魚野川へ行こう!(その4)


第4話「親子川旅」 たてちゃん 著

たてちゃん

オラオラ隊きってのスポーツマン。いまだテニスの現役選手。爽やかなのだが、オヤジ臭さを醸し出してしまうのは、オラオラ隊員の宿命(サダメ)か。あきらめてくれ。今回は、カヌーデビューのワンパク小僧、を引き連れ、トウチャンとしての顔もキチンと見せてくれた。

解説八海橋の瀬で、行こうか止めるか迷う男の心情を手に取るように書いた傑作。息子とのやりとりが微笑ましい。詳細な記述が生き生きとした臨場感を生んでいる。オラオラ隊の思い出に触れる暖かみ溢れる文章が懐かしい。ノモトハリゲーも回想シーンでゲスト出演。


うーん。親父はだんだん記憶力が低下している。酒のせいかも。思い出せるかな。今回は初めての人がたくさんいたのである。

そうそう。ハッキーニョがポテージしとったところね。

いやあ,私もポテージしようと,草むらを歩き始めると亮(5歳児)が

「船で下ろうよ!」頼もしい。

ふと,オラオラで岸にあがって下見なんかしたことあったっけ?私には記憶がない。

下見すると,岸にあがって安心するのか,やめとくかという心境。

亮よ。今日は初回でしかも初日よ。次回は絶対何が何でも下ろうぜ。

順番忘れたが,風来坊じゃない風来乏,ススム,ボーイ,たいちょうと難なく成功。

うーむ。おもろくない。やっぱり沈しないとね。沈したタカローが気持ちよさそうだった。

なんか,うらやましいのはなぜ。

空は曇りで水は冷たく結構寒いはずなのに。タカローが気持ちよさそうに,

「なぜ,沈したかって?なんで沈したのか俺もわからんよ。」

うーむ。その笑顔が不気味じゃ。なぜか勝ち誇ったような笑顔なのである。

その後浦佐まで,軽いジャブ程度の瀬が続く。私の乗ったアミーゴはよく波に反応し,

バタンバタンと音を立てていくのであった。
雨の中、親子旅はつづく…

水は雨で濁っているし,雨は降っている。帽子をかぶっているが,若干寒さを感じる。

亮も何も言わなくなってきた。さらに,雨も強くなってきた。

ふと,タカローが左の岸へ。最後の瀬らしい。サクッと,岸に上がり,亮も私もトボトボと歩き始めた。亮はカエルが足下にたくさんあるのに感動し,カヌーに乗る気はすっかりないらしい。土手(川の管理通路)で集めたカエルを4,5匹手に持って,更に探そうとしている。アネゴもさすがに歩いている。

最後の瀬は,皆クリアー。しかし,雨も降っているせいか,そそくさと浦佐駅正面の橋下にたどりつくと,キャンプ場所を探す。アネゴが先客に皆気を使って雨の中キャンプを張っていることに気づき,さあどうしよう。

でも良かった。浦佐駅側の土手下に雨をしのげるところを発見。今日はここで,一泊だ。

最初からここは決めていたのだろう。浦佐駅まで歩いて10分もかからない。駅にはトイレがあるし,駅までにコンビニがあり問題なし。酒を駅か駅向こうの酒屋まで買いにいかなければならないが,大した距離ではない(酒屋はわからない)。

ススムとタカローと私で浦佐駅まで行き,六日町まで車を取りに行く。駅でびしょびしょの千円札が使えなく,こういうときは500円玉が良かった。改札を見ると新幹線乗り場は自動改札,何線かわからんが在来線JRへの改札は何もなし。補助金の体系が違うのだろう。

しかし,改札で駅員とのちょっとした一こまあり。

「六日町に行くの?」

「ええ」と3人。

「後30分はあるよ。大丈夫?」都会ではなれなれしい言葉もここでは自然に受け止められる。

どうしようと思っていると,

「いやあ,問題ないですよ」とタカローが慣れた口調で言い返す。

私はタクシーでもと思ったが,結構タクシーは無理であった。

実は次の日,堀の内駅から浦佐駅まで電車だと230円だったので,タクシー会社に電話をしていくらか聞いてみたのである。

「だいたい,3500円くらいかな。」

おいおい!いやはや,30分待つ方を選択するよね。

駅のホームでススムとタカローと今日の話を始める。

「このぐらいが丁度いいのかな」と私。

「いやあ,このぐらいがそれほど疲れもせず,かといって下ったという感触もあるしいいんじゃない。」とタカロー。

「雨も降っていたしね(無理してもね)。」とススム。

ここには,人の意見をいきなり否定する人はいないね。いかん,いかん,職場を思い出してしまった。

ふと,横でススムが寝ているのに気づく。タカローとは初対面なので,どういう話をしようかなあと思っていると,静かな寝息がホームの休憩所に。おおっと,タカローは長椅子に横になっていた。

しばらくして,電車が来る。止まるまで,私も反応悪く,「電車だ」と思ってから,しばらくして,ススムとタカローを起こす。タカローのライフジャケットを手に「これ」(といきなり渡す方も渡す方だが)とタカローに渡すが反応悪し。

「ああ(ライフジャケットね)。ああ?ああ,(電車)これだよね。」

ほとんど(解説付きで)寝ぼけながらも滑り込みセーフ。

六日町まで2駅とはいえ,営団地下鉄や半蔵門線の1駅2分とは大違い。常磐線の佐貫と牛久のような(わからない人ごめんなさい)1駅か。1駅5分程度。5分*60km/h(として)*60分=5kmでいいんだっけ。算数最近やっていないから忘れてきている。

電車の中は意外にも高校生風の学校の帰りの時間帯にぶつかったのか,わりかし人がいた。

六日町へ着くと,下ってきた熱気がさめたのか。ちょっと肌寒い。

ススムとタカローと別れて,六日町駅のスーパーで亮の長袖と長ズボンを購入。六日町から国道17号線を走らせる。何キロ制限か感覚を失うくらい皆マイペース。そう,40キロの車もあれば,80キロの車もあり。こんなもんだろう。車を走らせていても落ち着くね。ああ,何で東京で仕事をしているのだろう。いかん,いかん,また,仕事を思い出してしまった。BOYがうらやましい。といいながらできない自分。

自分探しの旅は依然として続くのである。

戻ると食事が待っていた!オラオラの時はハリゲーの顔が待ったいた。

「できたよ。うまいぞ。今日は。」

言葉少ない(オラオラは結構皆そうかもしれん,これでも言葉が多い)中でも,暖かい言葉なのである。野元にも会いたいな。ナゲーはどうしているかな。ダイバーの弔いもしなくては。ふと,昔を思い出す。

料理の方は,皆動きが早い。しばらくぶりなので,ついオラオラを思い出してしまう。皆マイペースだったから,準備とかあまり得意ではないのだ。オラオラの精神なのかな。

誰かが,

「腹減ったかな?」

「ああ,そうだね」

「作るか」

「おお,作ろう」

「あ,塩がねえ」

「いいんじゃない」

「まあ,いいか」なんてね。(とはいえ,飯はハリゲーが作ってくれてかな。)

短い単語が続くのであった。アネゴに言わせると「計画性がない」とか言われそうだが,まあ,それがいいんじゃないか。最近はやりの複雑系理論にしてもカオス理論にしても,確実性のない世の中で,答えが動きながら関連しあい共生しあう世の中なのである。要は柔軟性というか臨機応変さ,的確な状況判断をする環境をつくるとともに,的確な判断することが必要なのよ(なぁんて,偉そうやね)。

話をもとに戻そう。そうそう,飯ができているのである。これは感動である。楽やわあ!

しかも,BOYが七輪でなにやら焼いてくれている(暗がりでよく見えんのだ)。

「○○っすよ。」暗くて形で判断したいが,よくわからん。

口の中で「んん。ナスだ。」なんてね,でも本当にナス食ったっけ?。

な,なにー!ビールがないだとおお!おもむろにビール購入へ。欲望じゃ。

駅のキヨスクはしまっており,キヨスクの裏の自動販売機で購入。1人500mlで10本でいいだろうとガンガン買うと。

ふと,持っていけないのである・・・。10本ってポケットになかなか入らないんだよね。しかも500かあ!横で亮は「お菓子はあ?」攻撃にあう。

すると,救世主登場!

「袋あげようか?ちょうど,忘れもんして,戻ってきたところよ」ああ,感謝。

「ありがとうございます。お願いします。」

すると,亮が

「今日ねえ。川くだったんだよ。」と話しかけるが,

「ふん?」と通じず,すかさず

「いやあ,六日町から魚野川を下ってきたんですよ。今日は河原でキャンプをしており

まして,皆にビールを買っているところなんですよ!」と私がフォロー。しかし,

「ふーん?」

「・・・・・・」

「・・・はい」と袋を差し出す。

「あ,ありがとうございます。」

何げに,目の前で閉まるキヨスクのドア「バタン!」でも,全然人の冷たさを感じない

のである。いいね。

ありがとうね。キヨスクの(お年を召した)お姉さん!

よーし「亮,帰るぞ」

「おもちゃは?」あ!いっかああん!!「キヨスクにおもちゃあるで」と言っていたのである。

「まあ,誕生日の時買ってやるよ!」返事なし。これでまた,不信感やね。

こんなやりとりも,皆の前に来ると忘れていた。

うー。疲れた。ここらへんでキャロリン

着いてそうそう、説教されるキャロライン

(キャロラインじゃなかったっけ,まあ,いいっか。遠路はるばるだったのね。偉い。)へ頼む!食事のシーンあたりからよとか,自分の登場シーンあたりからでも。お任せ。(たてちゃんより)