相談電話キリスト教・児童館・子育て・ひとり親家庭・発達障がい

テーマ:児童館・子育て・ひとり親家庭・発達障がい・・こころの電話

   児童館       (日曜クラブta-a-ta 特別支援自主研究会    リンク       こころの電話      自己紹介




≪母と子の相談室≫ 練馬区立石神井台児童館 


事例から

 ご相談の要旨 

   事例1. 児童館はしっかり子どもを見ているのか。「加害者」に謝らせたい。

   事例2. わが子が「いじめっ子」と思われている。

   事例3. 子どもがお金を盗った。



1. 「加害者」に謝らせたい (事例1)

 ◆ ご相談の内容

      児童館で同じ男の子に3回もパンツを脱がされた、と娘が言っています。
     @ 児童館は、しっかりと子どもを見ているのでしょうか?
     A 犯人が分かったので、謝まらせたいと思うのですが、どうすればいいでしょうか?

       最近、子どもが以前に増して寡黙になり、食欲がないのです。 
       訊いてみるとこう言ったのです。
       いつだったか覚えていないけど、児童館で3回も同じ男の子に下着を下げられた。
       一度目は、トイレに入ってきた。二度目は、トイレで待ち伏せされた。
       三度目は、遊戯室の角だった。その後は、児童館が怖くて行ってない。

       こんなことがあったのに、児童館では何の対応もしてくれなかったのでしょうか?

                   
                   「そんなことはお母さんの小さい時にもよくあった。」
       「嫌だとハッキリ言えばよかったのに。」
       と、娘に伝えました。

       「誰がやったのか」と訊いたら、「分からない」との返事。
       「その子が謝ればいいの?」と訊いたら、子どもは「そうだ」と答えました。

       「その子がいた」と言うので行ってみたら、
       「あの子だ」と娘が指差したのです。
       その名前も調べました。A君です。
       A君に謝らせたいのですが、どうしたらよいでしょうか。


   児童館より 

     お子さまは、一度ならず三回もの恐怖に襲われたのですね。
     言葉では言い表すことのできないほどの怖さと屈辱に
     胸が押しつぶされ、どんなにか苦しかったことでしょう。
     児童館の職員が誰一人気づかなかったことを、心からお詫びいたします。

     お子さまの心に大きな傷が残っていることが心配です。
     女性のカウンセラーをご紹介しますのでお母様と一緒にお越しください。
     

     どうか、お嬢様を静かに抱きしめてさしあげてくださいね。
     やめて!と言えなかったお子さまの気持ちとその時の状況を聴いてさしあげて下さいね。

     A君には、学校と連携をとりながら、さっそく対応してまいります。


    ≪翌日≫

     児童館でのお子さまの様子をお知らせします。
     
      友達と遊ぶことを目的に児童館にいらしたというよりも、慕っている女性職員に
      話をしにいらしていました。
      一生懸命にご自分の話をしていらっしゃいました。
      習い事が多くて大変だ、と何回も話していました。
      チックが気になりました。
      会話の中では、目を合わせることが少なく、
      職員からの話は耳に入れてくださっているようには思えませんでした。
      他の児童との関係では、
      ご自分のしたいことを意が通るまで主張し続けていました。


     A君の児童館での様子は、次のようでした。

      いつも数人の友達と一緒に来館し、図書館へ向かいます。
      他の児童には殆ど関心を示さず、図書館でその友達と過ごし、その友達と帰ります。

     
     お嬢さんとA君の来館日を照合しました。

      来館日が一致するのは一日でした。
      また、その事件が起きたと思われる時期以降も、
      お嬢さんは児童館にちょくちょくいらしています。

          
     女性のカウンセラーをご紹介します。
     きっと、お嬢さんのこころを癒すことができると思います。
     お母様も是非、付き添ってあげてくださいね。


  ※ お母様から児童館へのご返事はありませんでした。
      お子さまは、その後児童館にいらしておりません。





2. わが子が「いじめっ子」と思われている。 (事例2)

 ◆ ご相談の内容

     5歳の息子のことで相談です。

       保育園で先生にも子どもたちからも“いじめっ子”だと思われているのです。

       母親の私の育て方に問題があるのでしょうか。
       それとも、子どもが“切れる”病気なのでしょうか。    
       担任の先生から                      
       「クラスメートに暴力を振るって困ります。家庭に何か心当たりはないですか?」 
       と、言われました。大変ショックでした。
       子どもを抱いて、何があったかを聞きました。
       「砂場で山を作ってトンネルを掘っていたら、崩れちゃった。
       それを笑った子がいたから突き飛ばしたんだ。
       それから、いじめっ子って言われているの。」
       と言うのです。

       暴力はいけない、と子どもと話し、「もいうしない」と約束しました。

       子どもを迎えに行ったある日のこと、
       「きょうは良い子だったよ」と子どもが私に報告しました。
       すると横にいた子が、
       「○○ちゃん、きょうもいじめたよ」と、言いました。
       子どもはその子に手を上げようとしましたが、私が押えました。


   児童館より 

     「困った子」でなく「困っている子」

     保育園の先生が困った、保育園の子どもが困った、
     家庭に問題があるのではと言われてお母様も困った。
     周りの方々が、みんな困っていますね。

     では、本当にお子さんは“困った子”なのでしょうか?
     家では、イライラすることなく、のびのびと明るいお子さんですね。

     子どもたちは、
     「愛されたい」「認められたい」「結びつきたい」「なしとげたい」
     という四つの欲求を持っています。
     その欲求が、毎日生活する集団の中でかなえられていないとしたら、
     お子さんにとって
     この集団は居心地の良いところと感じられないのではないでしょうか。

     お子さまは、砂場で笑われたことからの友だち関係、保育士との関係で、
     友だちや先生に対してモヤモヤ・ムシャクシャ・イライラが溜まり、
     保育園では孤立感を抱くようになっているのではないでしょうか。
     コップに例えるといつでもこぼれだすほどに、不満がたまっているのではないでしょうか。

     誰も僕のことを分かってくれない、
     先生も分かってくれない、と
     お子さんは感じているのかもしれません。
     困っているのは、他でもないお子さん自身ではないでしょうか。

     困っているお子さんの気持ちを、いま、聴いてあげられるのはお母様しかいませんね。
     困っているお子さんの心の相談相手に今なってあげられるのは、あなたです。

     
     「誰がなんと言おうと、ママはあなたが大好きよ」

     どんな時でもお母さんだけは僕のことを分かっていてくれる、そう思えればお子さまは
     どれほど心強いことでしょう。
     「誰がなんと言おうと、ママはあなたが大好きよ」と、
     お子さまを抱きしめながらおっしゃってみてはいかがでしょうか。

     
     友だちに手を上げたことも、どうしてたたいたの? どうして突き飛ばしたの? 
     どうして? と追及はせずに、
     「たたいたのは、何かあったのでしょう? 教えてくれる?
     と、保育園での一日をお子さまがどんな気持ちで過ごしているかを
     ゆったりと聴いてあげてください。

         
       「どうしてたたいたの?」と
       「たたいたのは、何かあったの?」は
       微妙に違うとお感じになりませんか?
       前者は「どうしたの!」と自分の感情が前面に出て、後者は「どうしたの?」と
       相手の気持ちを聞く姿勢が感じられますね。
       さらに言えば、どうしたの? どうして? という言葉には
       怒り、非難、注意、指示、制止の意味が含まれる場合があります。



     いっぱいたまっていて、それがこんがらかっていて、
     お子さまはうまく話せないかもしれません。沈黙があるかもしれません。
     それでも、やさしく目を見ながら、または抱っこしながら、
     お子さまが自分の言葉でお母さんに話すのを待っていてあげてくださいね。

     いいよ。話せるようになったら話してね。きょうはここまで話してくれたね。
     ありがとう。また続きを話してね。と、機会を残してあげてください。
     沈黙は、自分の心の中で整理しているのかもしれせん。



3. 子どもがお金を盗った。 (事例3)

 ◆ ご相談の内容

     子どもが、
     友だちの物を見ていない隙に持ち帰ってきてしまうのです。
     やめるにはどのように教えればいいのでしょうか。

       小学1年生の活発な男の子です。入学以来、毎日いろんな友達と約束をして帰り、
       気持ちが浮ついて、習い事も嫌々になり、忙しすぎて夜泣きまでして、
       かなり頑張ったり気を張って過ごしているようです。
       学校でも元気いっぱいで、発言や授業態度も積極的なようで、友だちも沢山つくり、
       楽しく過ごしているようなので、成績もすべて良いものでした。 

       しかし、遊びの中で、見ていない隙に友だちの物を持ち帰ったことが二度も。
       一度目は、人気のトレーディングカードで、沢山増えているので問い詰めて、
       よく言い聞かせたつもりでした。
       二度目は、人の家に遊びに行き、百円玉を持って帰りました。

       幼いのにお金への執着がすごくて、頭を抱えます。
       普段、簡単には物を与えずにいるためでしょうか?
       どのように教えれば、理解し、直るのか、思い悩んでいます。



   児童館より 

     お手紙を拝見しました。とてもご心配でしょうね。
     ご相談は、
      @ 遊びと習い事のバランス
      A お金・物への執着
     の2点とうことでよろしいでしょうか。


    <@遊びと習い事のバランス>

     お子さまが遊びに向ける時間がつい多くなり、
     好きな習い事であっても、行くのが嫌になってしまうのですね。
     
     限られた時間の中で しなくてはならないことをやり遂げるには、
     時間の配分をする意志が必要です。
     しなくてはならないことと自覚するには、言われたからではなくて、
     自分が価値を楽しさを見出して納得しているかが大事な要素です。

     友だちとの遊びは、時間が過ぎるのを忘れてしまうほど楽しいものですね。
     仲のいい友達と過ごしていて「あれ!もうこんな時間になっちゃった!」という経験は、
     大人だってありますし、それに引き換え、しなくてはならないことへの自覚は
     つい薄れがちになりますよね。

     それでも、お子さまは、どちらも こなそうと一生懸命に努力しておられますね。
     けなげですね。このことを、認め褒めてあげたいと思いました。

     → 「遊びも習い事も、あなたは頑張っているのね」と共感なさることで、
       お母さんは僕のことを分かってくれている、とお子さまは感じるでしょう。

      問題はその次です。

     いま、お子さまは、限られた時間の中で無理をせずどちらもこなすためには時間の
     配分が必要であることに気づく 良い機会を迎えています。
     言い換えれば、自分で選択して自分をコントロールする力を養う好機を迎えています。

     → 「両方がんばろうとしているのね。あなたが頑張っているのを見て、お母さん
       嬉しい。そして、ちょっと心配なんだ。だって、あなたが辛そうにみえるの」
         (そして、がミソです。だけど、としたら頑張ることを褒める気持ちが弱く
          なります。遊ばないで習い事をしろというのかな? と身構えます)

     → 「遊びも習い事も両方できるようにするには、どうしたらいいと思う?」

     と訊き、お子さまの答えを待ってみてあげてはいかがでしょうか。

     お子さまがここで自分で考えることに意味があります。どんな答えでも受け止めて
     あげてください。お子さまに、答えを複数考えてもらいます。

     その考えはこういうことなのね、と確認をしながら、お子さまの案を否定せず、
     判定せず、お母様の案を押し付けず、充分、穏やかに話し合ってみてください。

     与えられた24時間の中で、ゆっくりした食事と入浴と睡眠とを確保して、残りの時間を
     どのように配分するのかを、お子さまなりに考えてもらいましょう。
     お子さまは習い事を減らしたいと考えるかもしれませんし、お母様はせっかく
     興味を持って習い始めたのをやめさせたくないと考えるかもしれません。

     一方だけを通すと 他方が引っ込めざるをえず、引っ込めでばかりだと嫌気がさします。
     ここは、どちらも譲ることが、互いの気持ちを近づけることになるのではないでしょうか。

     お母様のほうで、前もって ここまでなら妥協できるという線を準備しておくことが
     必要かと思います。

     → 「じゃあ、その中からできそうなことをどれかやってみようよ」

     と、お子さまに自分で選択してもらいます。
     決まったら

     → 「じゃ、やってみてどうだったか、教えてね。お母さん、期待してるよ」

     と、返してみてはいかがでしょうか。
     頃合いをみて、やってみてどうだったか相談に乗ってあげてください。
     お母様から見て不充分でも、批判ではなく励ましてあげてくださいね。

     「習い事があるから」と自分をコントロールする力。それは、
     お子さんが立てた目標をお母さんが認めてあげて、
     お子さまが自分で考えた改善策を実行してみる中から養うことができると思います。
    
     そして、もし失敗に終わっても決して責めずに、
     頑張った気持ちとうまくいかなくなった気持ちを聴いてあげて、
     そうだったんだねと、感じてあげてください。
     お母さんはどんな時でも僕の味方、という安心感が根付きます。


     子育ての目標の一つは、「境界線」を持つ人に育てることです。
     自分の問題なのか、自分以外の人の問題なのか線を引くことができる力。
     自分の課題には一所懸命取り組み、人の問題には介入せず側にいてあげられる優しさ。
     こうした「境界線」を持つことが、人間関係でとっても大事だからです。

     自分の問題には自分で取り組む自主性。うまくいかなければ、相談する謙虚さ。
     そして、嫌いな相手でも大事にしてあげられる思いやりが育つといいですね。


     
  

    <Aお金・物への執着>

     「人として して良いことと悪いこと」を、乳幼児期から現在までお母様はお子さまに
     伝えてこられたと思います。お子さまに、それが身についておられると思います。

     それでも人のお金や物に気持ちが向いてしまうのは、二つのことが考えられます。
     一つは、
     「良いこと悪いこと」が知識としてはありますが、
     それによって自分や家族の人が喜んだり悲しんだりした体験が少なく、
     内面からコントロールする力が未熟であること。
     もう一つは、目を向けて欲しいために無意識にしてしまう場合です。
     誰に注目して欲しいかというと、お母様やお父様にです。

      本当の気持ちを聞いてもらえるかどうか分からない(不安)
      本当の気持ちを伝えたいけれど伝えづらい(不信)
      本当の気持ちを伝えても返ってくる言葉は分かっている(諦め)
      どうせ分かってもらえない(絶望感)
      でも、分かってもらえたら本当はこんなに嬉しいことはないのだけれど(心の叫び)

     それらの無意識の気持ちが、つい、現れ出たのではないかと考えられます。
     
     何を我慢しているのかは本人にも分からない場合が多く、
     お子様の話に耳を傾ける中から気づくことがあります。
     
     そう考えていくと、
     遊びと習い事との葛藤を自分でもうまく処理できなくて悩んでいるのかもしれません。

     どうぞ、“悩んでいるのは我が子”“困っているのは我が子”
     という気持ちで、お子さんの話に耳を傾けてください。


     → 「ここに500円があるけれど、どういうお金なのか教えてくれる?」

     と、お子様に訊いてみてください。
     
     言い訳やどのような答えが返ってきても、

     → 「そうなの。その持ち主は困っているよね。」
       「お母さんが500円なくしたら、お味噌も買えない、パンも買えない、
       お魚も買えない。お母さん、悲しいわ」

     と、失った人の困った気持ちを共有するとよいのではないでしょうか。

     → 「困っている持ち主に戻すには、どうしたらいいかな?」

     と、解決策を出してもらい、話し合い、励ましてあげて、実行してもらいましょう。

     
     自制心は、頭の中だけの理屈だともろく壊れやすいのですが、
     体で体験するとお子さんに力となっていくでしょう。

     津波で多くの方々の命が失われたことを悲しむ 親の姿を見せることも大事ですし
     長年飼ってきた犬の死に直面することは さらに強く身に沁みます。
     そういう体験があれば、
     人を悲しい目に遭わせることは 自分を見捨てることだということが分かるでしょう。
     
     親にいつも認められないでいる子どもは、家庭に希望を失い、自分を見捨ててしまう
     危険を抱えています。

     お子さまの場合は、そのような心配はないと思います。
     どうぞ、これを機会に、お子さまの本音を聴いて差し上げて下さい。