市議会報告

平成25年度の決算を認定しました。

一般会計決算額:850億2,000万円
翌年度への繰越:8億6,700万円
実質収支額:+9億4,700万円


平成26年第5回定例議会が9月4日から25日までの22日間の会期で開催されました。この議会では、行政から提出された平成26年度茨木市一般会計予算をはじめ、固定資産評価審査委員会委員任命の同意、老人福祉センターの機能拡充のための高齢者活動支援センター条例と多世代交流センター条例の制定、茨木市で初となるサッカー専用グランドの開設のための「茨木市運動広場条例」の一部改正、来年度からスターとする子ども子育て支援新制度実施のための「茨木市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例」「茨木市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の利用者負担等に関する条例」の制定、「茨木市幼稚園条例」「茨木市待機児童保育室条例」の一部改正、保育所民営化のための財産の贈与について、平成25年度茨木市一般会計決算認定、平成25年度茨木市国民健康保険事業決算認定など市長から提出された32件の議案について慎重な審議を行いました。

「扶助費用」が年々増加

人件費、扶助費、公債費(借金の返済)を合わせた義務的経費が、平成9年度から約100億円増加しており、財政の硬直化を引き起こす要因となっています。
それは、扶助費(高齢者、障がい者、生活保護等に関する福祉サービス経費)が平成9年度の約3倍(226億円)に増加していることが主な要因ですが、茨木市はこれまで、職員数等の定数化による人件費の抑制や適切な市債の発行による公債費の抑制により、財政の健全化に努めています。

経常収支比率(87.7%)北摂7市の中で1位

財政の余裕度を示す経常収支比率は、扶助費等の経常経費が市税等の経常一般財源に占める割合で、低いほど財政の弾力性がある健全な状態とされており、茨木市は北摂7市中1位、大阪府内でもトップクラスで良い状況を維持しています。 その要因は、潤沢に財源がある、いわゆる「お金持ち」だからではありません。家計の給料に当たる市税等の一般財源は、大阪府内や北摂の各市と比較しても少なく、その限られた財源の中で、様々な事業等の見直しに勤めたことにより、良好な状況を維持しています。これらの取り組みにより、子育て支援や教育の充実、都市基盤整備の推進等の市民サービスを着実に実施してきました。しかしながら、良好な状況が将来も続く保障はないため、少子高齢化の進展に加え、赤字補填債の累積などから増え続ける市債財高の影響や、主要プロジェクトの動向などを適切に踏まえた中長期的な財政運営に努めることにより、健全財政を維持し、市民サービスの向上と福祉の充実を図ってまいります。


今後の財政見通し

①経常収支

少子高齢化の進展により、市税の伸びを社会福祉経費の伸びが上回る状況の中、消費税率の改定による交付金の増収とそれに関連した臨時財政対策債の発行の抑制に伴う公債費の減や、地方交付税の安定的な交付を見込むことから経常収支は、今後10年間、34〜49億円で推移する見込みです。

②政策事業

政策事業とは、「今」必要なサービスの充実や「将来」の活力ある街の発展に資する新規及び拡充事業であり、厳しい財政環境にあっても、行政の使命として継続して取り組む必要があるものです。
「主要プロジェクト」については、立命館大学開学にかかる周辺整備、仮称JR総持寺駅周辺整備、彩都関連整備事業、安威川ダム関連整備事業、新名神高速道路関連事業などが平成29年度までに集中するため、多額の市債活用が必要になります。
また、平成35年からは、ごみ処理施設の更新に関する経費を見込んでいます。

③最終収支

今後、何も手立てを講じなければ、経常収支から政策事業にかかる一般財源と政策事業により経常化する経費を差し引いた最終収支は、平成29年度から収支不足に陥り、赤字が累積していく見込みとなります。すなわち、市民サービスの充実を図る政策事業の実施財源を、経常収支の黒字範囲内で賄うことができないことになります。
行政の使命として、様々な行政需要に対応するための事業を実施していくには、健全な財政運営が不可欠であり、顕在化する課題に対応した収支不足を解消するための取り組みを実践して参ります。

平成25年度の決算の内容
  歳入決算額 歳出決算額 収支
一般会計 868億 850億 +18億
国民健康保険事業会計 283億 281億 +2億
後期高齢者医療会計 31億 30億 +1億
介護保険事業会計 142億 140億 +2億
財産区会計 55億 1億 +54億
公共下水道事業会計 84億 84億 +0.2億
水道事業会計 49億 49億 −0.5億
主な審議議案
  • 固定資産評価審査委員会委員選任につき同意を求めること
  • 茨木市非常勤職員の報酬等に関する条例の一部改正について
  • 茨木市高齢者活動支援センター条例の制定について
  • 茨木市多世代交流センター条例の制定について
  • 茨木市敬老祝い金条例の一部改正について
  • 茨木市立コミュニティセンター条例の一部改正について
  • 茨木市運動広場条例の一部改正について
  • 茨木市付属機関設置条例の一部改正について
  • 茨木市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の制定について
  • 茨木市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の制定について
  • 茨木市待機児童保育室条例の一部改正について
  • 茨木市学童保育室条例の制定について
  • 茨木市下水道等事業の設置に関する条例の制定について
  • 工事請負契約の締結について(4件)
  • 平成26年度茨木市一般会計補正予算について
  • 平成25年度茨木市一般会計認定について
  • 平成25年度茨木市介護保険事業会計認定について など5件
主な質疑内容

少子高齢化の進展による扶助費の増加、中心市街地の活性化や市域北部の整備など大型プロジェクトが目白押しの現状であり、中長期の財政見通しについて質疑した。

Q:近年、元金償還を上回る市債発行が続き、プライマリーバランスを悪化させている。本年の市債発行額と市債残高を示してほしい。また、市債のピークはいつで、残高はいくらになると予測しているのか?

A:これまでも当初予算及び補正予算において、可能な限り市債発行の抑制に努めてきたが、近年、小中学校の耐震補強整備の建設債や地方交付税の不足を賄うための臨時財政対策債の借り入れが、元金償還を超えプライマリーバランス悪化の要因となっている。この状況はもうしばらく続くものと想定している。

  • 平成26年度の市債発行:83億円(市債残高:608億円)
  • 市債残高のピークは平成29年度で650億円と予測

Q:立命館大学関連、JR新駅、彩都、安威川ダム、新名神高速道路の5大プロジェクトに加え、市内中心部の街路整備、ごみ処理施設の更新、JR茨木駅構内へのエスカレータ設置を含めて収支見通しを立てているが、全体の事業費と市債の活用計画は?市税の伸びは期待できず、このままでは収支不足になるのでは?

A:議員ご指摘の5大プロジェクトと3重点事業は、現状の財政計画に見込んでいる。平成25年度以降の事業費は532億円となっており、そのうち市債の発行額は218億円と試算している。市民サービスの充実を図る政策事業の実施財源を、経常収支の黒字の範囲内で賄うことができず、今後、何も手を加えなければ平成29年度から収支不足に陥ると見込んでいる。

Q:主要プロジェクトに入っていない、市民会館の建て替え、阪急茨木駅の西口整備、JR茨木駅の西口整備、彩都東部の整備、公共下水道の老朽化への対応などは、どの時点で中期財政見通しに反映するのか?
これらの事業に取り組むタイミングによっては、収支不足が早まるのでは?

A:毎年検討を行っていく実施計画において、各事業の計画が具体化した時点で、事業の規模、手法について議論を行い、財政負担の視点を踏まえ優先順位を見極めたうえで適切に対応していく。老朽化する施設の対応経費は、財政負担の平準化を図り、計画的な対応を進めていく。

Q:予測では、平成29年度に収支不足となる。具体的な改善取り組みは?

A:柔軟な財政構造を保持するためには、公債費以外の経常的な支出に充当される一般財源が税等一般財源に占める割合を示す「経費硬直率を概ね85%以内に抑制」する。次に、将来世代への負担を抑制するため、市債残高を経常的な支出の財源を使って何年で返済できるかを示す「償還可能年数を概ね8年以内」とする。
また、公債費を税等一般財源の10%を超えない、概ね「60億以内に抑制」し健全な財政運営を図る。


平成26年度の新年度予算を認定しました。

一般会計予算:882億円
前年度比:108.3%・+67億円


代表質問

平成26年第2回定例議会が3月3日から26日までの24日間の会期で開催されました。この議会では、行政から提出された平成26年度茨木市一般会計予算・各特別会計予算をはじめ、教育委員会委員任命の同意、人権擁護委員の推薦、茨木市職員基本条例の制定、新たに設置するバリアフリー基本構想協議会などの「茨木市付属機関設置条例」の一部改正、新たに設ける非常勤職員の職種に対応するための「茨木市非常勤職員の報酬等に関する条例」の一部改正、国の法令見直しによる「茨木市都市計画審議会条例」の一部改正、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律の施行による「茨木市消防団の定員・任免・給与・服務等に関する条例」の一部改正、エネルギー使用の合理化に関する法律の改正による「茨木市手数料条例」の一部改正、福井体育館にトレーニング室を新設することに伴う「茨木市立市民体育館条例」の一部改正など27件の議案について慎重な審議を行いました。

選ばれるまち「いばらき」に向けて

少子高齢化の進展により社会福祉経費が増加する厳しい財政環境の中、緩やかながら回復する市税収入や税制改正等により増加する税交付金、事業の見直しによる財源等を活用し、「住み」、「働き」、「学び」、「集う」方々に「住み続ける」、さらには「選ばれる」まち「いばらき」の実現に向け、福祉・医療や教育などの安全と安心が実感いただける施策、健やかな市民生活をしっかりと支える「今」必要なサービスの充実と、立命館大学の開学や(仮称)JR総持寺駅、新名神高速道路のインターチェンジの開通など将来の活力あるまちの推進につながる「可能性の種」を開花させる取り組みを力強く推進して参ります。

財政の健全性を根幹とした予算編成

市税収入は、景気の緩やかな持ち直しや固定資産税評価替の据え置き年度あることなどから5億円の増加を、贈与税・交付金等では、消費税率の改定により地方消費税交付金が増加することなどから6億円の増加を見込んでいる。一方、普通交付税においては、地方財政計画では交付税総額は一定確保されるが、市税収入の増加等により2億円の減少が見込まれ、市税等の一般財源総額は516億円になる見込みである。
社会福祉経費は、生活保護費や私立保育所運営負担金の増加等により、大幅な扶助費の伸びが見込まれることに加え、高齢化の進展により国民健康保険や介護保険への繰り出し金も増加し続けており、前年度比較で13億円の増加となる見込みである。
このような厳しい財政環境の中、安全で安心、健やかな市民生活の維持向上と将来のまちの発展を図るため、徹底した経常経費の節減と既存事業の見直し等により財源確保に取り組みました。また、平成26年度は、活力あるまちの推進に向けたハード事業が集中する時期であり、その円滑な実施には多額の市債発行が不可欠であるが、将来の財政負担を考慮し市債発行の抑制に努めました。

○「今」必要なサービスの充実
  • 子育て支援の充実(保育所待機児童解消策等)  577百万
  • 市民の健康増進(救急医療体制、ガン検診等)  244百万
  • 高齢者福祉の充実(いきいき交流事業等)    467百万
  • 防災体制の強化(耐震診断、改修補助等)    576百万
  • 学校教育の充実(保幼小中連携教育の推進等)  148百万
  • 環境の保全(環境計画、省エネ設備補助等)   165百万
○「将来」の活力あるまちの推進
  • まちづくり計画の策定(総合計画、都市計画マスタープラン)  50百万
  • 立命館大学の周辺整備(駅前広場、市民開放施設等)    3,363百万
  • 計画的な道路整備(茨木松ヶ本線、西中条奈良線等)    2,078百万
  • JR総持寺駅周辺整備(駅前広場、駐輪場等)         372百万
  • 彩都・安威川ダム・新名神高速道路関連事業         681百万
○「健全財政」の確保
  • 事務事業の見直し(経常経費精査、事業実施の工夫等)   350百万
  • 市債発行の抑制(建設債の発行を抑制)         1,300百万

平成26年度の新年度予算の内容
  平成26年 平成25年 差引額
一般会計 882億 815億 +65億
国民健康保険事業会計 289億 288億 +1億
後期高齢者医療会計 32億 31億 +1億
介護保険事業会計 153億 139億 +14億
財産区会計 54億 55億 −1億
公共下水道事業会計 84億 83億 +1億
水道事業会計 81億 82億 −1億
▽一般会計882億円の内訳

円グラフ

主な審議議案
  • 人権擁護委員推薦につき意見を求めること
  • 茨木市教育委員会委員の任命について
  • 茨木市職員基本条例の制定について
  • 茨木市付属機関設置条例の一部改正について
  • 茨木市非常勤職員の報酬等に関する条例の一部改正について
  • 茨木市立体育館条例の一部改正について
  • 茨木市都市計画審議会条例の一部改正について
  • 茨木市手数料条例の一部改正について
  • 茨木市消防長及び消防署長の資格を定める条例の制定について
  • 茨木市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部改正について
  • 茨木市消防関係手数料条例の一部改正について
  • 訴えの提起について
  • 金融機関の指定について
  • 平成25年度茨木市一般会計補正予算について
  • 平成26年度茨木市一般会計予算について
  • 平成26年度茨木市特別会計予算について など
民主みらい会派の代表質問

①JR茨木駅・阪急茨木市駅の機能強化を

Q:国土交通省道路局の資料には、交通結節点は「つなぐ空間」と「たまる空間」としての役割を果たすとされているが、JR茨木駅と阪急茨木市駅ついて、どんな課題を把握し、どう解決を図ろうと考えているのか?

A:両駅とも西口に多くのバスが乗り入れており、通過交通が駅前広場に流入する形状となっていることや、バリアフリーに対応できていない等の課題がある。
課題解決には交通事業者や関係機関等と連携して取り組み、協議を進めていく。

②認知症サポーターの研修は

Q:認知症サポーター(認知症について正しく理解し、認知症の人やその家族を温かく見守る応援者)への対応力向上研修を推進しているが、研修終了後にサポーターが活躍する場をどのように提供しているのか?また、増加する認知症患者に対応するための課題把握は?

A:対応力向上研修は、認知症本人や家族と課題を共有して、問題解決に当たるもので、サポーターの積極的な自主活動が活性化するという効果を期待している。
課題としては、本人や家族のニーズとサポーター活動のマッチングを図ることが重要であり、市としてもコーディネートしていく。

③公契約制度確立に向けて

Q:公契約制度については、平成24年度から庁内組織が立ち上げられ、事業者や労働者へのアンケート調査を行ったが、その結果はどのような内容であったのか?
また、公契約条例制定に向け、今後どのように取り組まれるのか?

A:アンケート結果では、事業者、労働者ともに適正な価格での入札や契約を望む意見が多かった。今後は、最低賃金の引き上げなど、労働者の雇用環境の変化や労働環境の影響を注視しながら、条例化を含めた研究、検討を行っていく。