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【静岡百山−猫越岳】
長九郎山から下山すると、休む間もなくすぐにその北方にある猫越岳へ移動。
アプローチのR59は道幅の狭さとカーブの連続、あまり運転したくない道。慎重運転で約2時間、高度を上げていくと覆いが外されたように目の前が開け、そこかが天城放牧場。起伏するスロープ一面は牧場というより笹の海。北方には7合目あたりまで雪をいただいた初冬の特大富士山が、限りなく広がる青空の下に優美な姿を誇っている。あらためてその大きを感じる。
仁科峠の駐車場へ車を止めて早速出発する。道標には猫越岳まで2.7q 70分と表示されていたような気がする。のんびり歩いても時間的には問題なし。
一人、二人・・・・下ってくるハイカーに出会う。
途中2、3回の起伏はあるが、峠と山頂の単純高低差はわずかに150m程度。
歩道は背丈ほどの笹がきれいに刈り払われていて歩きやすい。
放牧場と言っても牛や馬などの姿はまったくなく、ただ一面に起伏する笹原が続いているばかり。
笹越しに見える富士の姿に、ときどき足を止めては見入る。登る山ではなく「見る山」の感を深くする。
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| 猫越岳山頂 |
後藤山道標 |
小ピークを通過するとき、ふと道標に目をやると「後藤山994m」と書いてある。国地院地図を見ると標高994mの観測点が記されていた。地元ではそう呼ばれているのだろう。
やがて尾根状に変わった樹木の道を行くようになる。霜柱の融けた粘土質の黒土がよく滑べる。勾配もやや強めとなり、登山道は階段状になってくる。
山頂かな・・・と思って登りついたのは展望台、とりあえず富士山と眼下おおらかに広がる笹の原に目をやる。さらにいったん下ってから登り返すと二等三角点のある猫越岳山頂。ここは樹木が邪魔して展望はあまり良くない。
下から運動部員のトレーニングだろう、次々と若者が息を切らして駆け上ってくる。「まだおおぜい登ってきます、すみません・・・」と声をかけられる。中には女性の姿もあった。
これから下れば今日の登山は終了、長九郎・猫越岳と無事終わってやれやれ、そんな安心感と気の緩みがとんだアクシデントを招いてしまった。
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| 笹原を切り裂いた歩道 |
次々とかけ登ってくるトレーニングの部員たちに声をかけながら下って行く。かけ登ってくる若者たちの邪魔にならないようにと、ちょっとした大きめの段差にすうっと足を下した。粘土質の黒土、とたんにツルッ・・・体制を立て直す余裕もなくそのまま尻からドスンと落ちて(尻もち)しまった。異常な音が耳に響いた。ガキッ、いやガクッ、いやギシッ・・・?やってしまった、立てるかな・・・痛い。恐る恐る立ち上がってみる。痛いが何とか立てた、歩けるかな。そろりそろり、ゆっくり歩けば登山口まで降りられそう。
腰をかばいながら下ることができた。一カ月ほど前にもまったく同じことをやっている。運動神経、反射神経、注意力、筋力などが大きく劣化を来している証だろう。
下山後、そこで一夜の車内泊も考えたが、昨夜と同じ「道の駅・伊豆のへそ」まで行くことにした。
運転には支障なく、道の駅まで行きつくことができてやれやれ。ただし夜は痛みが少々つらかった。
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