追想の山々1276  up-date 2002.01.31

信州100名山3座を、日帰りで駈け歩く ≪ 茂来山  御座山  天狗山・男山 ≫

天狗山〜男山 登頂日1993.05.29 単独行
▼東京(2.35)===佐久IC==平川原==林道ゲート(5.40)−−−登山道入口(6.10)−−−茂来山(6.50-7.10)−−−登山道入口(7.25)===御座山登山口へ
▼小海町===白岩===林道終点(8.45)−−−稜線上分岐(10.00)−−−御座山(10.10)−−−岩峰先端往復−−−御座山(10.30-40)−−−林道終点(11.30)===天狗山登山口へ
▼立原高原===馬越峠(12.35)−−−天狗山(13.05)−−−最低コル(13.25)−−−男山(14.10-20)−−−最低コル(15.00)−−−天狗山(15.25-35)−−−馬越峠(16.10)===須玉IC===東京へ
所要時間 茂来山1時間45分  御座山2時間45分  天狗山・男山3時間35分   合計 8時間5分
天狗山(1882)〜男山(1851m)  天狗山は信州百名山=56才
天狗山は鋭い岩峰


今日三つ目の『天狗山・男山』登山口ヘ移動。
北相木村から南相木村へと自動車を走らせる。農作業に精を出す人々の姿が、よき農村風景を描き出 していた。
峠道へさしかかり、高度計が標高1200メートルを超える高地に小さな集落が現れた。立原の集落である。冬場の寒さはさぞ厳しいことだろう。
峠の最高地点が『馬越峠』でここに天狗山への登山口があった。駐車できるスペースもある。

天狗山から男山まで往復すると、コースタイムは4時間余、私の足でおおよそ3時間くらいかと見込んだがちょっと甘かった。
尾根の取りつきは最初から急登だった。さすが三つ目の山となれば、健脚の私もいくらか足が重く、「急ぐことはない、夕方までに帰ってくればいいさ」と軟弱な気持ちが湧いてくる。
明るい尾根道はよく踏まれて歩きいい。ひと登りすると平坦な尾根に変わる。下山して来る人と擦れ違う。午後1時を過ぎれば、普通は下山の時間である。
再び勾配が強くなりひと汗かいて天狗山の頂上に着いた。小さいながら岩峰のピークは眺望に恵まれ、数人のハイカーが展望を楽しんでいた。行く手に男山がうかがえる。天狗山からは足元が見えないような急崖が切れ落ちている。この急崖のどこに男山へのルートがあるのかと思えるような険しさだ。しかしここは一般登山コース、ちゃんと道はつけ られている。

コースは天狗山から崖の基部へ回りこむように一気に下降していた。ここもシャクナゲが多いが、開花にはもうしばらくというところ。 しかしときおり花を開き始めたものもあって目を楽しませてくれる。ムラサキヤシオの花が一際鮮やかに目立っている。
約200メートルの高度を降り切って、あとは緩い登り降りを繰り返して稜線をたどって行く。岩稜の痩せ尾根があったりして、ちょっ とした岩場歩きの感がある。途中開けた岩の上に立って振り返ると、 目前に天狗山の絶壁があたりを圧して聳立していた。
いくつか突起を越えると男山の山頂が見えて来た。最後に南側を下り加滅にトラバースしてから、急登を行けば待望の男山々頂だった。
男山からの展望も素晴らしい。目前には勿論八ヶ岳連峰、御座山から茂来山、両神山、奥秩父連峰・・・今日は三つの頂から、同じような展望を楽しんで来た。しかし午後2時を過ぎているので、霞がかかり朝方のように胸のすくような、めりはりのきいた展望は無理だった。
天狗山の岩峰がやけに高く見える。帰りは疲れた足でもう一度あれを越えるのかと思うと、ややうんざりする。
同じ道をそのままたどって帰途についた。

展望の岩場で写真を撮ったあと急に右膝が痛くなり、まともに足が動かない。これから天狗山を越えなけれはならないというのに。不安に襲われる。騙すようにひと足ひと足行くうちに、幸い痛みが柔らいできた。
いっぽう疲労感も強くなって、いつものスピードがない。明るいうちに馬越峠まで戻ればいいと、焦る気持ちを押さえる。天狗山への胸のつかえるような急登はさすがにきつかった。

再びたどりついた天狗山の山項には、すでに人影はなかった。一人占めの山頂で腰を下ろして休憩。今日始めてのゆっくりした休憩だった。水筒の水がうまい。ジャムパンをかじる。もっと水を飲みたかったが、峠まで戻ったらインスタントラーメンを作ろうと、その水を残 しておくために我慢した。
天狗山まで戻ってくれば登山口の鳥越峠はもう近い。その安堵感が油断となって、天狗山からの下山口を間違えてしまった。しばらく下ってから、様子がおかしいことに気づく。山頂まで戻って見ると、迷いようもない正しいルー トがあった。
馬越峠まで下りついて一日3座を登り終わった満足感に浸り、東京の自宅へ帰ったのが暗くなった8時半だった。

3座合わせて、登った高度は1800メートル前後だろうか。良く歩いた。