追想の山々 1019    up-date 2001.06.06

≪尾瀬をめぐる山行≫

1988.07.10 熊沢田代から燧ケ岳へ
1988.07.31 至仏山から尾瀬ケ原へ
1993.05.01 山スキー 尾瀬ケ原から景鶴山へ
1995.05.03 残雪期の尾瀬ケ原と景鶴山へ
199509.23 熊沢田代→燧ケ岳→三条の滝→燧裏林道
1996.05.11 残雪期の尾瀬沼へ
1996.06.27 菖蒲平から尾瀬ケ原へ

至仏山(2228m) 登頂日1988.7.31  妻同行
鳩待峠6.55-小至仏-8.40-至仏山9.20-10.20-山の鼻12.20-鳩待峠13.20
至仏山

晴れ。マイカー自宅発3:30、片品村戸倉着6:20、マイクロバスで鳩待峠に着いたのが6:50。
昨日までのぐずついた天気が、うって変わって快晴、珍しく妻が同行したせいかもしれない。

鳩待峠から至仏山登山ロの道標に導かれて樹林の道へ入った。傾斜はなだらかで朝の足慣らしにはちょうど良い。
梢ごしに紺碧の空が広がり、まさに登山日和。歩きやすく整備された登山道を、妻の足に合わせてゆっくりと登って行く。
ワルサワの頭手前から、小至仏、至仏が望見できるようになり、山肌には石灰岩が点在して珍しい光景を見せてくれる。

せかせかと山頂だけを往復する単独登山とちがって、時間を気にしないのんびりとした山歩きも悪くはない。
樹林をつきぬけ、ハイマツやシャクナゲの低木滞に変わると展望が開けてきた。最近登ったばかりの燧ケ岳や武尊山が見える。一度登ったことのある山に、こうして出会うのはことさらに愛着というか、親しみが強い。
これまで、山はどれも同じにしか見ていなかった。ところがそれぞれに個性というか、10人十色の顔のように、みんな違うのだと言うことを感じるようになってきた。
露岩を縫う小至仏への道は、やや急になって、さらに稜線に出ると風が冷たかった。

小至仏から少し下り、岩の間をひと登りすると至仏山の頂上に着いた。 山頂も風が強い。じっとしていると寒い。しかし上空は文句のない快晴、展望には絶好である。 武尊山の鋸歯状の稜線が鮮明にのぞめる。梅雨のさ中に登ったのを思い出す。残雪の平ケ岳も見える。尾瀬ケ原を挟んで燧ケ岳が聳える。日光奥白根山が薄雲の上に浮かんでいる。少しづつだが、名前を言える山が出来てきた。
紅茶を沸かして食事をし、のんびりと1時間の休憩は、1年近いこれまでの山行ではなかったことだ。

下山は山の鼻へ向かった。岩だらけの急坂で、ツルツルと滑って、慣れない妻は難儀している。登りの方がまだ楽だと言っているが、登りのしんどさをもう忘れている。 (このコースは荒れ方がひどくて、その後閉鎖されたと聞いたが、今はどうなっているだろうか)
尾瀬ケ原目指しての急な下りが終わると、妻はもう足が上がらないという。私にとっては、めったにないのんびりとした気楽な山歩きだった。

尾瀬ケ原の木道にはやたらと人が多い。尾瀬はもう観光地と化しているのを実感した。私の知っている30年昔の尾瀬の姿はなく、山の鼻から鳩待峠までの木道も観光客で溢れていた。
尾瀬への入山規制等、時の流れを感じた今回の山行だった。