千葉県の山(PART・1)

七つの山を制覇できなかった男

日程

千葉県は利根川と江戸川で隔てられた陸の孤島だ。あまり高い山は存在せず、最高峰の愛宕山でさえ408.2Mしかない。当然登山に要する時間も限られてくる為、愛知県でやったような一日に複数の山に登る考えでいた。しかし調べていくうちに大変なことに気がついてしまった。千葉県最高峰〜第四位までの山(愛宕山、鹿野山、清澄山、安房高山)は登山口から山頂まで長くても15分程度しかかからない。こんな県は聞いたことがない。そこでこれらの山々に富山、伊予ヶ岳、御殿山、鋸山と名の通った山を加えて千葉計画を完成させた。今回は愛宕山を除いた7つの山を登る予定を立てた。しかし、茨城から千葉への移動時間を甘く見すぎた計画は初めから失敗する運命にあった。

 5月3日  土浦駅(21:30)
5月4日 町営駐車場(04:55)=五合目(05:25)=富山南峰(05:40)=富山北峰(05:50)=伏姫の籠窟(06:30)=町営駐車場(06:50)
平群天神社(07:00)=伊予ヶ岳(07:30)=平群天神社(08:00)
御殿山登山者駐車場(08:10)=御殿山(08:50)=御殿山登山者駐車場(09:40)
登山口(10:30)=安房高山(10:40)=登山口(11:00)
清澄寺駐車場(12:40)=妙見山=清澄寺駐車場(13:20)
道の駅「富浦」マザー牧場
九十九谷展望台(18:10)=白鳥神社の裏山=九十九谷展望台(18:30)

山行記録

土浦駅で夕食を済ませて出発したのが21時30分。そのまま高速に乗らずに千葉へと向かう。最近のレンタカーはカーナビ付きなので非常に便利だ。到着予定時刻は1時過ぎ。道はガラガラなのでもっと早く着けるだろう。しかし八千代市あたりでどうしても眠くなり、脇道に移って仮眠を取った。三時間ほどは寝ただろうか。起きあがると再び車を走らせる。富山登山口に予定していた町営駐車場に着いたときにはもう四時を回っていた。明るくなるまで少し休むことにする。

       
左:富山349.5M(伊予ヶ岳から)
右:北峰に建つ展望台

駐車場はかなり広く20台ぐらいは停められそうだ。朝食とトイレを済ませ、県道を福満寺に向けて歩いてゆく。10分ほどで富山登山口の看板があり福満寺の脇を登ってゆく。軽トラなら十分通れそうなコンクリート舗装の道だ。やがてこの道は他の林道と合流しさらに上へと登ってゆく。枝道がたくさんあって迷うところだが道なりに行けば間違いない。やがて道の脇に擬木の柵が並び始め、五分ほどで階段が始まる。ここで五合目、ようやく登山道らしくなってきた。ひたすら階段を登ってゆく。やがて古い石段が現れ、登った先に観音堂が建っていた。ここが南峰で綺麗な平地になっているが、展望はない。戻って石段を下り、今度は北峰へと向かった。鞍部を過ぎ、階段を登ってゆくと展望台のある広場があり、ここが北峰だった。北東から南西方向に展望が開けているが、ガスって何も見えず、ただ救急車のサイレン音だけがやかましく聞こえるだけだった。三角点は手前の藪の中にあった。鞍部まで戻り、伏姫の籠窟に向けて急な階段を下ってゆく。やがて道路に出てしばらく行くと突然白壁の門が現れて驚いた。これが伏姫の籠窟か。思ったより整備されていたので穴まで登ってしまった。柵があって中には入れない。籠窟を後にして車道をそのまま駐車場へと向かった。

       
左:平群天神社(山頂が見える)
右:伊予ヶ岳336.6M

平群小学校の隣に平群天神社があり、境内が駐車場になっている。10台ぐらいは停まれるだろうか。看板に従い天神社の脇から道路を歩いてゆく。すぐに登山道になるが緩いアップダウンの道で西側から来る道との合流点へと続く。ここから階段を少し登ると東屋があり、樹林帯を抜ける。ここから山頂まではガレ気味の急坂をロープや鎖を使って登るのだが、丁度近くを五、六匹のクマンバチが飛び回っており存分にスリルを味わいつつ山頂まで登った。山頂の景色はまさに絶景。遠くが霞んでいるのは残念だが、真下が見えるだけでもすごい。三角点を確認して往路へと引き返す。蜂が追いかけてきたので森に入るまでは気が抜けなかった。

  
左:町営駐車場
右:御殿山363.9M(コスモクラシックG.Cより)

県道89号沿いに山田へと向かう。道路脇に御殿山登山口の看板があり、すぐに町営駐車場が見えてきた。そこには御殿山ハイキングコースの書かれた看板があり、15台ぐらい停まれそうなスペースがあった。車を停めると県道を渡り登山口の看板に従って細い道路を登ってゆく。そのまま道標に従って登ってゆくと樹林帯に入り、未舗装の道路が始まる。ゲートを越えるとすぐに登山道が始まり、少し登ったところに大黒様が祀られている見晴台があった。麓の景色がよく見える。少し進むと道は下りになり、鞍部を過ぎて頂上直下まで稜線を歩く。山頂直下の階段は急斜面で登りにくいが、背後に愛宕山がよく見える。山頂には東屋があり、富山、伊予ヶ岳を眺めて休憩した。天気が良ければ太平洋と東京湾が同時に見えるという話だが、この日は見えなかった。しかも山頂の写真は逆光でボツ。山頂の突起を形成している木々に別れを告げて往路を下山した。帰り際には向かいにあるコスモクラシックゴルフクラブの手前から御殿山を眺めて行く事にする。

           
左:国道から安房高山(中央)
右:安房高山山頂364.9M

国道410号線を北上し、君鴨トンネルを抜けるとすぐに旧道との分岐点があり、これを折り返し登ってゆく。旧道のトンネルに向かう道はゲートで封鎖されていたので、道なりに上に登ってゆくとやがて安房高山と書かれた看板が現れた。もしかすると反対側の登山口かもしれないが、分からないのでそのまま車を走らせる。稜線に出るとすぐに分岐点があり、これを右に曲がりダート道を少し走ると安房高山登山口に到着した。道路脇に車を停めて歩き出す。五分ほどで石の祠が建つ稜線に出てもう五分稜線に沿って歩けば三角点のある山頂だ。すぐ傍には反射板があって景色を遮っているが、稜線なだけに南北の景色が得られ高度感も結構ある。十分景色を楽しんだ後、暑くなってきたので祠まで戻って昼食にした。展望はないが木陰なのでここは涼しい。帰りは往路を下った。

       
左:清澄寺
右:妙見山377Mに建つお堂

カーナビに従い次の目的地、清澄寺へと向かう。しかし、鴨川の中心部に入ったとたんに渋滞で全く動かなくなってしまった。この先にあるのは当然「鴨川シーワールド」。いつまでも渋滞につき合っていられないので引き返して迂回する。カーナビには太い道(国道、主要地方道)を優先する機能があるようで、迂回した方の道から行った方が元々は距離も近かった。こんな事で一時間近くも時間を無駄にしてようやく清澄寺に到着。参拝者用駐車場から境内まで五分程。清澄寺の大杉を見てお守りを買い、本堂でお参りした。本堂の裏に「南無妙見大菩薩」の幟が立っており、上に向かって階段が続いていた。これが妙見山への道のようだ。ひたすら階段を登ってゆくと頂上にお堂が建っていた。標識のような物はないが、ここが妙見山で間違いないだろう。展望は木々に遮られて良いとは言えない。山を下り、境内を再び散策して駐車場に戻った。車で下山中に白装束の人達が500人くらい列を連ねて登っていった。この地は信仰の対象としてまだまだ生きているようだ。

           
左:白鳥神社379M方向(マザー牧場から)
右:白鳥神社

この段階でタイムアウト。鋸山を次回に回すことにした。房総から明日の目的地の八溝山まで高速でも五時間半。無理は避けたい。そこで向かったのは枇杷の産地で有名な房総の道の駅「富浦」。施設内はまさに枇杷一色で加工品の種類も豊富に揃っていた。枇杷ソフトを食い、土産を買う。次に向かったのはマザー牧場。やはり土産物が目的だ。しかし、駐車料金、入場料ともに一日券のみ。完全にボられた。ジンニスカンを食い、土産を買うのには五十分足らずで十分だった。まあいいけど、もう来ないし。
そんなこんなで九十九谷展望台に着いたときにはもう日は落ちかけていた。道路の向かい側にある白鳥神社に入り、お参りをして横合いから裏山への道に入ってゆく。林の中の作業道のような道だ。登ってゆくとすぐに頂上に到着。山頂には日本武尊草薙と書かれている剣をかたどった石碑が置かれていた。展望は周りの木々に遮られて全く得られない。日没が近いせいもあってすぐに山を下りた。
これからまだ長いドライブがある。しかしもう体力的に限界と言っていいほど疲れ切ってしまった。

余談 当初の予定では茨城−千葉の移動時間は三時間。あまりに甘い考えだった。
千葉から茨城へと向かう途中でGW帰省ラッシュに遭遇。茨城、千葉計画は翌日計画変更を余儀なくされた。
カーナビの特性を理解して計画を立てることが重要だ。
鋸山には翌週登頂出来た。
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