伊那谷 大津山=おおつさん(895m)

2006年度のテーマは『伊那谷の山』です。1月に8座、今回3月は下記の12座を登ってきました。対象の山は国地院二万五千図を参照にして選定。等級を問わず三角点の表示があり、かつ地図から推測するとピークを有して存在感がありそうな山、それと三角点はなくても山の名前が記載されて一般に認知されていると思われる山を選びました。地域は伊那谷南部の平谷村・売木村・阿南町です。
長者峰 高嶺 東方子 桐山 源四山 梨木山 千本立 桐ノ木山 高畑山 岩倉山 鎌根山 大津山
長野県 2006.03.27 単独 マイカー 大津山 三等三角点 地図 満島北西
コース 程野集落(7.25)−−−峠(7.55)−−−大津山(8.10-8.15)−−−峠(8.30)−−−程野集落(8.45)
倒木の陰になっていた三角点

今回3日間の伊那谷の山は、合わせて12座の頂に立ったが、ほとんどが無名の山だったり登山道不明の山だったりと、一般的でない山が多かった。その中でこの大津山は地図に山名が載っているし、登山道も記されていて、一番気楽に取り組めた山だった。

鎌根山を降りたあと、巣山湖から曲がりくねった山間の道を北上、巣山集落の先で程野へ分岐する道を右折する。1回のハンドル操作では曲がりきれないような右折を、ハンドル切り返しで曲がる。そのまま山間に入って行くと小集落が現れる。目に付く民家は2戸だけ、冬場は無人かもしれない。
地図には登山道が載っているもののどこから取り付けばいいのか。行ったり来たりしているところへ民家のおばあさんが出てきた。私の故郷と同じ懐かしい伊那方言で教えてくれた。その道は「昔子供たちが学校へ歩いた道だに」とのこと。それなら立派な山道だろう。

教えられたとおり舗装道路からコンクリートの橋を渡り、2軒の民家のうち上の方の民家の脇から沢沿いを行く。シイタケ栽培のホダ木の並ぶ脇を通りすぎると、今は放置された田んぼとなる。おばさんはここで左の道を行くようにと言っていた。そのとおり進むと沢に突き当たって道は消えてしまった。仕方なく樹林の急斜面を攀じ登る。こんなはずではなかった・・・・。
山頂方向のおおよその見当はつくので、かまわず斜面を四つんばいのようにして這い上がって行く。子供たちが歩いたという道はいったいどこへいってしまったのだ。何を聞き違えてしまったのか。

山腹を斜高している道に突き当たった。これが子供たちの道だろう。そこからたいした時間はかからずに峠状の稜線コルとなる。おばさんの話していた峠はこれだろうか。子供たちはここから反対側へと下って学校へ通っていたのだ。雨でも降った日はさぞやつらかったことだろう。

方角を見定めて尾根へ取り付くと、道型はやや不鮮明だが見失うことはない。白黒縞模様のキツツキが木の幹をするすると滑るように動きまわるのが目に入る。
前方にピークらしい高みが見えてきて山頂かと思ったが、三角点の山頂はその先だった。わかりにくくなった道をしばらく登った先が山頂で広々と開けている。落ち葉の敷き詰めた広場の中ほどに、倒木に隠れるような三角点標石があった。倒木をどかそうとしたが、あまりに重過ぎてびくともしない。動かすのはあきらめた。

帰りは峠から山道をそのまま下ってみた。途中分かりにくいところもあり、子供たちが毎日学校へ通ったというには粗末な道に変わり果てていた。当時は手入れもされてしっかりとした道だったのだろう。


≪程野からの取付について≫
舗装道路からコンクリートの橋を渡り、2軒の民家のうち上の方の民家の脇から沢沿いを行く。シイタケ栽培のホダ木の並ぶ脇を通りすぎると、今は放置された田んぼがある。さらに沢沿いを直進するとまたシイタケ栽培のホダ木が並んでいる。ここから少し登ると沢から離れて左の山腹へ分かれる道があるので、これを見落とさないようにして山腹道を行けば峠へ登り着く。
 
≪山岳巡礼≫のトップへ戻る