5月初め、2010年1月〜3月期のGDP(国内総生産)が発表された。エコポイントの継続やハイブリット減税で企業活動が好調で前年比を大きく上回る+4.9%を記録した。前年度のGDPは約540兆円/年であり、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国に長年君臨している。
勿論、経済の発展に基づく、安定した雇用の確保が国民生活の基盤になることは理解している。しかし、格差が拡大し貧困問題が論議されるようになった日本。
12年連続して自殺者が3万人を超え、昨年は20歳代、30歳代の自殺が過去最悪を更新したことなど大きな課題を抱えている。
また、内閣府が発表した「国民生活選好度調査」(日本人が日々の生活でどれくらい幸せを感じているかを点数で表したもの)では、10点満点中6.5点であった。
これは、主要国28カ国中、20位であり、1位のデンマーク8.4点には遠く及ばず、平均の6.9点をも下回る結果となった。
今、EU諸国では、社会の幸福度や持続可能性を計測できるGDPを超える新たな仕組みづくりが検討されている。
GNPグロス・ナショナル・ハピネス(国民総幸福)を国の方針として取り組むブータン王国に学ぶ必要があるのではないか。ブータンには貧困層が23%いるが調査では97%が「幸せ」と答えている。仏教の精神が各世代に継承され、助け合いの精神が社会の基本にあることが、幸福度の高さにつながっていると思われる。
わが国の課題である、格差や自殺の問題は、自己責任論だけでは解決することができず、他者に対する優しさや思いやり、地域が持っていた互助の精神、人と人とのつながりの回復の必要性を強く感じる。
「ありがとう」「お蔭様で」「お互い様」という他者を思いやる、感謝の言葉が飛び交う街をつくりたい。 |