魚野川へ行こう!(その1)

第1話「遥かなり、魚野川」たいちょお著

たいちょお

言わずと知れたこの駅伝競作物語の発起人であるアホタレ・パドラー。オラオラ隊隊長でもある。地球上の山川海で遊びまくるのを生きがいにしている。もうすぐ父親になる

Storyアネゴの抵抗に、健気に立ち向かいながら、越後の銘川、魚野川へたどり着くまでを瑞々しいタッチで、綴った不朽の名作。


ことの起こりは、風来乏と、タカローの二人が発信してきたお誘いメールだった。

「なにがなんでも魚野川にいくけんね!
雨でも、お酒(八海山)買いにくけんね。
そいでもって、八海山地ビール8級の瀬にもまれて泡だらけになっちゃるけんねー!」

さあ、これにのってこないヤツは男じゃないよ的、魅惑のプラン。じゅるるん。
次週からからは鮎の解禁日とあって、初夏の魚野川をカヌーで下るには、今週末がラスト・チャンスなのだ!ここを逃せば秋までは本州の川下りはお預けとなる。

川下りがしたくて、したくてしょうがないオイラは、二人のラヴ・コールに、みごと心をかき乱されてしまった。梅雨まっさかり天候不順の時期に、魚野川出撃計画へ参加するべく、あの手この手で、我が家のご意見番、アネゴの説得作戦を敢行を開始することにした。

まず、6年ぶりの再会となるオラオラ隊、切ってのテニスプレイヤー、たてちゃんと、たてちゃんの長男亮(5歳)の参加をこっそり要請。仕事でいそがしい、ジャンボ・ススムも参加してもらうよう御願いし、オラオラ炎の友情再会大作戦を展開したのである!んが、この壮大な大作戦も、

「オラオラ隊なんて、もう消滅してるじゃん!」

と、アネゴに一蹴されてしまった。うぷぷ。あえなく撃沈。

「そんなコツはなか、オイドンらの友情は不滅ばーい」

と九州弁で可愛くせまるも、取り合ってもらえず、ボーボーこと、FC一ノ瀬氏の携帯電話での援護射撃もカスリ傷ひとつ、与えることができない。もうダメだ。八方塞がりだ。なにが何でも却下、却下の頑な姿勢を崩さないアネゴ。鉄壁の防御だ。鋼鉄の処女だ(なんやそれ?)!

「子育てに具えて、引越し先の物件を見に行くんだからね」

と、鋼鉄の意志で、オイラの野望に真っ向から立ちふさがるアネゴであった。
悲しいことに、オイラの行動の決定権は、すべて、このカカア殿下が握っているのでござる。
しょうがない。うだつのあがらない週末を過ごすことになりそうだ。

しょんなかもん。これも、トーチャンになるサダメじゃけん、しかたなかトー。
と肩をガックリ落とし、しょぼくれるオイラに、救いの天使達が現れた。
うわーい!

元ガールスカウト日本代表で芸術家、ハツキーニョ嬢と、オラオラ隊あほばか紀行で、おなじみの地球プラプラ自転車(けった)乗り青年、BOYの痴話げんかのろけまくり元気ニコニコ、バカップルのヤンガー(?)ジョネレーション・コンビが、貴重な火曜日の休みを費やして、アネゴの説得に乗り出してくれたのだ。

ワザワザ横須賀にきてくれて、美しい海と、快晴の青空。とこぶし&サザエ攻撃で、みごとアネゴもうすぐお母さん懐柔に成功。予定の引越し先の見学も卒無くこなし説得工作は無事終了!週末の遠征への道を切り開いてくれたのであった。

その晩のワシの喜びようはコトバではいいあらわせん。トコブシがうまいのなんの。ありがとー、ありがとー。ありがとー。ありがとー。BOY&ハツキーニョ!

思い出した頃に川下りがしたくなるキャロラインちえぞー嬢もなんと、箱根の研修からとんぼ返りで、途中参加を表明してきた。

ワレワレの仲間は直前にワラワラと参加表明をする。勢いが肝なのだろう。

お酒大好き男ども(風来乏、タカロー、たてちゃん、ススム、BOY)、
うら若き(???)乙女達(ハツキーニョ、キャロライン)、
妊婦(アネゴ)、くだまきカラミオヤジ(たいちょお)、
5歳ワンパク小僧(亮)と総勢、10名での川旅と相成った。


6月後半。土曜、早朝5時半。

どしゃ降りの中をハツキーニョのエンちゃん(シトロエン)が、横須賀のたいちょお邸に約束時間ぴったりに横付けされた。あたり一面、バケツをひっくり返したような豪雨。雨ドラム連打のあまりの激しさに車中からでようともせず、固まるハツキーニョ&BOYコンビ。雨が激しく二人の顔色もうかがえない。

「ほんとにいくの?」

早くも、アネゴのいきたくないよ攻撃が始まり。。。いきなりの危険信号点滅!あわや、出発見合わせ。。。の危機も、なだめすかして無理矢理出発。第三京浜、環状8号、関越自動車道路経由で、今回の川下りの起点となる六日町へ向う。

BOYが、女性のあそこの隠語集(by開高 健)を車中で、連呼するうちに、雨の関越トンネルを抜け、湯沢へとおどり出た。トンネルの向こうは晴れだった。明るくなって薄日がさしている。待ち合わせの六日町の河原へ着くと、すでに風来乏氏とタカローが、ワイン片手にさっそく酔っ払っている。早くも今回の酒飲むぞ〜川下りの幕が切って落とされていたのだった

対岸の温泉につかってきた、たてちゃんと亮の親子と、ジャンボこと、ススムの3人も合流。フネの組立て班、買い出し班に分かれて出発準備。一応、最低限のツーリングキャンプ装備を乗せていくことにする。キャンプ地点は、なりゆきまかせだ。

土曜13:40
出発。曇天。

気温はけっこう暖かい。雪どけ水を集めた魚野川はまずまずの水量で、水面にでると、フネが軽やかに進む。

水温は低くクーラーのような涼風が川面からやってくる。

船出してから、1〜2級の爽快な瀬が続く。本日、カヌー・デビューの亮も、たてちゃんのアミーゴの前席に機嫌良く乗っている。

この川旅のメインイベントは、出発してから3つ目の橋を過ぎたところにある「八海山地ビール」。風来坊氏のナビゲートのもと、無事に到着。

木造の巨大な建物のなかに、われらが目指すびいるがあった。水を滴らせながら、入っていくヘンテコ集団にむけられる奇異な視線シセンしせん。気にしない。気にしない。魚野川を見下ろせる窓側の特等席に、ヘンテコ軍団は陣取ったのであった。

テーブルにニコニコ泡だてながら、やってきました地びいる3兄弟。
ヴァイツエン、ピルスナー、アルトの地ビール3点セットがなんと580円!
はらぺこの体にビールが染みた。あたりいちめん、幸せな空気が満ち溢れる。
にこにこの笑顔、笑顔、笑顔。頼む料理も、すべておいしい。
なんて素晴らしいところなんだ。風来坊氏が力説した気持ちを今、ようやく理解した、たいちょおのであった。

ここらへんで、今回のツアーリーダーの一人、風来乏氏にバトンタッチですばい。ビールにそそぐ愛情をよろしく!(たいちお)

                      つづく