GW東海道ラン
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2018年4月28日-5月6日
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【最終日の9日目】15時間におよぶ長過ぎる戦い。総力戦でした!

渡辺健介

最終日は、ゴール三条大橋を目指し、距離は70km以上。序盤に鈴鹿峠、終盤に逢坂峠と蹴上坂が行く手を阻む難コース。

そして、次の日には平然と出社するのがサラリーマンのつとめ(笑)。終電「のぞみ64号(21時37分発)」に是が非でも間に合わねばならない!まさにラスボス戦。

2つの対策で備えた。

1つ目は出発時刻を早めること。ゲストハウスの「石垣屋」を出発したのは午前4時過ぎ。まだ暗い。施錠のため起きて頂き、激励までして頂いたオーナーに感謝!

これまでの実績を踏まえ、1時間で5km進む想定。食事、休憩、会話、観光、写真撮影など、全ての行動を含んだ平均ペース。4時出発で 、70kmを14時間かけて走り、18時に三条大橋にたどり着くだろうと推定。

2つ目は荷物の軽量化。前日のうちにドローンはじめ、不要な機材や着替え等を発送したため、バックパックの重量は9kgから6kgに。重いけど軽くなった(笑)!

この2つの対策は、3日目に片山さんご夫妻から「最終日は、鈴鹿峠越えに長距離、最後にも坂があるからスケジュールがきついかもね。」とアドバイスを頂いていたことに始まる。

道中ずーーーっと気にしてました。そして、日を重ねるうちに、このままじゃ最終日は絶対間に合わないという危機感の高まり…。ご助言に感謝です。

さて、東海道で2番目に険しい鈴鹿峠へと向かう。この旅2回目のヘッドライト点灯。装備時間はそれほど長くなく、本格的に峠に差し掛かった頃には太陽が明るさをもたらす。

荷物軽量化や高揚感もあってか、さほどキツさを感じることもなく順調に鈴鹿峠を越える。ここさえ越えてしまえば、あとは安心のはずだった。

…だが、さすがは鈴鹿峠。しっかりと爪痕を残してきた…。峠を下る頃から左腿(内側広筋)に軽くない筋肉痛の兆候が…。残り55km。

坂下宿、土山宿を抜け、水口宿に入る。途中、草むしりのお母ちゃん3人組にご挨拶し、すれ違おうとすると…

「何処から来はったんです?」

と引き止められ…からのにぎやかな会話が始まっちゃった(笑)!本格的に関西圏に入ったんだなと。こんな出来事から感じさせられるっておもしろい。

甲賀市を忍び足で颯爽と駆け抜けたいところだが、徐々に筋肉痛が耐え難いレベルになってきた…。太腿の中に「にんじん」サイズの筋肉痛のかたまりが…。

たまらずこの旅で初めて薬品投入!バンテリンを患部に塗り塗り。効果は無いかもしれないが、気休めでも、ほんの少しでも回復すれば御の字。ひんやり気持ちいいー!残り35km。

100mを走って、痛みに耐えれず100mを歩くという時間がしばらく続く。前半戦の貯金が削られていく。これが続くと後半戦がツラい…。

ふと、1日目で伴走してくれた友人から教わった疲れにくい走り方「すり足走り」を思い出し、試す。これがハマり、500m〜1kmくらいは継続して走れるようになった。大丈夫だ。これで間に合うぞ。

…だが、それもずっと続くわけがなく、休憩回数が多く、長くなってきた。痛みだけでなく、強烈な眠気まで襲ってくる。

眠い…。寝るなー。
眠い…。寝るなって。
眠い…。寝てんじゃねえよ!

この繰り返し。草津宿に着く頃、姥ヶ餅屋を探す心の余裕もなく、思わず弱音メッセージを吐くと、みんなから激励というか、ムチ打つ声が返ってきた(笑)。ドMにはありがたい!

琵琶湖南岸にさしかかった17時過ぎ、無慈悲な雨が…。距離は残り13kmちょっと。逢坂峠と蹴上坂も残っている。ちょっとリミッター外さないとまずいかもな…。

前回右膝を壊した苦い経験から、今回は故障に対してかなり神経を使っている。痛みの前兆が出たら、すぐにストップ&ケアでやり繰りしてきた。

その許容範囲を少し緩める。痛くてもゴーだ!明日は走らなくていい。ただし、長引く故障にしてはならない…。微妙なさじ加減。

雨足が強まる中の逢坂峠越えはつらい…。時間も迫ってきたからポンチョを装備する余裕もない。

つらい…。眠い…。冷たい…。
つらい…。眠い…。冷たい…。

でも…でも…チンタラ歩いてたらオレは終電乗れずクビになるんだよーーー!!!うおぉぉぉーーーっ!!!!!

火事場のクソ力とは恐ろしいもので、ほんの一時ではあるが、4分15秒/kmのサブスリーペースを刻んだ…(笑)。

途中、地元のランコースに詳しい西谷さんからコースに関するアドバイスを受け、最後のストレートへ。

このGWの9日間、いや、前回の年末年始も含めて19日間の長丁場。喜怒哀楽した場面、多くの人と心通わせた場面が頭の中をよぎる…。とりわけ、右膝の故障を認知した箱根峠の場面がクッキリと浮かぶ…。

ようやく…、ようやくあの故障状態から脱出できた…。思うように走れないのはツラかった…。そして、故障を再発させることなく此処までたどり着けたんだ…。

グッとこみ上げるものがあった。

そして、スタートでお見送りして頂いたり、道中を伴走してくれたり、話しかけて頂いたり、アドバイスくれたり、激励してくれたり、みんなに助けてもらった場面が次々に駆け巡る…。本当に総力戦だった。

思い返すと涙が出た(歳とると涙もろい)。

気を取り直し、最後のストレートを駆け抜け、19時に三条大橋に到着。東海道旧道470kmの道のりを完走できた。

やったー!せっかくだし記念写真を。

「あのー、すいませんが、写真を一枚…」

「…あ、急いでるんで」

「…ごめんなさい」

軽蔑のまなざしに手では拒否のジェスチャー。悲しいけど、確かに怪しいもんね…(笑)。日に焼け過ぎてるし、ヒゲ伸び放題だし、雨でずぶ濡れだし、汗臭いし…。

5分くらい三条大橋を右往左往し、ようやく心優しいカップルが一枚の写真を撮ってくれた。苦労と感謝がにじむ忘れられない一枚となった。

終電までには余裕があり、余韻に浸りたいところだったが、明日は仕事。

「さ、新幹線で帰るとするか…。」

◯9日目(5/6日)リザルト
◆発着:関宿→三条大橋(約70km)
(関宿→坂下宿→土山宿→水口宿→石部宿→草津宿→大津宿→三条大橋)
◆難所:鈴鹿峠越え、逢坂峠越え、蹴上坂
◆食事:笹井屋のなが餅(前日の余り)、柿千の柿の葉寿司、石部宿田楽茶屋の茶屋うどん
◆宿泊:自宅
◆体調:両足腿・ふくらはぎの筋肉痛(特に左内側広筋が激痛)、両足指にまめ多数、背中に微痛(荷物の影響)、強烈な眠気
count: カウンター

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