筑波山

(877M) 

茨城県有数の縦走路を行く

日程

今年のGWは茨城・千葉の最高峰を中心にいくつかの目立った山を登る事にした。その中でも最も距離が長く困難と思われるコースが筑波連山縦走だった。10時間以上の長大なコースは筑波山に対する見方を一変させ、登り甲斐のある山としての認識を持たせてくれた。下山後レンタカーを取りに行く関係であまり時間的余裕がないが、夜行列車で行っても何とかなるだろう。劇の練習による運動不足や新しい登山道に不明瞭な部分があったりと不安は尽きなかったが、その日は容赦なくやって来たのだった。

5月2日 富山駅(22:58)
5月3日 岩瀬駅(07:43)=御嶽山(08:20)=雨引山(09:00)=燕山(10:40)=加波山(11:10−30)=一本杉峠(12:10)=足尾山(12:40)=キノコ山(13:20)=上曽峠(14:00)=湯袋峠(14:40−20)=裏筑波野営場(16:20)=御幸ヶ原(17:10)=女体山(17:30)=男体山(18:00)=筑波山神社(19:00−10)土浦駅(19:45)

山行記録

富山駅から「能登」で出発、大宮、小山で乗り換え、岩瀬駅に向かう。久々の長距離山行だが家で十分休んできたのでさほど疲れはない。やはり問題は体力とタイムリミットがあると言うことだろう。出来る限り軽装にしたとはいえシュラフ、フライ持参というのも痛い。翌日からはレンタカーで移動する心づもりなので今日一日頑張れば済むのだが、どの程度コースタイムに遅れが生ずるのか全く分からない状態だ。ただ今日さえうまくいけば茨城・千葉計画は成功したも同然と気力を集中させるしかなかった。

       
左:岩瀬駅
右:御嶽山(230.9M)の御嶽神社

あまり余裕がない関係で最初からとばしてゆく事にする。岩瀬駅を出るとすぐ道標があり、その後も御嶽山の登山口まで要所要所をしっかり導いてくれる。駅には「雨引山−山歩きコース」のパンフもあって大変重宝した。登山口からはゆるい階段の続くハイキングコース。行場跡の不動滝を過ぎると尾根に入り本格的な登りが始まる。しかしそれもつかの間、あっけなく御嶽神社に到着した。神社の裏側は景色が開けていて少し休む。まだまだここは序の口だ。

       
左:迂回路の階段
右:雨引山409.3M

御嶽山を過ぎるとしばらくは快適な縦走路が続く。やがて登山道の東側にフェンスが現れ、ついにはバリケードが迂回路との分岐点に設置されている。向こう側にある採石場を迂回するためだ。話に聞いたとおりかなりのアルバイトを強いられる。付近には上から落ちてきたと思われる岩が転がっていて回り道も仕方ないのかもしれないがどうも腑に落ちない思いばかりが残った。稜線に戻ってしばらく行くと林道に出るが、すぐに登山道に戻る。アンテナ施設を過ぎるといよいよ本格的な登り。雨引山直下の階段はパンフに書かれているようにかなりきつかったが一気に登った。山頂には既に10人ほどの人が休んでいて賑わっている。西側の景色が開け、これから登る筑波山も見える。筑波山に行くと話すとみんなで頑張れと励ましてくれた。彼らは雨引山で下山してしまうとの事。一人縦走路を南へと向かう。

       
左:雨引山
右:燕山山頂701M

雨引観音への道を分けると道は急に細くなり、低山歩きらしい雰囲気になってくる。しばらくは軽いアップダウンが続くが突然視界が開け、林道らしき場所に出た。伐採された山肌と赤土のままの林道が痛々しい。背後には雨引山が見える。作業中と思われるエンジン音が異常に暑苦しく感じられた。ここを境にだんだん体が暑さで消耗していくのが感じられるようになってくる。まさに燕山直下の登りは前半のヤマ場だった。再び登山道に入るがもう体はよろよろ。まだかまだかと思いながらもきつい登りをゆっくり歩く事に専念し、ようやく山頂に到着した。休憩しながら、もう止めようかと本気で考えたほどこの時はきつかった。

               
左:加波山神社
右:たばこ神社

燕山の山頂から先へ進むとアンテナ施設が二つ続き、下りた鞍部が加波山神社となっていた。ここには道路が通じていて、下から登ってきている人が何人も見られた。神社でお守りを買い、石段をさらに上に向かう。加波山には鞍部に立つ加波山神社、加波山親宮の他にたばこの豊作を願って建てられたたばこ神社、三角点ピーク(709M)に建つ加波山大神社と別々の神社が乱立していて複雑な歴史がありそうな感じがした。疲れもたまり、腹も減ったので加波山神社本殿の傍で昼食を食べた。休んでいると意外と歩いている人が多い。この人達についていけば体力をセーブして歩き続けられるのではないか、そんな考えがうかんできた。


足尾山山頂627.5M

加波山山頂を過ぎ、再び登山道となった道を下りてゆくと適当な中高年グループに追いついた。下りなので体力的に問題はなく、うまく追い抜いた。そのまま付かず離れずペースメーカになってもらう。鞍部で林道を越え、まっすぐ登山道を進むと丸山をトラバースし、再び林道に出くわす。ここが一本杉峠だ。林道を100M程行くと分岐点があり、登山道に入る。すぐに林道に出るが、登山道は上に向かって続きやや急な登りをこなすと足尾山の山頂に到着した。山頂には草履が貼り付けられている祠が建っている。しばらく休憩し、中高年登山者と別れ石段を下りた。神社の参道のようだ。足尾神社社殿の裏に出る。境内には古びれた松葉杖や履き物が積み上げられていていた。きっと使い古した物を供養したのだろう。名前の通り足に関係のある神社のようだ。さらに石段を下るとすぐ林道と出合った。地図上ではまだ全行程の半分だが、ここから筑波山麓までは林道歩きが続く。ここで頑張って時間を稼がなくてはいけない。

       
左:きのこ山527.9M
右:上曽峠

林道を歩き始めるとハングライダーのテークオフ地点があり、順番待ちが20機ほど待機していた。さすがに景色は良い。邪魔にならないように通過するが、林道はハングライダーを積んだワゴン車がひっきりなしに通るのでどうも落ち着かない。しばらく行くときのこ山への看板があり、ちょっと寄ってみる。林道から50Mほど入った所に東屋があるが展望はない。三角点は奧の藪の中にありそうだったが疲れているのでパスした。引き返して再び林道を進む。そのまま下りていったところが上曽峠だ。県道を横断しさらに南へと向かう。上曽峠から湯袋峠までの道も舗装道路だが車止めがあるので落ち着いて歩く。途中、何回かバイクが通って行った。

  
左:筑波連山を振り返る
右:筑波山山頂875.9M

ようやく湯袋峠までたどり着いた。残るは筑波山のみである。右手に何百メートルか行ったところに登山口があるはずだと道路を下りてゆくが峠から800Mの看板を過ぎても何もない。あきらめて引き返し、五万図に出ている登山道を利用することにする。貴重な体力と時間を無駄にしてしまった。少々荒れ気味の登山道をひたすら登る。急斜面で滑りやすい所もあるが踏み跡はしっかりしていて迷わず林道に出る事ができた。右に進むと広場があり、林道が途切れているが、木に巻いてあるテープを頼りに杉林の中に入った。しかしそれもすぐに途切れ、完全に道を失ってしまった。地図を見ると上の方に林道があり、引き返すより早そうだ。道無き林を登ってゆく。すぐに遊歩道に出合った。これが最初に探していた登山口からの道に違いない。階段をひたすら登ってゆくと林道に出合い、すぐ裏筑波野営場に到着した。一時はどうなるかと思ったが何とか道を取り戻すことが出来た。ここでひとまず休憩し、水を補給。さらに車道をユースホステル跡へと向かった。ついで幅広い登山道を御幸ヶ原へと登る。バスの時間に間に合わせるため早足で歩く。しかしここへ来て一時間の遅れを取り戻せるはずもなく、最後の300Mの標高差を前に力尽きた。御幸ヶ原に着いたときにはもうフラフラで立っていられないほどだった。

               
右:男体山からの夕日
右:筑波山神社

しばらく御幸ヶ原で休む。このままケーブルカーで下りるとバスに間に合うのだが、今日は筑波山に登りに来たのでそういう訳にはいかない。タクシーで土浦駅に向かうことに決めた。一息ついてからまだ人の多い女体山へと向かう。道は整備され歩きやすい。他の人を抜かす余裕さえ出てくる。山頂はガスに覆われ展望は得られなかったので写真だけ撮ってもらい、御幸ヶ原に戻った。いつの間にかもう全ての店が閉まっていて、さっきまでの喧噪が嘘のようだ。続いて男体山にも登ってみる。こちらは名前の通り急な登りをこなさねばならず、息をつきながら一歩ずつ登らねばならなかった。その甲斐あってか男体山の山頂からは夕日が今日の苦労に報いるかのように輝いて見えた。それからすぐに山を下りたが日没に間に合うはずもなく、暗い山道を手探りで筑波山神社へと下りることになった。タクシー乗り場から直通電話でタクシーを呼び、土浦駅のトヨタレンタカーに着いたのはタイムリミットの15分前だった。

余談 やはり出発が遅かった。もう少し早く出ていれば暑さで疲労するのを抑える事も出来ただろう。
準備不足でコースの不明瞭な点を曖昧なままにしてしまった。
最初のペースがやっぱり速すぎた。
運動不足の割に体力的な問題はとくに無かった。4月の登山だけで良かったのだろう。
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