剣岳

(2998M)

早月尾根に挑戦

日程

早月尾根の日帰りはかなり前から温めていた計画だったが、体力的に非現実的なので諦めていた。しかし自分も30になり体力的なピークに達してしまったのではないかとの不安からついに実行に移すことにした。早月小屋の利用は状況次第。予約はしなかった。自分の事ながらどこまでいけるのかさっぱり分からなかった。気合いを入れて当日を迎えたもののまたしても寝坊。やはり小屋泊まりになるのだろうか。

9月22日 富山(06:10)馬場島(07:20)=三角点(09:35)=早月小屋(10:20−40)=剣岳(13:00−30)=早月小屋(15:05)
9月23日 早月小屋(07:00)=馬場島(09:20)富山(10:50)

山行記録

近場の登山について考えの甘さというか、またしても寝坊である。それでも早月小屋に泊まる事も考慮して予定通り馬場島に向かう。三連休の中日だけあって広い駐車場はあらかた埋まってしまっていた。かなり急いだおかげで思ったよりも早く登山口に着く。登山口はかつて中山に登ったときに確認済みだったのですぐ分かった。あいにくの天候で空には雲が立ちこめ、剣岳は見えなかった。翌日は雨の予報で登るなら今日が勝負だ。

  
左:剣岳登山道入口
右:松尾平

登山口からいきなり急登が始まる。小屋泊まりの軽装備でもかなりしんどい登りだ。まだ日帰りの望みを捨てていなかったのでかまわず気力でこなす。10分もしないうちに勾配は緩やかになり、やがてちょっとした広場に出る。松尾平に入ったらしくしばらくは平坦な道が続く。ところどころぬかるんでいる。全体的に登山道は良く踏まれていて歩きやすい。

         
左:登山道脇の大杉
右:毛勝山方面(猫又山?)

杉の大木を見かけるようになると再び登りが始まる。樹林帯の急登ではあるが穏やかな曇天の暑くもなく寒くもない快適な気候のもと、順調に高度をかせいでゆく。ふと登山道脇のコンクリート柱に1200Mと標高が書いてあるのが見えた。この先、標高200Mごとにそれは設置されていて歩いてゆくうえの目安として役に立つ。30分ごとに休憩を取りながら長い尾根道をひたすら登ってゆく。やがて三角点に到着。三角点の標高は1920.7Mだから馬場島から二時間少々で1150Mは登っている計算だ。あと半分、まだ日帰りの望みはある。我ながらハイペースぶりに驚くが、それでも抜かしていった人が一人いた。また、この長い尾根をこんな早い時間に駆け下りていった人もいてさらに驚かされた。やっぱりここはすごいところだ。

         
左:早月小屋
右:ようやく見えた剣岳

三角点を過ぎるとようやく樹間を通して周囲の山々が望めるようになってきた。右に大日連山、左は北方稜線を眺めながらの登り。しかし、小屋がなかなか見えてこないので頭の中は不安で一杯。ペースがだいぶ落ちてきているのかと思いかなりあせった。池塘のある広場からロープの張ってある急登をこなし、早月小屋が見えたときにはもうようやくと言った感じだった。今のペースで日帰りはやっぱりきついかも。迷ったあげくここでギブアップ。予約なしと言うことで小屋の親父に怒られながらも小屋泊まりに決めた。早月小屋までなら剣岳を十分往復できるはずだ。

            
右:ハイマツ帯の登り
左:カニノハサミ

小屋にはあがらず再び上に向かって登り始める。急登をこなすと背後の早月小屋がどんどん小さくなってゆく。やがて大日連山の向こうに別山尾根、続いて室堂平が見えて来た。森林限界を越えると見通しが良くなった分だけ高度感が増す。迫り来る岩稜に圧倒され、かえって疲れを忘れた。2600M地点付近はちょっとした鞍部になっていて休憩に都合が良い。あとひと登り、焦る気持ちを抑えて休憩にする。


剣岳の山頂

ハイマツのヤセ尾根を登りきるといよいよ最大の難所、カニノハサミがやって来た。連続する鎖場をペンキ印に従いながら歩いてゆく。想像したよりも大したことはなかった。明らかにタテバイ、ヨコバイの登山道の方が危険度が高い。見覚えのある分岐点を越えるとすぐに山頂。思ったより早かった。日帰りの人もまだ何人か残っている。小屋泊まりは早計だったかと少し悔やんだ。まあ明日はどうせ雨で暇なのでゆっくり行こう。十分休んだ後、下山に入った。来た道をそのまま折り返す。途中、2600M地点付近で雷鳥を見かけ、周囲の人達に混じって写真を撮った。


雷鳥

ようやく早月小屋に戻ってきた。今回は十分日帰りが可能だったという事で満足する。適当に荷物を納めると小屋前のベンチで石川から来たグループに混じって宴会となった。宴会装備で剣岳とはなかなかの人達である。かなり飲ませていただいた。降り始めた雨が本降りとなり、やがて解散。この日の小屋は一部屋三人で楽に休む事ができた。翌朝は前日の酒がまだ体に残っていたので遅めの出発。途中から小屋で一緒だった人達と並んで下山した。馬場島からは新潟から来た人に滑川に出る道を案内して家に帰った。

余談 早月尾根日帰り、結構いると聞いてはいたが実際に何人も見て本当に驚いた。
確かに大変なコースだったが条件が良く標高差2200Mとは思えないぐらい登りやすいコースだった。
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