日出ヶ岳

(1694.9M)

大杉谷から霧深い東大台へ

日程

大杉谷から大台ヶ原へと向かう計画はかなり前から暖めていたが、ようやく今回実行に移すことにした。大杉行きのバスの出る三瀬谷駅へ発車時刻に到着するためには前夜泊する必要があり、それがちょっと面倒だったのだが(大杉神社は外せないので)そろそろ順番がまわってきたというわけ。当初、栗谷小屋泊まり西大台周遊も考えていたが、沖縄以来の登山なので体力を考え余裕ある計画にする。一週間前に桃の木山の家に予約、山行準備は整った。

4月27日 富山(14:52)松坂(20:40)
4月28日 松坂(06:50)三瀬谷(07:50)大杉(09:05)=大杉神社(09:40)=大杉(10:15−11:05)第3乗船場(11:25)=第1乗船場(12:;00)=宮川第三発電所(12:20)=千尋滝(13:40)=シシ渕(14:20)=桃の木山の家(15:25)
4月29日 桃の木山の家(06:30)=七ツ釜滝(06:50)=堂倉滝(08:10)=堂倉避難小屋(09:10)=日出ヶ岳(11:00)=尾鷲辻(12:10)=大蛇ー(12:40)=大台ヶ原(13:50−16:15)大和上市(18:00)
4月30日 富山(00:02)

山行記録

富山から高山本線を特急で名古屋まで行き、関西本線から紀勢線に乗り換えて松坂に向かった。ホテルに荷物を預け、駅前に戻ると辺りは既に真っ暗。しまった、松坂牛肉弁当を見逃したか。コンビニで食料調達を行い、明日に備えて早めに休む。
翌朝、松坂を出発して紀勢線を三瀬谷駅に向かう。三瀬谷発のバスの登山客は神戸から来たという二人連れと私の三人。大杉では遊覧船に乗るよりも歩いた方が早いと言われ、神戸の二人は行ってしまった。私は大杉神社へと向かう。30分ほど歩くと大杉谷林間キャンプ村があり、その奥に目的の大杉神社が静かな佇まいをみせていた。社殿の様なものはなく、ご神体の大杉が柵に囲まれて祀られている。

         
左:三瀬谷駅
右:大杉神社

再び大杉に戻り、遊覧船の時間を待つ。隣の茶屋に宮川の水「森の番人」が売られていたので即座に1.5Lを購入する。暫く暇をもてあましたが、松坂からのバスを待って、ようやく遊覧船が発進した。今日は第三乗船場までの運行だ。わずか20分で到着。近くにある六十尋の滝に向かう。誰も来ない。おかげで滝壺のすぐ近くまで行き、自由に滝を見る事が出来た。

         
左:六十尋の滝
右:大日ーの登山道

周りにはもう誰もいない。少々遅れてしまったかと林道を急ぐ。宮川第三発電所で林道は終点でここから登山道になる。いきなり、岩盤を削って作られた水平道が現れちょいびびる。先はまだ長いのに。通り過ぎてようやくこれが大日ーだと分かった。道はかなり整備されているものの、軽いアップダウンの連続でなかなか距離が稼げない。

         
左:ヒザのバネをよくきかせてゆっくり歩こう
右:千尋の滝

まじめな看板なのだが久しぶりにウケた。なんだか別の動きを想像させてくれる。確かに大杉谷はアプロ−チの関係上ゆっくり歩いていられない人が多いと思うので当を得た標語だ。やがて大杉谷最大の千尋の滝。下半分は樹木に隠れて見えないのだが、尾根の頂部から水が流れてくる様子を見上げるのは圧巻だ(実際はそうでないらしいが)。

            
左:シシ渕(中央ニコニコ滝)
右:道沿いの滝(二本の滝)

ようやく神戸の二人組に追いつく。シシ渕で休憩。河原が登山道脇まで来ているので川の縁まで行って腰を据えた。渓谷の間からニコニコ滝を臨む。増水時注意の看板があるが、今は水も少なく穏やかだ。思ったより早い時間に小屋に着きそうなのでゆっくり休む。登山道を少し登ったところにある滝もなかなか見事だった。


桃の木山の家

シシ渕からニコニコ滝までの区間は急な登り。現れたニコニコ滝は樹林に妨げられてよく見えなかったが、距離が近いせいか迫力十分だ。陰り始めた平等ーを眺め、ゆっくりゆっくり登山道を歩いてゆくとやがて桃の木山の家に到着した。小屋は意外に混雑しておらず、余裕だった。ゆったりと風呂にはいることも出来、早めに寝て明日に備えた。

             
左:七ツ釜滝
右:光滝

朝起きると、突然雨が降ってきた。雨具を付け、予定より早めに小屋を出る。すぐに七ツ釜滝。特徴的な景観は大杉谷を代表する滝にふさわしいが、水量が少なく残念だ。ここから先の登山道には危険個所とされる場所が多く、「転落現場」などと書かれた看板が少々物々しい。やがて綺麗な光滝が対岸に見える。堂倉滝を間近に見る堂倉吊り橋を越えれば、谷沿いの道はおしまい。いよいよ本格的な登りが始まる。


堂倉避難小屋から暫くは平坦な道

雨が止んでいたので、雨具を着けて登らずに済んだが視界は依然としてガスで阻まれている。予想通りの急登だ。先がまだまだ長いのでマイペースで歩くよう心掛けた。林道を過ぎると登りは幾分ゆるやかになる。また道の整備も進んでいて階段が多くなり、ちょっとうんざりした。シャクナゲ坂で昼食。シャクナゲは時期が早く、ほとんど咲いていない。

         
左:日出ヶ岳山頂
右:立派な木道

山頂直下の階段を登りきるとなだらかな山頂に出合う。天候のせいか思ったよりも人の数が少なくゆっくり出来そうだ。視界は200Mくらい、晴れていれば大峰の山々や熊野灘が見えるらしいが展望は全くなく残念だ。山頂でしばらく休んだ後、大台ヶ原周遊に向かう。笹原の正木ヶ原は立派な木道を歩く。手すり付きで歩きやすい。

  
左:正木ヶ原
右:鹿・・首に発信器、耳に札が付いている

霧の中の枯れ木立もこれはこれでいい雰囲気に見える。別世界にいるような感覚だ。正木ヶ原を過ぎて、樹林帯に入ると鹿がいた。二頭から四頭ぐらいの群で行動している。十五匹ぐらいは見たと思う。話に聞く通り鹿は多いようだ。


大蛇ー

大蛇ーに到着。下が見えないのは幸か不幸か、濡れた岩が滑りやすいので慎重に歩く。まわりはしっかり鎖でガードしてあるが、かなり恐かった。展望が全く期待できないので周りの人を写真に撮る。何もいいことはない。それでも全く途切れない人の列、「なぜ山に登るのか」という問いに対する答えがここにあるような気がした。


大和上市駅

シオカラ谷を渡る急なアップダウンを越えると、すぐに大台ヶ原の駐車場だ。時間があるのでビジターセンターでスライドを見たり、有名な?「大台ヶ原山」の看板を見に行く。名物と聞き、売店で鹿の刺身を食べた。冷凍のまま出されたので解凍にかなり手間取り、良い暇つぶしになった。時間になったのでバス停に向かう。売店に入る前に買っておいた整理券と切符を出し、バスに乗り込む。大和上市までの道のりは山また山でこの山域の奥深さを十分に感じた。大和上市からは近鉄線を京都で乗換えて富山へと帰った。

余談

毎年死人が出ていると聞き、かなり警戒して山行に臨んだのだが、実際行ってみるとかなり道の整備が進んでいて意外な感じだった(大日ーでビビったのは過剰反応)。
もっとゆっくり歩いた方が楽しめたと思う

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