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真昼岳=まひるだけ(1060m)       

岩手県主体に、東北百名山・一等三角点・日本の山1000の中から選定した山を、8日間かけて歩いてきました
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岩手県 2006.05.29 単独 マイカー 真昼岳 二等三角点 地図 真昼岳南西
コース 兎平コース登山口(8.30)---兎平(9.30)---真昼岳(10.40-10.45)---兎平(11.45)---兎平山頂往復10分---登山口(12.45)
左のピークが真昼岳

≪東北百名山・日本の山1000≫

早朝に女神山を登り終わって次は真昼岳。

県道1号線を、白糸の滝分岐よりさらに北上して行くと『真昼温泉』の道標を見て左折、そのまま一本道を進むと真昼林道となり、真昼岳登山口へと通じている。

潅木の枝が車のボディをこするような林道を上がって行くと、真昼岳登山口の道標が立っていた。広い駐車スペースもある。これが山頂往復最短コースの峰越峠登山口と思い込んでしまった。道標には『兎平コース』とわざわざ書いてあるのに、それにはまったく気をとめなかったのはうかつだった。
渓流釣りの人が『下の吊り橋はありませんよ。渉れませんよ』と声をかけてくれた。尾根コースのはずが渡渉とはこれいかに、そのときは解せないことをいう人だと思った。

登山道入口から下って行くと幅7~8メートルの川(本名川)に突き当たった。踏み板を外してワイヤーだけが川をまたいでいる。靴を脱いで渉るのも面倒、それに水量も多く流れもきつそうだ。思い切ってワイヤーにつかまって渉ってみることにした。中間まで進んで下を見ると、流れの動きに錯覚して自分の体の方が傾いてひっくり返りそう、あわてて体制を整えようとするとさらに不安定となり上も下わからなくなってきた。あわや頭から流れに転覆そうになった。何とかバランスを立て直し、流れを見ないようにして無事渉りきったが、帰りには裸足でわたったほうがよさそうだ。
吊り橋を渉ったところはキクザキイチゲやニリンソウの花畑となっていた。道標に導かれて登山コースへ入る。この山もブナの原生林がすばしらい。林床には下生えの草や潅木はほとんどなく、どこでも自由に歩けるし、そこが道だと思えばすべて道に見えてくる。地面全体がブナの落ち葉で埋め尽くされているので正確にコースをたどるのはかなり神経を使う。そのためか赤テープが短い間隔でつけられている。赤テープの地点から見ると必ず前にも後にも見える位置にテープがある。このテープがないと私には到底歩くことができない。
忠実にテープを追って行くとブナの高木はまばらになり、雪渓が現れてきた。森林限界が近いようだ。それにしても峰越峠からの『稜線コース』とはかけ離れた登りだ。どうやら違うルートを歩いているらしいことを確信してきたが、地図もガイドブックもない、それに兎平コースについては何の予備知識も持ち合わせていなかったので、このまま成り行きで進むしかない。
残雪箇所では下山時、出口と入口を見落とさないように赤テープの有無をきちんと確認、不安なところでは持参の赤布を付けたりして森林限界まで登ってきた。

笹と低潅木の大きな広がりを進むと『兎平400メートルの道標』が立っていた。400メートル手前で兎平は通り過ぎていたらしい。さらに笹と低潅木の平坦道を行くと小尾根の乗越となる。道標には女神山2.5キロ、真昼岳2.1キロとある。女神山ピークからそのまま真昼岳をピストンした方が早かったかもしれない。しかしよく見ると残雪がかなり多い。やはりそれは無理だ。行く手には少し雲がまといついた真昼岳が見える。まだかなりの距離がある。

稜線を北へ向けて真昼岳へと足を運ぶ。潅木帯へ入ったりするが、概ね展望のきいた稜線ルートは、天気がよかったらまさにルンルンの漫歩気分で歩けるところだろう。
小さなコブをいくつか越えたあと、急な登りにかかって目を見張った。登山道脇にシラネアオイが行列を作るようにして可憐な花で出迎えてくれた。花に微笑を投げかけるようにしてきつい登りを終ると、そこが山頂のように見えたが、実はその先もう一つ小さなコブを越さなければならなかった。

山頂までは2時間10分だった。峰越峠からのコースに比べると倍近い時間を要した。
山頂の建物は避難小屋ではなく、中には神社になっていた。天気がいいと大展望が広がり、北東北の名山が一望できるだろうに、それがかなわないのが残念。しかし森林限界を越えた和賀・真昼山地の雄大さの片りんを味わうことはできた。小屋の陰で一休みしたあと、峰越林道へ降りることも考えたが、降りたあと駐車場所までの林道歩きがどくらいになるか不明のため、無難な方を取って同じルートを下ることにした。

兎平まで戻って目の上のピークを見上げると杭のようなものが見える。寄り道して登って見ると「兎平山頂」という杭が立っていて、ここも裸地のピークで立派な展望台という感じだった。(あとで地図を見ると867メートルの標高点だった)

最後は川の渡渉、靴とズボンを脱ぎ、パンツだけで川へ入る。水勢は予想以上で思わずバランスを崩して倒れそうになる。それに水の冷たいこと、すぐに足がしびれてきた。渡り終わって石の上で足をばたつかせて冷たさを追い払った。

里へ下り、真昼温泉へ立ち寄る。民家と同じようなこじんまりとした温泉で、見落とすところだった。地元民しか入らないのだろう。先に入っていたおじさん二人の会話は、外国語を聞くようでてんでわからなかった。

予定を一日繰り上げて、明日は宮城県の低山『薬萊山』へ登ってから帰宅することにした。
秋田自動車道湯田ICから東北自動車道へ入り、その夜は古川サービスエリアで車中泊とした。
 
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