花園法皇
妙心寺を開創された花園天皇(1292年-1384年)は、第95代の天皇位に就かれた方です。
「建武の親政」で有名な後醍醐天皇の一代前の方といえば、大体どんな時代の方かわかるのではないでしょうか。
花園天皇は約十年間天皇の位に就かれた後、引退されて上皇となり、さらに出家されて、一僧侶としての生活を送られました。
このような方は、「法皇」と呼ばれて尊敬される慣わしでしたので、妙心寺では「花園法皇」とお呼びしています。
近代の日本の歴史学を築いた学者の一人である、東京大学の辻善之助博士(1877年-1955年) は、その著『人物論叢』のなかで、花園天皇について、「天皇は、御歴代の中に於いても、稀な程の英明な、また円満な御性格の方であった」という意味のことを書いています。
また、天皇の優れたお人柄は、儒教はもちろんですが、 「主として仏教のご信仰によって得られたことが多いと思われる」、とも述べています。
天皇は、当時の最高の知識人である、中国に留学して帰国した禅僧などとも真剣に学問上のことを話し合われ、教養を深めていらっしゃったことが、天皇の日記『花園天皇宸記』からもうかがい知ることができます。
この花園天皇(法皇)のご遺志により建立されたのが妙心寺の始まりです。

花園法皇が離宮 (別邸)を妙心寺と改められた時、別に一院を傍らに建ててお住まいになり、開山様 (無相大師)に朝夕、禅の教えを問われたのがこの院で、法皇の出家されたお姿の木像を安置する。 現在の建物は明暦2年(1656年)上皇の御所を模して建立されたもの。
圓通寺
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