぐらいの人がいたのに人はまばらな感じだった。茶屋でコーヒーを飲んでいると茶屋のオヤジが景色の良い日の写真を見せてくれた。何でも富士山や秩父の山々はもちろん南アルプスから上信の山々、筑波山や房総半島、江ノ島あたりまで見えるらしい。実際は丹沢でさえ霞んでよく見えなかったのだが。これはいい宣伝になるな、また来たくなってしまう。

       
左:陣谷温泉
右:藤野駅

茶屋のオヤジに陣馬の湯について尋ねると近道が途中にあると教えてくれた。急坂なので入らない方が良いとのこと。お礼を言って山を下りる。温泉に向かう為、栃谷尾根を下りた。尾根沿いの一本道だ。単調だが幅も広く歩きやすい。近道は避けるつもりだったので最後まで心配はなさそうだと思っていたが結局は成り行きで近道を利用する事になってしまった。最後まで山を甘く見て、それで良いのだろうかと思いつつ。看板に従い近道に入る。いきなり道が細い。ほぼ水平のトラバース道から始まり、やがて下に向かって一直線に下りてゆく。最後には九十九折れの急坂となって陣渓園近くの舗装道路に出た。落ち葉が滑りやすい急な登山道には苦労したが、ここへ来てようやく低山歩きらしい雰囲気を楽しむ事が出来て良かった。早速温泉へと向かう。陣渓園が満員で断られたので陣谷温泉に入る。休憩施設などはなかったので入浴が終わるとすぐに出た。そのまま車道歩きで藤野駅へと向かう。途中、小学校手前の酒屋でゆずシャーベットを食べて休憩。これが風呂上りには絶品だった。駅までは結構歩いたが日没後まだ明るいうちに到着出来た。電車の待ち時間の間に駅前の酒屋で再びシャーベットを食べる。このあたりはゆずが特産らしい。ゆずワインも購入した。そして電車に乗り弟の家へ。今回の山行は景色こそ得られなかったものの渋滞もほとんどなく予想以上に快適で楽しい登山だった。機会があればまた行きたいと思う。

余談 実に良く出来たハイキングコース、登山道だった。開発は進んでいるが使用頻度からしてさほどでないように思えた。
高尾山から陣馬山へ向かうコースはかなり一般的なコースで数多く紹介されており、下調べには困らなかった。
中央本線が神奈川県を通過しているのを始めて知ったw。
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