高隈山

(1236.4M)

不覚一秒、鹿児島計画は挫折へ

日程

百名山に比べて三百名山の情報量は全く少ない。初めから覚悟はしていたが、調べ始めてそのことを実感した。高隈山とは、大篦柄岳、小篦柄岳、御岳、妻岳、平岳、横岳、白山の7つの山の総称であり、この七岳巡りが一番のルートと思われた。しかしその割にこれを記録している人は少ない。辛うじて必要な情報は探し出したが、昨年の島根県最高峰を思わせる情報量の少なさだった。確かに距離は長いが、日帰りは十分可能だし、コースも特に問題ないはず(予想コースタイムは12時間)。しかし何か忘れていた。大事なことを・・。

5月4日 猿ヶ城キャンプ場(06:25)=猿ヶ城二番小屋(7:00)=大篦柄岳登山口(07:40)=大篦柄岳(09:15)=小篦柄岳(09:55)=スマン峠(10:25)=御岳(11:05)=妻岳(11:50)=二子岳(12:10)=平岳(13:00)=花里分岐(13:40)=白山(14:10)=段(14:50)=猿ヶ城キャンプ場(18:50)薩摩明治村(19:30−20:10)霧島神宮(22:40)

山行記録

夜が明けると雨は上がっていた。駐車場にはオートキャンプらしき車が一台停まっているだけだ。朝食、トイレのあと早速出かける準備をした。今日は歩行時間が長いのでなるべく早く行動したい。サブザックに必要最低限の物を積み込んで急ぎ足で歩くことにする。財布も地図も置いてゆく。予定より25分遅れでキャンプ場を出発した。

  
左:猿ヶ城渓谷
右:猿ヶ城一番小屋付近

左右が切り立った崖の猿ヶ城渓谷を眺めながら登り始める。キャンプ場から上流に続く林道は危険なために通行止。ゲートは新旧の二段構えで侵入者を迎えている。切り立った渓谷に無理矢理作られた林道はさすがに恐かったが、通行に支障のある場所は特になく、堰堤のある猿ヶ城一番小屋に難なく到着した。プレハブだが50畳ぐらいありそうな大きな小屋だ。垂桜方面に少し歩くと二番小屋がある。こちらも30畳はありそうだ。


大篦柄岳登山口

しばらくはブルで掘られたような綺麗な道を歩く。ほぼ水平道で歩きやすい。やがて沢へ下りてゆく手前で道は登山道に変わる。沢を渡るとしばらくアップダウンがあるが、道はしだいに尾根を通るようになり、九州自然歩道と合流する。すぐ隣には林道が走り、大篦柄岳への登山口が見えていた。

  
左:平岳−白山の稜線(ちょっと自信なし)
右:大篦柄岳

九州自然歩道に入ったことでまずは一安心。樹林帯の登山道は昨日の雨で濡れていたが歩きにくい所などはなく、ひたすら尾根沿いに歩く。やがて大きな露岩の上を歩く。振り返れば垂水市街から妻岳にかけての展望が広がっていた。大篦柄岳はガスの上で見えない。主稜線に出るまでの最後のきつい登りを過ぎると道は下りに転じ、山頂に着くのか不安になった頃、ようやく登り返して大篦柄岳に到着した。予想通りガスの為展望は全くない。

  
左:小篦柄岳
右:御岳

先が長いのでさっさと山頂をあとにする。ややトラバース気味の登山道を歩いてゆくと小篦柄岳への分岐点が現れた。いきなりの急登、そして下り、一度稜線に出て向こう側に回る感じだ。狭い登山道で笹の中に飛び込んだので全身水浸し。やがて狭い山頂に到着。山頂と言うよりも支稜の肩と言った感じの場所だ。往路を戻り、再び主稜線を歩く。スマン峠で休憩し、御岳に向かった。妻岳分岐からは邪魔な笹も少なく、かなり歩きやすい。御岳の山頂は独立峰のように周囲が開けていて、稜線歩きの延長のような他の山頂とは違った雰囲気の場所だった。晴れていれば景色もすばらしいだろうに残念だ。

           
左:妻岳
右:二子岳

来た道を妻岳分岐まで戻り、妻岳への登りにかかる。道の悪さもあってかなりきつい登りだ。時々ロープを伝いながら狭い山頂に到着。顕著なピークの割には展望が南側しか開けていないので残念だった。少し落ち着くと、なぜか今まで気にならなかった虫がうるさくなった。だいぶ空気が蒸している。雨になりそうな予感がした。妻岳を後にして登りの時と同様の急坂を下る。やがて登山道は緩やかになり二子岳に到着。どこが山頂なのか二子なのか分からないなだらかな稜線上に標識が立っている。

  
左:平岳
右:横岳

樹林帯のだんだらな稜線をひたすら下ってゆく。道はやがて平岳への登りに転じた。縦走路はこの平岳をトラバースするように付けられていて、いったん脇を通り過ぎたあと折り返し気味に山頂に向かう。狭くて展望のない平岳の山頂にはひっくり返った祠があるきりだ。分岐点に戻り、横岳に向かう。短いが急な最後の登りを越えると横岳。ここは絶好の展望ポイントなのだが、天候は相変わらず景色を拒んでいる。

         
左:白山山頂
右:白山神社

横岳を過ぎ、花里への分岐を見送る。白山への道は少々荒れ気味だったが、踏み跡はしっかりしていて歩きやすい。樹林帯の合間にはちょっとしたカヤの原っぱがあって良いアクセントになった。登山道は白山神社の裏に通じていて、そのまま正面に回り込む。神社の前から少し登った広場が白山の山頂だ。ここでようやく景色が戻った。七岳巡りの完登と合わせてちょっと感動である。


白山から垂水市街

神社を出て一直線のきつい道を下りてゆくとすぐに林道に出た。当初の予定ではこの白山林道沿いに猿ヶ城渓谷に出るつもりだったが、雨が降りそうなのでコース変更をする。すなわち段の部落まで下りて、一般道利用で猿ヶ城渓谷に向かうコースだ。林道出合にある垂水市内2時間の看板も強くこれを後押しする。林道を離れて、さらに山を下った。白山神社の参道ということもあり旧道らしい歩きやすい道だ。やがて植林地に入ってゆくと道は林道になり、段の部落に到着した。
あと一時間半もあれば猿ヶ城渓谷に着くはず。しかし、やがて視界に入ってきたのは国道220号線と鹿児島湾だった。反対方向に歩いてきたと気付くのに時間かかり過ぎ。金沢まで行って買った地図を車に置いてきた事が悔やまれた。予想通り降り始めた雨の中を黙々と歩く。日没前に猿ヶ城渓谷に着いたのは不幸中の幸いだったが、足のマメを潰してしまったので次の日まともに歩くことはほぼ不可能になってしまった。鹿児島計画はこれにて失敗が確定。
しばらく休憩の後、垂水温泉に向かうが既に終わっていたので国道を歩いているときに見つけた薩摩明治村の財宝温泉に入った。藻(クロレラ)が植え付けてある露天風呂が足にやさしい。かなり疲れていたので時々休憩を入れながら霧島方面に向かう事にした。もはや登山の出来る体ではないので観光でもするつもりで霧島神宮に入る。天候が悪いのでまたも車中泊だ。

余談

車を二台使えば七岳巡りに必要な時間はもっと短縮できそうだ(標準で八時間ぐらい?)。
軽量化のために地図を置いてゆく・・バカみたいだけど事実です。もうやめよう・・。

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