立山(別山・雄山・浄土山)

(2874M−3003M−2831M)

十年ぶりに立山へ

(第一部)

日程

ホームページを立ち上げるに当たり、是非とも行っておきたい山があった。それが富山を代表する立山だった。私が最後に立山に登ったのは高校生の時で、まだ山登りを始める前の話だ。立山というとどうしても町内旅行で行くような所で登山の対象にはならないと言うイメージがあった。しかし、一昨年アルペンルート三十周年事業で歩くアルペンルートが開通し登りがいのある山として生まれ変わった。大日岳登山の帰りに登山口を確認。心配なのは立山駅から室堂ターミナルまでのコースタイムが12時間弱と書かれていることだ。この時期日没までに幕営するには相当急がなければなるまい。

10月7日

自宅立山駅(05:40)=美女平(06:40)=ブナ坂(07:30)=滝見台(08:20)=大観台(09:10)=弘法(09:50)=追分(10:50)=天狗平(12:30)=室堂ターミナル(13:20)=雷鳥沢キャンプ場(15:10)

10月8日

雷鳥沢キャンプ場(06:30)=別山乗越(07:40)=雄山(10:50)=浄土山(13:20)=室堂ターミナル(14:10)立山駅(15:30)自宅

山行記録

自宅を5時前に出発。途中、コンビニで食べ物を調達してまだ暗い道を立山駅に向かう。駅前の駐車場はすでに満車で称名川沿いの駐車場に車を停めた。まだ始発前だというのにかなりの登山者が駅に向かって歩いている。私はその行列から別れて文部省登山研修所向かいの登山口に向かった。ここは駅職員駐車場らしく慌ただしく車が入ってくる。準備体操をしながら身体を暖めた。辺りはもうだいぶ明るくなっている。

  
左:千寿ヶ原登山口
右:美女平

登山道に入るといきなり急な階段だ。5分ほどで立山駅周辺を見渡せる場所に出た。ケーブルカーの試運転をしている音が聞こえる。鉄塔の側を越えるといよいよ山の中に入ってゆく。急な階段は少し壊れている所があり両手を使って乗り越える。途中、材木岩の看板があったが、全然それらしくない岩が2,3個転がっているだけだ。美女平までの後半は坂も幾分緩やかになり快適な登山道を楽しむ。


登山道脇の巨木

美女平駅にはすでに登山客がバスを待っていた。やはりケーブルは圧倒的に速い。バス乗り場の前を横切り遊歩道に入った。初めは下りでどこまで行くのか不安になったが谷を越えるとゆるやかな樹林帯の道になる。静かだ。時折、野鳥の声が聞こえる他は何も聞こえない。かなり良い雰囲気だ。登山道の側には何本かブナの巨木があり上を見上げた。かなり高い。やがて植生が変わり、森はだんだん低くなってきた。ブナ坂のバス停に出てバス道路を横断する。ここから先は木道だ。


延々と続く木道

計画段階では木道はさして問題にならず、むしろ距離をかせぐのに絶好の場所だと考えていたがこれが誤算だった。濡れた木道の歩行はかなりの困難がともなった。木道の多くは横に傾いていて滑り止めもあまり役に立たない。その上、すぐ横の車道では5分おきにバスが音を立てて上り下りしており、待避する事も難しい。悪戦苦闘しつつもやがて悪城壁上部に到着。しかし地形の関係で称名川が見えずがっかりだ。滝見台での称名滝は靄がかかってよく見えなかったが、一度バスの外からゆっくり見てみたっかったのでちょっと満足。ようやく少し気を取り直した。

         
左:大観台から称名滝
右:弘法の休憩所

滝見台からまだまだ木道は続く。森林限界までは湿った木道が続くと覚悟を決めたら気が楽になった。ちょっとした窪みの桑谷を越え、ようやく大観台に着く。滝壺こそ見えないがここからの滝の眺めもなかなかのものだ。しばらくして八郎坂からの登山者とすれ違った。7時にゲートが開いてから一斉にやって来たらしく、次々と途切れることなく現れる。八郎坂との分岐点を越えるとすぐに弘法だ。森林限界を越えたので湿った木道に悩まされることももう無いだろう。一息ついて昼食にする。

  
左:鍬崎山
右:弥陀ヶ原、一段上は鏡石平

一難去ってまた一難。コンビニで調達したはずの食料がない。きっと車に忘れてきたのだ。仕方なく非常食を口にするが、今回二食しか持ってきていない。あと一回でおしまいだ。室堂か他の山小屋でなんとかするしかないだろう。紅葉の最盛期ということもあってか八郎坂から登ってくる人が結構多い。木道の上を一列に連なりながら七曲がりの坂を登ってゆく。やがて追分、広々とした弥陀ヶ原が眼前に姿を現した。道路を渡り、見通しの利く草原を歩く。さすがに紅葉の最盛期だ。草木が五色に映えてすばらしい景色だ。観光客の姿も多く写真を撮るのに苦労する。

         
左:一ノ谷
右:上から見た弥陀ヶ原

木道が途切れると登山道は一ノ谷へと降りてゆく。沢を渡ると獅子ヶ鼻岩の鎖場だ。何人も順番待ちをしていたが、次々と先を譲られてしまい一気に上まで登る羽目になってしまった。さすがに疲れる。道は再び木道になり緩やかな鏡石平を天狗平に向けて登ってゆく。鏡石平も一段上の天狗平も紅葉はすでに終わりかけている。弥陀ヶ原との標高差200Mでこの違いはちょっと驚きだ。

         
左:鏡石平・・地平線の向こうは天狗平
右:ようやく室堂ターミナルへ

バス道路を渡るとやがて天狗平山荘に到着。追分からほとんど休んでいない。先を行く人が道を譲ってくれるのでうかうかと休んでいられなかったのだ。ベンチの上に腰を下ろして休憩に入る。疲れた。しかし、ようやく室堂ターミナルが見えて来た。予定よりもかなり早く着きそうだ。すでにバテ気味の身体をひきずって石組みの道を進んでいく。かなりペースが落ちたのか次々と登山者に抜かされる。それでも室堂に着くのはもはや確実なので気は楽だ。大谷から階段を登り詰めると室堂ターミナルの入り口に出た。ともかく空腹を満たすためレストランで早い夕食をとる。ビールとカツカレーで2350円也。立山駅から室堂ターミナルまでの片道切符が2360円と思うと複雑な心境になった。

  
左:国重文、立山室堂
右:雷鳥沢キャンプ場

室堂ターミナルを出て向かったのは室堂山荘隣にある、現存する日本最古の山小屋、立山室堂。ここに入るのは剣岳登山のとき以来、二回目だ。内容は入場料300円から推して知るべしであるが、立山登山の歴史に思いを巡らす場所として私は気に入っている。時間が余っているので、みくりが池から地獄谷を経由して雷鳥沢キャンプ場に向かった。まだ早いが起きていても腹が減るだけなので、さっさと設営して寝ることにする。明日は昼食までに室堂ターミナルに入れば非常食だけで何とかなるはずだ。

後半です 2001年 HOME