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王の剣士
【第一章「収穫祭」】


 風を切って飛ぶ飛竜の背の上で、クライフはまだ伸びている男の身体を落ちないように押さえ直しつつ、前にいるレオアリスに声をかけた。
 少し声を張り上げないと、飛んでいる飛竜の上は会話がしづらい。
「上将!」
「何だ?」
 レオアリスは首を僅かに向けた。
 風が後ろに抜けていくお陰で、レオアリスの方は声を張り上げなくてもクライフに届く。
「最近朝の散歩が気に入ってるみたいですね!」
「そうかな――いや、そうかも」
 レオアリスはほんの少し照れくさそうな様子を見せた。
 こうして危機を救ってもらったクライフとしては大いに歓迎するところだが、レオアリスが遠駆けに出る理由は余り単純でもない。
 飛竜の背の上で、聞いている者は他にいない事だしと、クライフはズバリ核心を口にした。
「大将ってのはやっぱ肩こりますか?」
 投げ掛けられた言葉に、レオアリスは少なからず意表を突かれてクライフを振り返った。
「ああ、うーん。……どうだろう」
 やや気恥ずかしそうに言葉を濁す。
 大将という今の彼の立場は決して簡単なものではない。十六歳で大将の地位に就いて、気楽にいられる方が難しいだろう。
 剣士ということに加え、若過ぎるという批判もまた、常に付いて回った。
「でも責任重大だろ、軍の大将位とかってさ。だからちょっとくらいの息抜きは必要――ってのは飛ぶ言い訳だけど」
「いいんじゃないっすか。銀翼で飛ぶのなんて最高に気分いいですよ。ハヤテもまだ若いから、飛びたくてしょうがないでしょ」
 クライフは笑って頷いた。
 そもそも身近に接している第一大隊の隊士達は、自分達の大将が若過ぎる事など今さら気にしてはいない。
 むしろ最年少で御前試合を制した事や、更に言えば滅多にいない剣士というのは何というかやはり、隊の誇りであり自慢なのだ。
 ただ、王城という場所はそれだけで語れる世界では無い事も、クライフや、レオアリス自身も良く、判っている。
 だから批判を耳にしても、レオアリスは怒るという事はしない。
 少なからず、ちょっとのんびりした性格故もあるが。
「年齢は言っても仕方ないし、黙ってても上がるからいいけどな。けど、さっきみたいに改めてまじまじ見られると、果たして俺は相応しいんだろうかって思ったりはする」
 何にしてもまずは第一大隊が恥をかかないようにしないと、というレオアリスに、クライフはニヤリとした。
「俺達はなんも問題ありませんよ。副将だっていつも俺が苦労かけてるんで、上将程度じゃびくともしませんて。そもそもあの体格に当たってったら俺だってひっくり返りますからねぇ」
 クライフは当のグランスレイが聞いたら血管を浮き上がらせそうな事をさらりと言って明るく笑い、クライフらしい言い方にレオアリスも可笑しそうに笑った。



 下層から王城へ続く西大通りを真っ直ぐに飛ぶと、城下の街と王城を区切る堀があり、橋が渡された先に西外門がある。
 その手前、上層地区を抜けようとしていた時、地上にふと視線を引くものがあった。
「何だ?」
 レオアリスは視線を巡らせ、何が彼の注意を引いたのか見て取った。
 街の中に、ごく小さいが光を弾いているものがある。その光が眼に飛び込んだのだ。
 ハヤテの手綱を引いてその場に浮遊させ、レオアリスは光を弾くものの正体を確かめようと瞳を細めた。
「どうかしましたか?」
「いや――」
 きら、きら、と不規則に光を弾いているが、この高さだとそれが何かまでははっきりとは判らない。
 足元は上層でも一際立派な屋敷が立ち並ぶ区域で、その内の一つの屋敷の窓の辺りだろうか。
 窓硝子が光っているのかと思ったが、どちらかというと張り出した露台の上のようだった。
 それよりも、その屋敷の前に人だかりができている事に、レオアリスは眉をひそめた。ここは普段なら閑静な通りだ。
「あれは――」
「西方第一大隊ですね、ありゃ」
 クライフが後を引き継ぐ。
 そこにいるのは、正規軍の兵士達だった。住民達が興味深げに覗き込もうとしているのを阻むように、屋敷の前に十数名の正規兵が立っている。
 彼等の立ち位置などを見て取り、レオアリスは眉を潜めた。
「事件の現場調査って感じだな。何かあったか?」
「降りて聞きますか?」
 クライフはちょっと興味をそそられたように尋ねたが、レオアリスは束の間考え――、首を振った。
「いや――止めよう。王城の外じゃ管轄外だ。必要があれば連絡が来るだろう」
 近衛師団の職務は王と王城の守護であり、王城の外に関しては正規軍第一大隊の管轄になる。
 基本的に、互いの管轄には要請が無い限り手を出さないのが不文律だった。
 ただそう言いつつも、無視し難い感覚が、意識をつついているのが感じられた。
「法術……」
 レオアリスは微かに呟いた。
 あの館から微かに漂っているのは、法術の残り香だ。
 既に消えかかっている。いつ頃に施されたものだろうか。
 消えかけているという事は、夜の間か。
 あの場に出ている正規軍の中に法術士はいるだろうかと、それが気にかかった。
「上将? 気になってるなら」
 クライフの問いかけに逆に意識を引き戻されて、レオアリスは落としていた視線を上げた。
「いや、筋は通した方がいいだろう。後でワッツか、アスタロトに聞こう」
 そう言うと、レオアリスはハヤテの手綱を繰った。




 王が所有する兵団は二つある。
 一つが王の守護兵団である、近衛師団だ。
 一小隊が五十名、中隊は十小隊五百名で構成され、左中右三つの中隊が一大隊を構成する。レオアリスは大将として、第一大隊千五百名の指揮を執る。
 その第一大隊から第三大隊、総数四千五百名を統括するのが、総将アヴァロンだ。
 一方で国内の治安維持を主任務とする正規軍は、一大隊が三千名と、単純には近衛師団の倍の組織構成になっている。
 正規軍将軍、『炎帝公』アスタロトを筆頭に、東方軍、西方軍、南方軍、北方軍の四つの部隊に分かれる。
 その中で王都守護兵団である第一大隊から、辺境部の治安維持を担う第七大隊までが存在し、総兵数は八万四千名にのぼった。
 ただ、一国を担う兵数として、八万という数字は決して多くはない。
 むしろ少ないと言えるその数にも、この国なりの理由があった。
 アレウス王国が、地理的に閉じられているからだ。
 東の国境沿いには峻険ミストラ山脈、西にいにしえの海バルバドス、南に灼熱の砂漠アルケサス、北に黒森ヴィジャが広がり、行く者の足を阻む。
 特に東のミストラ山脈から先は現在も領土争いが続く小国が多いが、王国の四方を取り巻く生者を寄せ付けぬ酷地は、逆に外敵の侵入を阻む絶好の塁壁でもあり、アウレウス国を戦乱から遠ざけてくれていた。
 大きな戦乱は一番最近と言っても、およそ四百年前、アウレウス国と西の国境を接する『西海』バルバドスとの百年戦争まで遡る。
 現在『大戦』と呼ばれているその戦乱は、双方共に多数の死者を出しながら、三百年前に両国の間に不可侵条約が結ばれる事で漸く決着を見、以来国内は安寧を保っていた。




 近衛師団第一大隊の士官棟は、王城西地区のちょうど大通り沿い、緑に囲まれた敷地内にある。大将、中将の執務室に参謀部、資料保管庫等が入った二階建の重厚な構えの建物だ。
 隣接する厩舎にハヤテを降ろし、ついでに捕えた男を迎えに出た隊士に預けて、レオアリスとクライフは士官棟の入口の階段を昇った。
 玄関前に設けられたこの五段の階段を昇ると、青銅のがっしりした扉がある。扉の上には近衛師団の紋章が掲げられ、第一大隊を示す『一』という数字が刻まれていた。
 扉を潜ると、まず二階まで吹き抜けている丸い天井の、六角形の玄関広間に出る。
 といっても大して広くはないが、六角形の左右の二辺に棟内に入る飾り硝子を張った木製の扉が二枚。正面は扉の無い出口が設けられていて、その先は回廊のある中庭になっていた。
 レオアリスは左側の硝子戸を押し開けた。
 廊下は左側に広い窓が並んでいる為、玄関広間よりもずっと明るい。
 内装は漆喰で塗られた白い壁と、壁に腰の高さまで張られた板、梁、柱が艶のある落ち着いた深い濃茶。板張りの床は綺麗に研かれて、朝の光をやんわりと照り返していた。
 扉のすぐ右手に訪問者用の窓口があり、警備も兼ねた隊士が二人、設けられた硝子窓の向こうに見えた。
 レオアリスとクライフの姿を見つけ、さっと敬礼を向ける。
「お早うございます!」
「お早う。夜勤お疲れ」
 彼等は夜勤の隊士で、あと半刻ほど、朝の八刻で勤務は終わりだ。クライフは硝子窓を開けて、窓の下の張り出しの卓に手にしていた鞄を置いた。
「交代前で悪ィけど、この荷物、ここで預かっておいてくれ。下層のヴァン・ルー地区で盗まれかけたやつだ。犯人を捕まえたはいいけど肝心の持ち主が出て来なくてな。それから中に入っているものを確認して、報告上げてくれ。一応あの辺りにゃここで預かるって事は言ってきたから、持ち主が来たら返していいぜ」
「承知しました」
 きびきびとした動作で荷物を受け取り、隊士は再び敬礼した。二人はこの部屋のすぐ先にある階段に足を向ける。
 階段を昇って二階が将校の執務室になっている。棟自体は中庭をぐるりと囲む長方形をしていて、棟内の部屋は全て中庭に面していた。
「いや、おかげで間に合いました! またぜひお願いします!」
 階段を昇ってすぐ、北翼の一室の前でクライフは左腕を胸に当てて敬礼し、自分の執務室の扉を開けた。中軍中将の執務室だ。
 南翼が大将執務室、東、北、西には左、中、右軍の中将、少将の執務室がそれぞれ分かれて置かれている。
「次は走ってるのに追い付けないかもしれないけどな」
 レオアリスも笑って返し、クライフと別れて、対角の南翼にある自分の執務室へ向かった。



 南翼の中央に大将執務室があり、左右には副将の執務室、参謀部が大将執務室を挟んで並んでいる。
 扉を開けると、当然誰もいない。棟内で最も広いこの部屋は、レオアリス一人の為の執務室だ。
 広い室内は中央に応接用の卓と長椅子、中庭に面した広い窓の前に黒檀の執務机が置かれている。
「……いつ見ても、でかいな……」
 ぼそりと呟く。
 執務机が、だ。
 無駄に……レオアリスにしてみれば無駄に幅が広く、威風堂々たる造りをしている。
 机に座っているというより机に座らされている感じがして、それが自分を取り囲むもろもろの事情も加わって少し情けなさを覚えさせられた。
「俺よりグランスレイが座った方が似合うよな」
「幅がでしょう」
 付け加えるような声に振り返ると、当のグランスレイが扉の脇に立ち、レオアリスに敬礼を向けた。
 身の丈は六尺五寸、体格も立派な、正に武人といった威丈夫だ。短い銀髪に緑の瞳は静かな知性を感じさせる。歳の頃は四十代半ば、レオアリスとは親子ほどの違いがあった。
 彼が近衛師団第一大隊副将であり、レオアリスの補佐を務めてくれている。
 がらんとしていた室内が少し狭くなった気がして、グランスレイの先ほどの言葉を思い返しレオアリスは笑みを堪えた。
「お早う、グランスレイ。幅の事を言ってるんじゃなくてさ……それもあるけど。ものにはそれぞれ似合いってものがあるだろ。この机、変えようか」
 グランスレイは少し呆れた様子で口元を曲げた。
「お早うございます。その執務机は歴代の大将がお使いになってきたものですぞ。大将としての自覚の為にも必要です」
「自覚か……。まあ俺も体格はあと三年後くらいには、グランスレイみたいになってるかもしれないけどな!」
「はっはは! ……」
 レオアリスの言葉に渋い音色を響かせて笑った後、グランスレイは失敗したと言わんばかりにさっと押し黙った。レオアリスの恨めしそうな瞳が上がる。
「失礼しました。ただ貴方は風格を持たれる事を努力される方が確実で早いでしょうな」
 誠実さと実直さがグランスレイの美徳でもある。が、この場合余り有難くはない。
「――」
 今のところ身長は五尺と六寸、低い訳でもないが、あと一尺、二の腕の長さ分ぐらい伸びる事を期待している年頃の少年の心中を余所に、グランスレイは可能性の無い話題を切り替えた。その心境は親心に近い。
「それはそうと、クライフと下層で捕物をされたとお聞きしました」
 レオアリスは主張をひとまず押しやり、執務机に――机の角辺りに軽く腰を降ろした。
「情報が早いな。捕物ってほど大したものでもないんだ。クライフを拾おうとしたついで――いや。今日の予定は?」
 遅刻しかけていた事がばれてもいけない、語尾を誤魔化しつつ、グランスレイの手元の書類を指差してみせる。
「左中右の各中隊ごとに演習ですが、上将は十刻から一刻ほど右軍の視察を。午後は三刻から総司令部で会議です。それ以外は文書の決裁をして頂きます」
「判った」
 レオアリスは机の上に積まれた書類の束を複雑な視線で眺めながらも、神妙に頷いた。
 このやり取りもすっかり板に付いてきたのだが、つい五ヶ月前まではレオアリスは中将としてグランスレイの同僚の立場にあり――更に言えば、二年前の入隊当初からずっと、グランスレイの部下にいた。
 大将になってからは副将としてレオアリスの補佐役となってくれているが、厳しい導き手である事には変わりが無い。
 何度となく「大将として相応しい言動を」と嗜められ、特に言葉遣いはかなり苦労したものの、努力と周りの度重なる指摘もあって、ようやく慣れてきた。
 ただ、前大将が退任し新たな大将の選任の折、レオアリスを大将に誰よりも強く推したのはグランスレイだった。
 正直レオアリスは今でも向いていないと思う事が多いが、グランスレイに根拠があるなら頑張ってみるか、と、そんな気持ちもあった。
 何より、大将として、王により近く仕える事ができる――
 それはレオアリスの中に、一番強く根ざす想いだ。
 幼い頃から漠然と憧れ、その憧れに急かされるように生まれ育った北の辺境を飛び出し、王都まで来た。
 御前試合を経て近衛師団に配属された時の喜びは、今でも変わらない。
 それは身のうちにある剣が覚える喜びでもあった。
 打ち震えるような慶びと――、思慕。
 レオアリスにとって、王はここにいる理由そのものだった。
「急ぎのヤツは? それから見よう」
 レオアリスは身体を捻り、積み上げられた書類を引き寄せた。
「どれも今日中で構いませんが――参謀部から、明日の合同演習の布陣案が提出されています。これは午前中にご確認を」
「へぇ、どれだ?」
 布陣案と聞いてぱっと瞳の色を変え、積み重なった書類から目的のものを捜し当てると、レオアリスは執務机に斜めに腰掛けたまま早速それを開いた。
 合同演習は三日に一回の間隔で行われているもので、左中右三つの中隊が揃い戦術を競う。勝敗は相手陣営の中将が持つ旗を奪って決する。
 最近では参謀部が考案する布陣に複雑なものが多く、旗を手にするまで勝敗が見えない。
 複雑で面倒くさい、とクライフなどはぶつぶつ言うが、レオアリスは中将時代に自分がやってみたかった。
 考案しているのは主に、最近参謀部に入った人物だ。
 ざっと目を通しながら、自分ならどう動かしどう防ぐかと想定を始める。レオアリスが熱中し過ぎる前に、グランスレイはそれとなく遮った。
「後ほどヴェルナー参謀中将から説明させましょう」
「そうだな、詳しく聞きたいし。じゃあ取り敢えず面倒な書類から終わらせるか」
 そう言って布陣書を閉じ、ふとレオアリスは顔を上げた。
「そう言えば、上層の西外門近くで正規軍が出てたが、グランスレイ、何か聞いてるか?」
 グランスレイが太い眉を上げる。
「正規ですか。小隊が?」
「規模は小さかったけど――通りの側しか見えなかったが良くて半個小隊か、せいぜい二班くらいか」
 とは言っても二班は少ない人数ではない。
 正規軍の一小隊は百名、一班十名で構成される。街中に二班二十名も出れば、それなりの大事おおごとだという事になる。
「聞いてはおりませんが……二班以上が出ていたとなると確かに気になります。確認しますか」
「そうだな、状況だけ。まあ正規の管轄だから俺達がどうって話にはならないんだが――」
 レオアリスは一旦、考え込むように言葉を切った。
「法術の気配を感じた」
「法術の? 現場にですか」
「上空からだから確かじゃないが」
 曖昧な言い方ではあったが、そう言ってもグランスレイは疑うような様子は見せなかった。
 レオアリスは元々、法術を生活の糧にする村で育っている。御前試合には当初、法術士として出ようと思っていたほどだ。
 自分が剣士だと知り、……ついでに王都の法術士の能力を垣間見て、止めた。だが、今でも法術は彼の手に馴染んでいる。
 そのレオアリスが、街中の、しかも正規軍が出張っていた場所で法術の気配を感じ取っているのであれば、ただ管轄外と捨てて置ける話でもない。
「成る程……。出ていたのは西方軍のいずれかでしょう。ワッツ辺りに聞いてみれば話が早い」
 互いの領分に口出しをしない、が不文律のせいか、それとも両者の関係が不文律を作り上げたのか、近衛師団と正規軍との間には少なからず反目もある。
 下手に横槍を出せば、いらぬ反感を買うのが落ちだ。
 ワッツというのは正規軍西方第一大隊の左軍中将で、日頃から仕事以外でも交流がある相手だった。レオアリスとも付き合いが長い。
 それとなく確認し、或いは忠告をするにしても、そういう相手が適当だろう。
「ではそれに関しては後ほど、情報が入ればご報告します。私は隣室に下がりますが、何かあればお呼びください」
「ありがとう」
 レオアリスは机から降り、今度はきちんと椅子に座ると、他の書類を取り上げた。
 演習場の使用許可申請や隊士の勤務状況に関わる事務的な決裁、総司令部、内政官房に上げる報告書、王への報告書など、日々様々な書類がレオアリスの元に集まってくる。
 軍とは言え、そうした基本的な事務作業を疎かにできるものではなかった。
 ただ、今現在、大隊には事務官がほとんどいない。この王都でさえ文字を書ける者の割合は六割程度、更に学問を修め文書を扱える人材ともなれば貴重で、内政官房や財務院、地政院などに優先的に配属されるからだ。
 軍では一定の剣技も要求される。そんな文武に優れた人材ばかりがいる訳もなく、必然的に参謀部が事務の役割を担う事になり、大体どこの隊も事務処理には苦労が多い。
 ただやはり最近、第一大隊はこの点に関して、他の隊に大きく水を空けた所だった。
 非常に読みやすく整理され要点の纏められた書類は、優秀な文官が集う内政官房でも評価が高い。
 レオアリスが真剣な面差しで書類を読み始めたのを確認し、グランスレイは一礼して執務室を出た。





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