hkk-673   

大白森=おおじろもり(1216m)
          ~小白森山=
こじろもりやま(1144m)

岩手県主体に、東北百名山・一等三角点・日本の山1000の中から選定した山を、8日間かけて歩いてきました
束稲山 室根山 氷上山 物見種山 階上岳 折爪岳 稲庭岳 中岳~四角岳 
大白森
 遠島山 和佐羅比山 堺ノ神岳 十ニ神山 鯨山 白見山 六角牛山 石上山 
薬師岳
 紫黒森山 兜明神岳 東根山 女神山 真昼岳 薬萊山

岩手県 2006.05.25 単独 マイカー 大白森 三等三角点 地図 曲崎山南西
コース 鶴ノ湯(4.55)---稜線(6.00)---小白森山(6.40)---大白森(7.10-7.15)---小白森山(7.45)---鶴ノ湯(9.20)
小白森山山頂
≪大白森・・・東北百名山≫

四角岳・中岳を登頂後、翌日登る予定の大白森登山口のある乳頭温泉郷鶴の湯へ向かう。国道104号、103号、208号を経由して341号線を田沢湖方面へ南下。玉川温泉へ向けて標高が上がっていくと、道路の両側をはじめとして一面びっしりの雪。思いもしない光景にびっくり。これでは大白森もかなりの残雪だろう。登れるだろうか・・・・不安がよぎる。それにこの付近に予定しいる八幡平の焼山、大深岳、三石山などはさらに残雪は厳しいと予想される。
大白森はパスすることも考えながら、途中新玉川温泉で入浴後、とにかく今夜の寝場所と考えていた乳頭温泉郷へ車を走らせた。鶴の湯温泉の1キロほど手前にあった空き地へ車を停めて車中泊。

無理なら途中引き返すことにして大白森を目ざしてみることにする。鶴の湯温泉の100メートルほど手前にある同温泉の駐車場へ車を止めさせてもらって出発。
鶴の湯の温泉神社から登山道が始まる。しばらく歩くと林道へ出る。ここで蟹湯への道も分岐している。道標があるが倒れていて方向が不明確。林道は二又に分かれていて、どっちへ進んでいいのかわからない。車まで戻ってガイドブックを読み直して再スタート。分岐道標のところで水平の林道を右手へ進むと大白森への道標があった。ところが道標の先は残雪のために道は見えない。足跡もない。どう進めばいいのか見当がつかない。右手の尾根へ向かってみたがどうも違うようだ。道標のところからもう一度地形をじっくりと眺めてみる。何となく人の歩けそうな感じを受けて左手の尾根を目がけた。
わずかに登って尾根に乗ると、そこには雪はなく夏道があらわれていた。ヤレヤレという気分。

あとは夏道を安心して小白森山へと足を運ぶ。残雪を案じたのは杞憂だったかもしれない、そんな楽観的な気分も湧いてきた。天気が良いと背後に秋田駒が大きく望める箇所も多くあるはずだが、その秋田駒は雲の陰になったまま姿をみせてくれない。
残雪の上を歩くようになるが、夏道も見えたりしてまだルートを心配するほどのことはない。帰りに迷いやすいと思われ残雪帯が一箇所あったので赤テープの確認とあたりの様子を目に焼き付ける。
ブナ樹林などを観賞しながら400メートルの高度を稼いでスタートから1時間5分、稜線らしい地点に到達した。この先は勾配が緩んでやがて木道となり、『小白森山山頂1144m』の標柱の立つ山頂に着く。コースタイム2時間20分のところを1時間45分の所要時間だった。平坦な高層湿原の一点でピークという感じはまったくない。薄霧の漂う湿原はまだ枯色のままで春は訪れていない。池塘が青空を映し花が彩りを添える季節はきっとみごとだろう。

大白森山頂
そのまま先へと進むと、木道は雪に隠れるようになり、やがて一面の残雪帯へと突入した。シラビソ矮樹の中を歩き始めたが方向感がつかめずうろうろしていると赤テープが見つかった。その方向へ歩きだすとこまめにつけられたテープが誘導してくれるようになる。顕著な尾根とちがってなだらかな雪原上の広い稜線は、赤テープがなかったら到底一人では歩けない。たちまち迷ってしまうだろう。雪の締まり具合は良く足の沈みも少ない。
緩やかにコルまで下ると静まり返った広いダケカンバの雪原だ。たった一人歩くのは淋しさもあるが、またそれが味わいというものだ。最後に勾配が急になってキックステップで登り切ると木道となり、その先は大湿原が広がっていた。大白森の山頂部だった。乳白色の霧で湿原全体は見渡せないが、ところどころ雪が消えて枯れ草の見えるとろこもある。見え隠れする木道を進むと湿原の一点に『大白森頂上』の標柱が雪の上に出ていた。
霧のために湿原の全体感がつかめないのが残念、それに岩手山、八幡平、秋田駒などの展望をものに出来ないのが惜しまれるが、残雪の中を無事登頂出来ただけでも満足だった。

ひと仕事なし終えた気分で帰りの足は軽快だった。小白森山手前のコルからくっきりとした岩手山が望めたのは思いもしない喜びだった。
ところが小白森山を過ぎ、夏道から樹林の大きな雪原に入ったところで下る方向が分からなくなってしまった。登りでは気づかなかったが、赤テープが二つの方向を示している。鶴ノ湯はどっち?自分の足跡も途中から見つからない。とにかく自分の足跡を見つけなくては。むやみに動き回るとどれがどの足跡かわからなくなってますます混乱する。不安な気持ちを鎮めて、足跡探しをした結果、かすかに残っている登りのときの足跡を見つけることができた。気がつくと、登りのときに迷いやすいと用心したところだった。そのことをすっかり忘れていた。あとで地図を調べると鶴ノ湯方面と田代岱方面との稜線分岐点だったらしい。
この雪原を抜けるあとは問題となるところまなく、軽い足取りで下っていった。
最後に降りたった林道が登りのときとちがう、はてな・・・ここはどこだ?大白森登山口の道標もある。そのまま林道を下って行くと車道へ出た。そこは車を止めさせてもらった駐車場直近のところだった。林道入口には「鶴の湯林道」の表示が立っていた。
登りの登山口が分からなくてちょっと手間取ってしまったが、この鶴の湯林道からなら迷うことはない。こっちの方がよさそうに思える。


大白森でもこれだけの残雪ということは、八幡平の焼山、大深岳などはもっと厳しいと予想される。残念ながら予定変更して次は太平洋側の遠島山へ行くことにして鶴の湯をあとにした。
 
≪山岳巡礼≫のトップへ戻る