彼等は初めから、その厳しい地にいた訳ではない。 だが彼等の種としての弱さは、他種との競合の中で、次第に彼等をより過酷な地へと追いやっていった。 急峻な山肌、果実を結ばぬ木々、天を突く先峰に陽光は遮られ、大地の恵みは乏しい。 時に餓えで幾人もの仲間を失い、それでもそこは、彼等にとって安住の地ではあった。 単にそこ以外行く場所を持たなかったとしても。 ……一つの選択を示そう。 彼等はある手段を持っていた。 それは彼等の餓えを満たし、命を繋ぐ。しかも容易く。 それは、恵みをもたらすばかりの手段ではない。 どんな選択が最善か。 どの段階で、誰に答えられるだろう? |