追想の山々1301  up-date 2002.03.06

信州100名山を日帰り4座  冠着山 聖山 子檀嶺岳 独鈷山

子檀嶺岳(湯坂山尾根コース)=こまゆみだけ 1223m 登頂日1993.11.20 単独行
▼東京(2.00)===佐久IC==上山田温泉==林道登山口(6.00)−−−冠着山(6.25-30)−−−林道登山口(6.55)===聖山へ移動
▼聖湖===聖峠先の別荘地内登山口(7.45)−−−聖山(8.10)−−−登山口(8.25)===子檀嶺岳へ移動
▼修那羅峠===坂井村役場(9.30)−−−子檀嶺岳(10.50-55)−−−坂井村役場(11.20)===独鈷山へ移動
▼鹿教湯温泉===霊泉寺温泉入口(独鈷山登山口)===車道行き止まり(12.30)−−−独鈷山(13.20)−−−下山(14.00)===霊泉寺温泉入浴後帰京
所要時間 冠着山55分  聖山40分  子檀嶺岳1時間50分  独鈷山1時間30分   合計 4時間55分
子檀嶺岳(1223m)=56
子檀嶺岳山頂


古くからの信仰の山。山頂には三基の祠が建立されている。  登山雑誌、ガイドブック、ハイキング紀行・・・どこにもこの山について書かれたものを目にした記憶がない。
信州百名山選定の清水氏の著書の中にも、その選定理由につい ては明確には触れていない。ただ『信州の鎌倉と言われる塩田平の西端に兀然と聳える岩山で・・・』という記述があるのを見ると、塩田平からよく目立つ山であろう。しかし私の登った日は初冬の雨がそぼ降っていて、山麓からもその姿を見ることはできなかった。  

聖高原の猿ケ馬場峠から旧善光寺西街道を麻績の盆地を目がけて下り、このあと修那羅峠を越えて青木村へ入る。修那羅峠近くの安宮神社には、苔蒸した数多くの素朴な石仏が並んでいる。8年前に妻と訪れたことがある。
とうとう雨も降り だしてきた。青木村役場のそばで仕事中のおじさんに、子檀嶺岳への登山口に通じる林道を尋ねたが、そんな林道はないという。役場の裏手からそのまま尾根づたいに登って行くのだと教えられる。地図の上では西洞という集落の先まで自動車が入れそうだったが、地元の人がそう言うからには間違いないだろうし、雨の中をあっちこっち道を探すのも面倒で、教えられた とおり役場の駐車場に車を置いて山頂を目指した。おじさんによれば山頂まで3時間だという。林道奥まで自動車で行って、1時間〜1時間30分で山頂と見込んでいたので、ひょっとするとこの後4座目の独鈷山は登れないかもしれない。  

尾根道への取付きは、標識も何もない石段から始まる。3分ほどで車道を横切る。この車道が登山口へつづく林道ではないだろうか、そう思ったが歩き始めた今となっては、戻ってやり直すのも却って面倒に思え、そのまま車道を横断して松林の尾根を登った。すぐに神社の前に出る。さらに踏み跡の尾根を忠実に進むと、もうひとつ神社に出会う。この間登山道を示すものはまったく見当たらず、やや不安になる。この尾根道は神社への参詣路で、その先は道が消えてしまうのではないかと心配しながら足を進めたが、明瞭な踏み跡が先へ伸びていた。  
松林の幹に『茸山、入山禁止』の張り紙がべたべたと貼られている。 そうだここは名高いマツタケの産地だった。この道は茸取りの道だった。もう1ケ月も早く、その時期に当たっていたら、 こんなところを一人で歩いていると、とんでもない誤解を受けたに相違ない。
右手下に1本の林道と、それにそって民家の点在する集落が見えた。 あれが西洞集落登山口への林道に違いないが、しっかり歩くのもいいだろうと自分にいい聞かす。
茸取りの道が尾根から迷路のように伸びているのを無視して忠実に尾根を行く。長靴に傘といういでたちである。
何回か登り降りを繰り返しながら、高度を稼いで行く。ビールの空き缶が山はど放置されている。地元の茸採りの人達だろう。

右手から山道が斜めに上がって来て、この尾根の踏み跡に合している。始めて道標を見る。古びて字も読みにくいが《山頂へ》とある。これが林道からの登山道に間違いない。
尾根の踏み跡と違って、登山道らしいしっかりした道となり、ほっ とした気分で足を運ぶと、二岐の別れでまた小さな指導標がある。雨に煙る樹間から屹立する岩の壁がうかがえる。麓から見上げると岩山だというのはこれであろう。ここから傾斜が一気に厳しくなった。緩やかな肩の上に、兀然と目立つ頭を乗せたような姿が想像される。一歩 一歩攀じるようにして高度を稼いで行く。傘を閉じて杖代わりにひと汗かいて、ようやく主稜線へ乗った。今日目にする三つ目の指導標に沿って行くと、一投足で山頂に立った。
山頂には木製の社が二つ、石造りの社がひとつ、計三つの社が肩を寄せて建っていた。三角点標石は無惨にも欠け落ちて見る影もない。
南面がそぎ落ちて、いかにもそそり立つ岩の上という感じで、展望がきけば素晴らしい景観だろう。一瞬切れた雲間から塩田平がのぞいたが、すぐまた吹き流れる雲に消えてしまった。  

帰りは林道から上がって来ていた道を下った。ほどよい勾配をたんたんと下って行くと、ぱったりと林道に飛び出した。ここにしっかりとした指導標が立っていた。林道は西洞の集落へ入り、あとは見当をつけて行くと、勘よく登りの取り付きで横切った林道へつながって、無事役場の駐車場へ戻った。まだ仕事をしていたあのおじさんが「早い」と言って驚いていた。
2004.10.24 当郷コースからの登頂はこちら